11 結婚式
俺たちはエリー姫の結婚式に出席することになった。
まさかただの護衛だったのに、式典にまで参加させてくれるなんて、本当に嬉しい。
「よかったわね、エリーちゃん、グスッ」
「にゃー!よがっだにゃー」
母さんは式典の最中、なぜかずっと泣いていた。
隣でパンサーも泣いている。
「娘を見送る母親の気持ちよっ、グス、立派になって……、は!ベネットもいつかお嫁に行っちゃうのかしら、うぐッ、うえーん」
お嫁にはいかねえよ。
嫁は欲しいけどよ。
式典は華やかだ。ドレスを着たエリー姫はいつにも増して綺麗だ。
「リーゼロッテ様、ベネットさん、あなた方のおかげで私はここにいます。本当にありがとう」
お相手は皇帝の第一子。アングラウス皇子。
黒髪に黒い瞳。誰もが振り返りそうなイケメンだ。
初めてお会いした時も母さんが目の保養だって言ってたっけ。
終盤に差し掛かると、おもむろに母さんが、
「ようし、景気づけに花火上げちゃおう! ファイアフラワー!」
母さんが空に向けて複数の弾を発射する
ヒュー
ドンッパラパラパラ!
空中で弾が破裂し、美しい花が咲く。
花火なんてトリウス王国でも何回かしか見たことない。
熟練の花火師がお祭りなど、特別な時に上げる魔法なのだ。
母さんはトリウスの花火師にも劣らない見事な花火を上げた。
そうかぁ、母さんは花火師の才能もあったのかぁ。すげえな。
花火で見事に観客の心をつかんだ母さん。
「ベネットのパパと一緒に何度も見たの。あんまり綺麗だから見て覚えちゃった。」
ホント、どこ行っちゃったんだよ父さん。
そのまま式典はつつがなく終わった。
※※※※※※
私の名はヘキサ。
今回とある組織に雇われてオンナを殺しに来た暗殺者だ。
狙った獲物は百発百中。俺に狙われて生きているヤツはいない。
ちょうど帝国は結婚式典の最中で、警戒が甘い。
リーゼロッテ・ディラグリオ。標的は悪魔の化身らしい。十分注意しなくては。
なので、地上からではなく空から侵入を試みることにした。
さすがの悪魔エルフも空からの襲撃など想像もつくまい。
飛行魔法で祭典の真上まで来る。
居た。狙いのオンナだ。
俺にしか出来ないであろう狙撃魔法。
氷属性のこの魔法なら多くの観客がいようとも、狙った標的だけを撃ち抜く。
撃ち抜かれた対象は、糸の切れた人形のように倒れ込む。
外傷がないので原因不明の死が訪れるのだ。
よし、射程距離内だ。
「くらえ! スナイプアイス!」
魔法が発動するそのときだった。
オンナがこちらに向けて魔法を放ったのだ。
『ようし、景気づけに花火上げちゃおう! ファイアフラワー!』
くそっ!避けられない!
ぐああああああああ!
ドンッパラパラパラ
あーれー!
※※※※※※
「おい! 大変だ! ヘキサがやられたぞ!」
「なんだって!? こちらの最強の手札だぞっ」
「どうする? あの悪魔にバレたのではないか?」
「おお、それはマズイ。一刻も早く逃げなければ」
「今度は我らの命が危ない。逃げよう」
バタバタとその場を離れていく謎の集団。
そしてベネット達はトリウス王国に帰っていくのであった。
おかげさまでPVが800を超えました。
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