1話 火の機械世界
帰省と修行
特訓の日々、と言っても、特訓開始時間が20時とかのため、お昼間は楽しく過ごしていたりするんだけど、それでも、特訓はキツイ。眠いうえに、暗いから見えにくい。唯一の救いは、生まれ故郷に帰ってきていることかな? お母さんには怒られたっけ。お婆ちゃんも心労で倒れたって話してたし、申し訳ないなぁ。ちゃんと後で退院したらごめんねって言おう。そしてお母さんは、ちゃんと帰ってきてくれてよかったって言ってたっけ……。
「ご馳走様! お母さん、ご飯美味しかったよ」
「ご馳走さま~。美味しかったよ~」
特訓以外の時は、家に帰って、本読んで光ちゃんと笑いあったり、一緒にゲームしたりしている。夕方になると、空母に行って、特訓の準備を開始する。それが最近の日課だ。
「ありがとうね。けど、帰ってきたのに、また出かけるんでしょ?」
「うん、そうだね。人探しは終わっていないから、頑張るんだ」
「おか~さん、あたしが奈波ちゃんを守るから大丈夫だよ~」
「まあ、かわいい騎士様ね。けど無茶しないでね」
と、お母さんが光ちゃんの頭をなでている。仲良くなってくれてうれしいけど、なんか複雑な気分かも?
「夜ご飯も食べ終わったし、ちょっと出かけてくるね」
二人で出かける準備を開始する。今日の特訓の内容は、いつも通りの連携と、え、座学もある。めんどいなー。
「来たよー、師匠。ってあれ?」
居ない、いつも空母の桟橋の所にいるのに。
「お、来たか。今日から我が特訓を見ることになった」
「へ~、サターンさんが見てくれるんだ~」
「ええ、飯野とヴィーナス様は戦争の準備に出向いている。それは使いたくない手だって言ってたがな。だからこそ、透明人間の二人に水面下で動いてもらうってわけだな」
「え、なんか作戦を立実行しているって事? それとも引き抜き?」
「作戦実行だな。まあ、あの世界に仕掛けを一つってところだ」
「へ~」
「とりあえず、特訓だな。公園でやるぞ!」
僕たちは真面目な態度で背筋をピシっっとして、気を付けの姿勢を取り、
「「分かりました!」」
公園に向かっていく、そういえば、戻ってきてから真美ちゃんに会ってないなぁ。明日会いに行こう。そう考えていると、
「奈波、何か心配事か?」
「うーん、心配事ではないけど、真美ちゃんに会いたいなーって思って」
「成程、奈波はこの町の出身だから友もいるか。まあ明日にでも行ってこい」
「うん、そうするよ。今は集中だよね」
「ああそうだな。で、そろそろアミが来るか?」
確かに夜が更けて来た。公園の木が揺れる。その裏から、
「来たよ」
と、アミが顔出した。
「来たか。 なら始めるぞ」
「「「はい!」」」




