表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/37

29 古龍

馬車はトリウス王城からの使者であった。

なんと、近衛騎士のフィルが直接来たのだ。


「王城の西の山に、古龍が出たとの噂が立っております。もし本当に古龍が出たとすれば、国が滅びてもおかしくありません。リーゼロッテ様、どうか調査をお願いできないでしょうか?」


「うーん、古龍ねぇ。どうしようかしら」


「お母様、私からもお願いします。どうかお力をお貸しください」


シャルがフィルの横に立って頭を下げる。


「シャルちゃんにお願いされちゃったら仕方ないわ。私に任せなさい!」


ああ、請け負ってしまった。古龍だぞ。誰も見たことない生物を探せっていわれても、


「母さん、難しくないの? 見つけられるかもわかんないんだよ?」


「大丈夫よ。古龍って言われるほどの生き物なら、きっと近くまで行ったらパンサーがブルブル震えるわ」


パンサーはいつからセンサーになったんだ。確かに毎回震えてるけど。


「それに王城の西の山って言ったら、果物がいっぱいとれるところだわ。みんなでピクニックするのに丁度いいわ」


「それなら我も行こう。怪しい気配がしたらすぐにわかる」


ミーアゴッズもついてくることになった。



と、ゆっくり準備をして、西の山にゲートを使って飛んできたのがついさっき。


「ここで御昼ご飯にしましょう」


山の中腹あたりでシートを広げて各自、お弁当を広げる。

館の全員が着いてきたので大所帯だ。


「景色がいいですわぁ。ここから城が見えるんですのね。知らなかったですわ」


「わたちも初めて来たにゃ。良い所にゃ~」


シャルとパンサーが仲良くお弁当を食べている。平和だなぁ。

ホントにこんなところに古龍なんているのかな?


「む。感じるぞ。これは大きな力の波動だ」


ミーアゴッズが何やら見つけたらしい。


「ほ、本当にゃ。ビリビリするにゃ」


パンサーセンサーが反応してブルブル震えている。

そうか。今までパンサーが震えていたのは、怖いからじゃなかったんだな。


『キシャアアアアアアア』


鼓膜が破れそうなくらい大きな咆哮が聞こえた。


「あれ? この声は……、」


母さんはいつもながら呑気だ。

その瞬間、谷間から巨大な古龍と思わしき物体が飛び出してきた。


『人間どもよ、私の眠りを覚ましたのは貴様らか』


ズウゥゥゥゥン


大迫力の巨体が目の前に広がる。

これが古龍か。

銀の鱗に守られた、まるで城のような存在感であった。

か、勝てない、こんなのに!


「あらー、やっぱりドラゴノーラじゃない!」


え?なに?


『え、リーゼロッテ? 久しぶり~』


何なの? 知り合いなの?


巨大なドラゴンはみるみる小さくなり、人型になった。

キラキラ輝く金髪に碧い瞳。二本の角が生えた姿だ。


「ベネット、紹介するわね。神龍のドラゴノーラ。ママ友なの」


「お初にお目にかかります。ノーラと呼んでね。そう、この子がベネットなの。産まれてよかったわね」


「そうなのよ~、パパに似てカッコよく育ったわぁ」


「そうね~、よく似てるわ。二人ともずっとイチャイチャしてたから、すぐ子どもが出来ると思ってたけど、本当に出来てよかったわ~」


「ノーラ、ありがとう。それにしてもなんでこんなところにいるの? もっともっと西の竜山脈にいたじゃない?貴方。」


「いやあ、この辺り散歩してたら寝ちゃって。気づいたら私の上に山が出来てたのよ~、びっくり」


二人のマシンガントークは止まらない。ほんとに友達なんだな。


「それで、コンクレアスは今は一緒にいないの?」


ん?コンクレアス?父さんのことか?


「うん、そうなの、お酒買ってくるって言ったっきり帰ってこなくって(遠い目)」


「あんなアホ亭主なんか止めとけって言ったのに~」


「そこが可愛いんじゃないの~」


「は~、わっかんないわ~」


古龍退治はしなくてよさそうだな。神龍って言ってたし。害はなさそうだし。


「あ、そう、貴方、この国の人たちに怖がられてるわよ」


「え?そうなの? やだぁ、なにもしないわよぉ」


「あ、そうだ、ウチくる? 美味しいお茶菓子用意するわよ~?」


「あら、いいの~? でも貴方の家、エルフの里でしょ?ろくなもん無いんじゃないの?」


「今は引っ越しておっきな館に住んでるからあるんですぅ」


「コンクレアスが見たら驚くでしょ~?」


「そうなのよ~。見せたいわ~」


ママ友さんはウチに来る気満々らしい。


「コンクレアス……、だと?」


ミーアゴッズが何かに気づいたように驚いている。


「やっとわかった。見たことがあると思ったが、俺が会ったのはアンタの親父だ。コンクレアス。ヤツの名は決して忘れない」


「え、もしかして親父も何かご迷惑を?」


「ああ……、お前の親父は、魔王だ」


「え、名前はマオじゃないですよ?」


「違う。大魔王だ」


え……?

なんだって?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] リゼとドラゴノーラの掛け合い笑いました! 読みやすくて毎回のオチも面白いです。 「マオじゃないよ?」←好きです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ