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15 領地経営

地下遺跡の事件から数か月、俺たちはめまぐるしい日々を送っていた。


まずは領民が殺到した。


「勇者様の噂を聞きつけて来ました。ぜひ住まわせてください」


他の領地から来た人、マダキアからの難民などさまざまだ。


「どうしよう母さん、土地はあるけど住まわせる家がないよ」


「そんなの魔法でちょちょいのちょいよ」


「どんな魔法なんだ!」


「土魔法の応用よ」


地下遺跡は危険だったので母さんに頼んで埋めてもらっていた。

その跡地にニョキニョキと住宅が生えてくる。


「母さん! もはや魔法じゃないよ! 錬金術だよ!」


「これも魔法だよ!」


「おお! ありがとうございます! 勇者様!この御恩は一生をかけて返します!」


だから勇者じゃないってば!

俺は何もしてない。全部母さんのおかげだ。


続いて、トリウス王都で世話になった商人、シュペーさんがやってきた。


「お久しぶりです。ベネットさんが伯爵になったのを聞きつけてやってきました。どうか、私共の支店を置かせていただければと思いますがいかがでしょうか?」


「ぜひお願いします!」


これでトラム村の発展は間違いなしだ。


「つきましては、ベネットさんに正妻とまでは行きませんが、うちの愛娘をお側に置いていただけたらと思い、連れてきました」


「ミカ・ベルドナンドと申します。旦那様、よろしくお見知りおきを」


長い黒髪に茶色の目、眼鏡がキリっとしてて美人だなあ。


「まあ、伯爵だもんね! 側室も必要よね!」


「え、母さん、いいの?」


「いいわよ。これで箔がつくわ!」


「ありがとうございます、リーゼロッテさん。ミカには商人のノウハウをしっかりと叩きこんであります。必ずや領地経営の力になると思います」


「まあ、完璧ね。お嫁さん修行もシャルちゃんと一緒に頑張りましょうね」


「はい、お義母さま、よろしくお願いいたします」


「なななな、なんてことなのですわ! ライバルが出来てしまいましたの!」


正妻であるシャルは戦々恐々としていた。


「シャル様、正妻の座は貴方のものですが、先に寵愛を受けるのは私でしょう」


「きいいいいいい!」


なんだかドタバタしているが、仲良くやってくれればいいな。




伯爵領の役人が挨拶にも来た。


「このたびは伯爵就任おめでとうございます。徴税官のゼニスと申します。今後ともよろしくお願いします」


ゼニスから渡される黒い箱。

開けてみれば、びっしりと金貨が入っていた。

これは、ワイロだ。


「私たちはこんなものを貰ってもあなたを特別には扱いません」


母さんがゼニスを追い返した。

ゼニスが帰ってからミカが


「あの人は首にしましょう。腐った政治は許せません」


実際、何日か後には首になって、別の人に変えられていた。

ミカがすべて手配したのだ。

だが、手元には金貨が残っている。


「このお金はみんなのために使いましょう。まずは今日の晩御飯から」


「みんなの範囲狭くない!?」


徴税官を変えたことにより、税制が見直され、領民の暮らしが楽になった。

そしてまた、それを聞いた別の地からの領民追加に繋がり、さらにトラム村は発展していくことになる。

もはや村ではなく、街といえるほどの規模になってきた。

ミカが主に内政の担当として手腕を発揮している。

いい人を仲間に加えることが出来たなと、つくづく思った。シュペーさんに感謝だ。いや、お義父さんと呼ぶべきか?


王都に負けない素晴らしい街にしよう!

街づくりは加速していく……





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