24 料理対決
ある日の午後。
俺はシャルに連れられて食堂へとやって来た。いったい何だろう。
「旦那様、妻として、料理が出来るようになりたいのです」
シャルは真剣なまなざしで俺を見てくる。
「それは素晴らしいね」
「つきましては、ミカと勝負をするので、味見をして頂きたいのです」
「私がシャルさんに負けるはずがありません。この勝負、勝たせてもらいますよ」
ミカが自信たっぷりに胸を反らす。
これは……、大変なことに巻き込まれしまったぞ。
俺の嫁二人が料理対決? どっちが勝っても、負けたほうのフォローが大変じゃないか。
審査員は俺一人。挑戦者はミカ、シャル、そして何故かメイドのローザとヘキサだ。
何故参加したメイド達よ。
俺の前に料理が出てくる。
一番手はミカだ。
「お、これは、まったりとしてまったりとして、まったりとしかしてない。どういうことだ?甘みも無いし、辛みもない。ただひたすらにまったりしている。これはなんだい?」
「デザートです」
いやいや、ミカさん、デザート感もないよ。
「ゆで卵です」
ゆで卵!? 俺が食べていたのはゆで卵だったのか!
ゆで卵は料理といえるのか!?ゆで卵なのにここまでまったりさせるにはどうすればいいんだ!
自我が崩壊していきそうになるのを必死にこらえる。
ゆで卵、畏るべし。料理対決でゆで卵を出してくるミカ、畏るべし。
二番手はローザ。肉じゃがだ。じゃがいもほっくほくだ。
うまい。人参の甘みも引き立っている。
だがどうしてだ。肉がない。これでは……、じゃがだ。
味も見た目も肉じゃがなのに、肉が入ってない。ローザ! 手を抜いたな!?
「料理対決などに肉を使うなどもったいありません」
そうだね! もったいないね! じゃあなんで参加したの!?
三番手はヘキサ。この人も何故参加したのかわからない。
「各地を回っていたときに考案した虫料理です」
却下だ。ゲテモノ失格。
最後のはシャル。野菜のスープだ。
「お口に合えばいいのですが……、」
うん。美味しい。これはシャルの勝ちではないか?
だが、なんだ。何かが足りない。もう一味足りない。何が足りないんだ? 塩気? 甘み?
よくわからないけど何かが足りない。
「さあ、旦那様、誰のが一番美味しかったですか?」
これは応えなきゃいけないのか?
うう……、心が痛む。
「みんな~、ごはんできたわよ~」
助かった。
俺はさっと台所へと母さんの手伝いに逃げる。
今日のお夕飯はシチューだ。
「美味い。やっぱり母さんの作った料理が一番おいしいよ」
「あら、私が一番? やったわね。ありがとベネット」
結局、料理対決に参加していなかった母さんが一番という結果になった。
ホクホク顔の母さんと対照的に、ふくれっ面のシャル。納得いかないようなミカであった。




