34 双子
ゲールトルドを倒して(仲間にして)ホッと一息つく。
魔王は残すところ二人。
「あとの二人は本気で滅ぼしたほうがいいと思う」
父さんは真面目な顔をしてそう言った。
「いやいや、説得するんじゃなかったの?」
「残る二人は厄介だ。魔王ランキング第二位と第三位。俺の次に強い」
「魔王ランキングって言い方よ……、え、でも、親父の次ってんなら、親父なら倒せるんだろ?」
「一人一人なら確かに勝てるかもしれない。だが、二人は双子で、常に一緒にいるんだ」
「モチを詰まらせたのが三つ子で、残りが双子かにゃー!? ずいぶん狭いんだにゃー! 魔王ランキング!」
「だが、実力は確かだ。我でも勝てん」
ミーアゴッズは苦々しくそう言った。
「クリスタルのその後も気になる。一度見に行こう」
俺達はゲートを使い、クリスタルの様子を見に来た。
正六面体のクリスタルは変わらずゆっくりと回転している。ヒビは入っていない。
「あははは」「うふふふふ」
どこからか笑い声が聞こえてくる。
「なんだ? 一体何者だ!」
天井から白と黒の二つの影がふわりと降りてきた。
白と黒ではっきり色が分かれている以外は普通の、同じ背恰好の少女だ。
「「やあ。僕の名前は」」「ミグルディ」「ムグルディ」
「こちらから出向く手間が省けた。二人とも聞いてくれ。人間界を攻めるのは止めてほしい」
どうやら二人は魔王らしい。父さんが説得を始めた。
ところが、
「「あはははははは」」
二人はお互いの顔を見合わせて大笑いをしている。
「何がそんなに可笑しいんだ?」
「「おかしいよ! 僕たちは魔界も人界も滅ぼす気なんだから。それに亀の背中の上だなんて気持ち悪いよ」」
「亀に傷つけてクリスタルにヒビを入れたのは僕だよ」
「三つ子にモチを詰まらせるように仕向けたのは僕」
「何を言ってるんだ?」
俺は混乱した。
「ゲールトルドは不甲斐ないね」「ねー、せっかく三つ子の死体をプレゼントしたのに、全然有効に使えないでやーんの!」
三つ子を殺した犯人はこいつらだったのか。
「「僕たちが世界を崩壊させて、新しい世界の神様になるんだ。跪けば助けてあげるかもしれないよ?」」
「頼む。そんなことはやめてくれ」
父さんは頭を下げて頼んでいる。
「「えー、やだー。あ、でも、こっちに着くなら、なんなら世界の半分をあげようか」」
「そんなものはいらない!今世界を滅ぼすって言ったばっかりじゃないか」
「うふふ」「あははは」
ダメだ、話が通じてない。それどころか危険な匂いがプンプンする。
隣を見ればパンサーは超振動していた。
相当強い魔王なんだ。こいつら。
「「どうしても止めたければ、僕たちを倒すことだね」」
いう間に、結界が張られた。ミグルディは父さんとムグルディは俺と二人きりになるように結界が構築された。
「ベネットくん、君のことは僕がお相手して上げるよ」
っく!どうする?俺に戦う力なんてないぞ?
とりあえず聖剣を持ってみる。
何か奇跡が起きるかと思ったが、今回はそんなことはないらしい。
「じゃあ、いくよ、せいぜい、いい悲鳴を上げてね」
俺と魔王との一騎打ちが始まった。
※※※※※※
(結界の外)
「にゃ~! 二人が閉じ込められたにゃ! どうするにゃ!」
パンサーがてんぱっている。
「……、一つだけ方法がある」
「ミーアゴッズ、あるなら早く言うにゃ!」
「お前たちが持って行った強欲の壺。あれにお願いして聖剣を出してもらえばいい」
「そ、それならわたちが持ってるにゃ! いでよツボの魔人!」
ボワワワワン
「あ、どうも。こんにちわ。今日はどういったご用件でしょうか?」
「にゃー! 聖剣を出して欲しいにゃ!」
「あ、はーい、聖剣ですね。はい。どうぞ」
パンサーはツボの魔人から聖剣を受け取る。
「強欲のツボ便利にゃ……、もっと前からこうしておけばよかったにゃ……」
パンサーは聖剣を掲げる。
すると、みるみるうちにベネット側の結界が消えていった。
※※※※※※
(ベネットSIDE)
「ぐはっ」
俺の戦闘能力なんてたかが知れてる。
魔王にいたぶられて、身体はボロボロだ。
バリンッ
そのとき、何かがが破れる音がした。
「にゃー!待たせたにゃ!わたちたちも参戦するにゃ」
「ふーん、結界を破るなんてすごいね」
「へっ、余裕をかましてられるのはいまのうちだぜ、ここから反撃だ」
ミーアゴッズとパンサーとグレイが前衛、中衛に俺、後衛にノーラ。
負けるはずのない布陣だ。
数分後。
そこにはボコボコにされて簀巻きにされた魔王ムグルディの姿があった。




