33 不死の軍勢
カタカタカタッ
ゲールトルドの城へ行く道は、大量のガイコツがうようよしていた。
「ゲールトルドはエルダーリッチ。いくら倒してもキリがない不死者の軍勢なんだ」
言いながら、父さんはガイコツをバッサバッサとなぎ倒していく。
しかし、道を進むにつれてどんどんと密度が濃くなっていく。
「ぎにゃー! 数が多すぎるにゃ! このままだと押しつぶされるにゃー!」
「っく! どうする? 一旦引くか?」
そのときだった。
聖剣(金)が光り始めた。
眩い光に呼応するようにガイコツ達は道を開けていく。
「すごいにゃ!」
「おお、ベネットの力ではないが、聖剣すごいな!」
ミーアゴッズ、一言余計だ。
「父さん、いまのうちだ! 一気に駆け抜けよう!」
いつ光が収まるかわからないので走って城までたどり着く。
城の中もガイコツでいっぱいであったが、聖剣の力はすさまじく、ガイコツは寄ってこない。
「我が城に無断で入る輩は誰か」
「うにゃ~! でっかいガイコツにゃ~!」
パンサーが震えている。
こいつがゲールトルドか!
「ゲールトルド! 話があってきた! 聞いてくれ!」
「どうしたコンクレアス。最強の魔王が話とは?」
「魔界が崩壊するまで時間がない! もういがみ合ってる時間はないんだ!」
「この世界の崩壊? フハハ、我には関係のないことだ。どうせ不死者だからな」
「ぐぬぬ。ならば世界の半分をやろう! 俺たちに協力してくれ!」
「親父! 親父にそんな権限ないでしょ!」
「世界の半分? そんなもの、お前らを倒して手に入れるわ」
「ええい!わからずやめ!」
バコッ
あ。手が出た。
そこからはガイコツと親父のパンチの応酬だった。
数分後、ボロボロになった両者が地面に倒れていた。
「コンクレアスよ、いいパンチだった」
「お前もな」
二人はガシッと握手した。
(あれ?なんか仲良くなってない?)
喧嘩した二人に聞こえない声でコソコソ会話する。
(いいのにゃ。これでゲールトルドはわかってくれたのにゃ)
(本当にわかってるのか? 素直すぎないか?)
(ゲールトルドめ、怪しいな。これはきっと落としどころを探していたのではあるまいか?)
ミーアゴッズが言ったことが真実かもしれない。
「コンクレアスよ、このゲールトルド、感銘を受けました。決して人界に手を出さないと誓いましょう」
「ああ、ありがとう。これからは友と呼ばせてくれ」
「あー、ワタシ、金貨欲しいなぁ」
ゲールトルドがそそくさとグレイに金貨を手渡す。
あれ、これは立場が……。
(エルダーリッチのゲールトルドでございます。以後お見知りおきを)
へこへこと頭を下げるゲールトルド。
コンクレアスには同等に見られたい。
だけど勝てないと思って下手に出てるのがアリアリと見える。
(いやもう、聖剣があったらアンデットが通用しないんですよ!)
なんて立場が低いんだろう。
だけど、なんとかゲールトルドさんの説得には成功した。
「残りの魔王は五人かな?親父はこの調子で説得に回るのか?」
「ああ! そのつもりだ!」
「あー、それなんだが……、」
ゲールトルドさんが言いづらそうにしている。
「そこにいるガイコツ三人が元魔王だ」
「え? 魔王なのに? ガイコツなの?」
「そこの魔王三人は三つ子でな。年越しのモチを食べたら三人とも喉につまって死んだのだ」
「魔王なのにモチが詰まったの!?」
「詰まったようだ。その亡骸をアンデッドとして再利用させてもらってるのだ」
「じゃ、じゃあ、あと二人か……、」
「がんばるにゃー!」
あとの二人をどうするか。
無事、説得できればいいけど……。
不安になりながら館に戻るのであった。




