表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/70

26. 桐生静は、善良であれと信じるが――解放す

 その日の夜。

 テンデ・ダーメン動く。

 麾下1000の部隊を導入。

 部隊編成は以下の通り。

 精鋭中の精鋭500。

 精鋭300。

 魔導師200。

 全投入。

 全て対人戦闘に場慣れしている。

 日頃からテンデ・ダーメンのダメっぷりを近くで目にしている分、下の者全員がダメダメというわけではない。

 日頃から訓練を怠らず、鍛錬に明け暮れる毎日を過ごす者がほとんど。魔の大森林が目と鼻先にある。そう例えて然るべき近い場所にテンデ・ダーメン侯爵領はある。よって下の者全員が魔物慣れしている。慣れに慣れている。経験は十全。力の発揮は期待大。

 テンデ・ダーメンは負けはない。そう確信している。優雅にコーヒーを飲み、くつろぐ姿に『敗北』の二文字は無い。勝つ以外の思考無し。勝った後の思考をする。奴隷大消失により、ファミリア王国王都内での奴隷価値はまさに上昇気流の如し勢いで高騰に次ぐ高騰の値上がりを見せる。見た目良しの奴隷は超高騰で簡単に手を出せない金額となる。しかし賞金首をこの手にすれば、ソレらを軽く見積もって充分足りる。手にした後はどうするか。ゲヘヘヘヘッとゲスな笑みを浮かべるテンデ・ダーメン。まさに典型的なダメっぷりである。

 部隊全体には名目上『魔の大森林で目撃された正体不明の賊の発見及び捕縛兼魔物駆除遂行』と伝えられる。

 部隊を預かる隊長格には裏名目上『反逆勇者捕縛及び生け捕り。反抗する場合は生存の有無は不問とする』と強く伝達される。


 テンデ・ダーメン麾下1000動く。




 ☆☆☆☆☆




 深い眠りについていたが精霊の呼びかけで時間を要さず、引っ張られるように覚醒。睡魔は覚醒と同時に完全に消え失せた。

 夜の闇に包まれた魔の大森林を勇敢に進む大軍の知らせを精霊から耳にする。

 こんな真夜中に動く大軍(バカ)は何処の誰だと問えば、テンデ・ダーメン侯爵領から出発された事実を知る。

 寝耳に水だ。

 あの大男がご近所さんとは誰が思うだろうか。下調べをしていなかった俺が悪いな。情報を得ようと思えば、ナナセからその情報を入手する事は容易にできた。だが魔の大森林には冒険者組合に所属する冒険者が立ち入るくらいで、他にはない。そう聞いていた。精霊に再度問えば、間違いない。

 真夜中に動く大軍が尋常ではない理由で動いてるのは明白だな。

 俺は目を瞑り、精霊から精霊へと近くから遠くに波紋を広げて膨大な情報を処理し続ける。

 時間は数分要したが大軍の姿を発見した。松明を持つ大軍は夜の闇を蠢く大蛇のようだ。一人一人が恐怖の色をしてない。慣れない事をする際の極度の緊張感がない。キビキビとした部隊としての機能を十全に魔の大森林の中で発揮している事から場慣れした経験者集団だと相手の評価を下す。

 武器や鎧は真新しくなく日々慣れ親しんだものを扱い身につけているのが分かる。油断は禁物だろう。

 俺はかけている上着と毛皮のコートを着用して、単独で動く。

 この時間帯は皆が眠りについている頃合いだ。誰も外に出ている者は人っ子一人おらず、静寂に包まれている。

 風の精霊の力を借りて、その場から空中へと飛び立とうとして――暗闇の中から人影が動く気配を感じ取り、その場で動きを止めると向こうはしっかりとした足取りで現れる。

「セイ様」

 オロ爺である。

「こんな真夜中にどうした?」

 俺が問えば、

「それはこちらのセリフですぞ。セイ様このような真夜中にどうされたのですか?」

 逆にオロ爺から質問を質問で返された。

 嘘を見破る目を既に発動しているオロ爺に隙はない。ここで嘘を言えば、すぐにわかる話だ。

「テンデ・ダーメン侯爵領の大軍が魔の大森林(この地)に足を踏み入れた」

「なっなんですとッ⁉︎⁈」

 クワッと目と口を大きく開くオロ爺。それが嘘でないと知って驚愕する。

 声が大きい。周辺の皆が眠りから目を覚ましそうな大声だった。家の中からモソモソと動く気配はない。目を覚ました者は今の所いないようだ。

「オロ爺もう少し声を下げてくれ」

「すっすみません。かなり驚いたものでして……」

 オロ爺の頭脳は今頃パニック状態に違いない。オーバーヒートする前に話を済ませよう。

「俺は行く。オロ爺は気にせず床に就いて眠るといい」

「――しかしセイ様お一人で行かれるつもりですか?」

「ああ。俺一人で問題ない」

「――ッ!なんという気迫に漲る眼をされるお方だッ。……セイ様がそう仰るなら問題はないのでしょう。ですが、わたくしめはこのような事態に床に就いてぐっすり眠れるような神経は持ち合わせていません。セイ様のお帰りをお待ちしておりますので、無事に帰ってきてくだされ」

 オロ爺が俺の手を取り、優しく両手で包み込む。温かい温もりを肌で感じる。これほど人の温かさを感じられる日々を俺が送るとは元いた世界では考えれないな。想像することすらなかった。この温もりを、俺に優しさを与えてくれる皆の温かさを守る為なら冷酷にだってなれる。

 守る。そう決めたなら何をしてでもやり遂げる。それが俺という人間だ。

「オロ爺の言葉は心得た。行ってくる」

 風と一体となり、俺は大軍が大蛇の如く蠢く地点へ一直線に飛んだ。




 魔の大森林を行軍する一行に呼応するように木々がざわめき出す。

「総隊長アレを見てください」

「言いたいことはわかる」

「木々が独りでに動くか」

「我々を招き入れているのでしょうか?」

「招き入れるか。的を得ている言葉だな」

「魔の大森林には意思を持つとでも?」

「副総隊長そういった意思が介在するなどあり得ません」

「意思が介在か。現に目の前で起こる現象を目にしてしまうと意思の介在を馬鹿にはできないな」

「真夜中に動く魔の大森林。いいフレーズを閃いたッ!コレを売りに侯爵領に冒険者を今以上に呼びかけるのはアリか」

「副総隊長なにを言ってるのですか⁉︎そんな話を耳にした冒険者達はこぞって真夜中に行こうとは考えなくなりますよ。それに意思云々などの言い伝えは聞いたことありません」

「ガハハハハッ!いいではないか!いいではないか!」

「ハハハハハッ。バカな副総隊長(こいつ)の発言をイチイチ気にしていてはらちがあかない。売りにしたところで眉唾と言われるのが落ちであろう。言い伝えは色々と昔から伝承毎に混在するが今までに一度も魔の大森林が動く話は聞き及んだことがない」

「ガハハハハッ。総隊長殿は頭が固い。らちがあかないと言われる身としてはホラ吹き紛いをして人をわんさか領地に呼ぶのが使命ってもんだろう?心踊る噂話には子供も大人も大好き。大好物を餌にして呼ぶのが一番だとユーリ(お前)も思うだろう?」

「ハハハハハッ。副総隊長(お前)は頭が緩い。もう少し考えてモノを言え」

「総隊長の言う通りです。そうです。そうなんです。ですからかえって人が近づかなくなると言ってるじゃないですか?総隊長が副総隊長を頭が緩いと言われるのは正しいです」

「お前らバカにするのもいい加減にしろ!ほら見てみろ!魔の大森林が我々を歓迎しているではないか!先に進むことを許可しているのだ!」

副総隊長(お前)という奴は……。だが強ち間違いではなさそうだな」

「このまま進むのはどうかと進言します」

ユーリ(お前)よぉー。魔の大森林に我々が喰われるとでも言いたいのか?」

「喰われる。的を得ている言葉だ。しかし我々は屈強な戦士だ。1000人の大隊を任せられた以上は怖気づいて引き返すわけにはいかない。このまま全軍前へ進軍する」

「ガハハハハッ。よく言った!総隊長殿!」

「総隊長がお決めになったのなら、それに従います。では伝令に伝えてまいります」

「魔の大森林。ここに我が国の勇者召喚で呼び出された反逆勇者がいるか」

「侯爵が断言するのだ。いなくては話にならない。もし発見したら手合わせをして、この手で血祭りに上げたいものだ」

副総隊長(お前)の悪い癖だ。反逆勇者は王都からどういうわけか逃げ出すことに成功している。油断せずに行くとしよう」

「ガハハハハッ。ただの幸運で逃げただけって話なら笑い者だ。そんじゃ、我々を歓迎するビクトリーロードを進ませていただこうか!」




 木の精霊達に大軍を奥地まで誘導させる事に成功した。賢明な判断をする輩ならそのまま引き返す。そう思ったんだが賢明な判断を下せる輩ではなかった。武勇に自信がある輩なのだろう。脳筋の判断は期待するべきではなかった。木々の大移動に伴い、大軍を容易に進軍させるだけの大きな道が左右に割れて出来たことで火に蠢く大蛇は一直線に真っ直ぐ進み、広々とした木々一本なく開けさせた地に足を踏み入れた。

 赤・黄・緑の大小3つの月が月光で辺りを照らす。

 大軍が規則正しく整列したまま松明を轟々と燃やして立ち止まる。

 俺がただ一人で立っているからだ。

 全員が怪訝な表情で視線を向ける。

 さて引いてくれるか。試してみよう。

「このような場所まで何用でございますか?手違いでこのような場所にお出でになったのなら、そのまま回れ右をして引き返してもらえますか?」

 俺の発言を聞き、最前列の武装した者達が口々に呟く。

「アレが賊か?」

「賊はアレ一人か?」

「賊には見えないが……」

「まだ少年じゃないか?」

「夜遊びにしては度が過ぎてる」

「若い時は冒険がしたい」

「道に迷って親が見つけてくれるの待ちか?」

「よかったな!坊主!わたしが助けに来たぞ!」

「あとで一緒に家まで送ってやるか」

「なぜ魔の大森林に少年ただ一人でいる?」

「何かおかしくないか?」

「夕刻新たに張り出された反逆勇者の人相書きに似てないか?」

「あののっぺら坊からイケメン野郎に描き変わった人相書きか!」

「本当だ!」

「間違いねー!」

「アレはモノホンだ!」

「どうして反逆勇者がここに⁉︎」

「俺たちは賊を捕縛する為に……まさか!」

「その賊が反逆勇者かッ⁉︎」

「これは面白くなってきた‼︎」

「賞金首だ!」

「アレが反逆勇者ってんなら簡単に捕まえられそうだ」

「ヒョロヒョロを捕縛するのは造作もない」

「賞金額だけで一生遊んで暮らせる‼︎」

「騎士の務めを明日付で退職できそうだ‼︎」

「女と遊んで遊んで遊び尽くす‼︎」

 収集がつかないとは、この有様を言い表しているのだろう。

 質問に対する答えが返って来ない。

 何を目的にして、大軍で魔の大森林(この地)にやってきたかは判別がついた。賊を捕縛する。その理由で、魔の大森林(この地)にやってくるにしては規模が大き過ぎる。最初から反逆勇者の所在を掴んだ上で、大軍を寄越した可能性が浮上する。下っ端連中には賊の捕縛という理由だけで動かして、上の連中は賊の捕縛ではなく真の理由を聞かされているに違いない。

 どうやって、テンデ・ダーメンが俺の所在を知り得たかは考える必要はない。赤髪の名無しが告げ口した以外にありはしない。お互い情報交換でもしましょうと仲良し面しておいて、これだ。だから名無しを信用に値できないのだ。この展開は予想の範疇に含まれていたが可能性としては極限に低かった。なぜなら魔の大森林(この地)に冒険者組合の冒険者以外立ち入らないと認識していたからだ。ここまで大軍となって、魔の大森林(この地)を踏み荒らしに来るとは誰が予想できるか。否。誰が予想しても実行に移す馬鹿はいない。テンデ・ダーメンあの大男を過小評価していた。ここまでアンポンタンな馬鹿とは思わなかった。

 思考を巡らせる中、事態は動く。

 最前列の連中が我先にと距離を詰めて俺に剣を向けて襲いかかった。

 かなり実戦慣れしている。動きに無駄がない。俺は避けて避けて避ける。回避一択だ。怒号となって襲い来る連中の顔には金金金。金に溺れた者特有のニヘラ表情だ。もう金を手にした気分で武威を示す。大軍を視れば、最前列だけ動いて他は動きを見せない。まだ状況を把握してない。俺が反逆勇者であると何も知らない連中に話が流れて飛び交うのも時間の問題か。

 回避回避回避で、回避するのに嫌気が差す。こんな連中の為に避ける必要があるのか?と内なるドス黒い感情が囁いてくる。感情に蓋をして、一気に後方に飛んで距離を離す。

「へへへへへへっ!」

「反逆勇者は弱い!」

「反逆勇者は最弱のステータス!」

「勇者の中で一番最弱のカス!」

「あの噂は本当だったらしい!」

「俺たちの攻撃を避けるだけで手一杯ときた!」

「こりゃ時間の問題だな!」

「こんな雑魚にどうしてあんな大金を賞金額にしてるのやら……馬鹿馬鹿しい!」

「賞金首がここまで弱いと気を引き締めて挑んだのが馬鹿らしいよな!」

「この賞金で彼女と世界一周旅行するのいいな!いいよな!」

「彼女持ちならそれもありか!」

「風俗の女連中もいいぞ!」

「夢はデカくてなんぼだ!」

「賞金さえ手に入れば、ハハハハハハハハッ!笑いしかでないぜ!」

 完全に油断しきっているな。

 最後に善良な人と信じたい気持ちがある。あわよくば――善良であれ。

「引き返す気はない?そう受け取っていいんだな?最後尾にいる奴らに聞く!それで後悔しないんだな!」

 声が風に乗って響き渡る。

 大軍の後方にいる一番偉そうな人物を視て、声を拾う。

『引き返す気はない。後悔などあるものか。この大隊を任せられた以上、反逆勇者を捕らえれば総隊長の人を任された自分の伯が付くというもの。1対1000を相手にどの口が後悔という戯言を言えるのだ。呆れてたものよ。反逆勇者。自分の踏み台となれ』

 勝ち誇った目。盤上がひっくり返される事はない。鼻から勝てるわけがないと疑ってない。

『ガハハハハッ!反逆勇者は我々と手合わせするに値しない!雑魚なら雑魚として踏み潰されるがいいッ!王都の連中はあんな若造に何を遅れを取っている。舐められる真似をしおってッ!我々がファミリア王国の恐ろしさを教える必要がある!そして賞金は我々の手にッ!』

 バトルアックスを担いだ巨漢の大男もまた勝ち誇った目。人数が1000人という数字に不変はない。逃亡は不可能。王都での逃走と同じ轍は踏まない。二度目はない。確信してる。二人とも目の色を欲望で濁らせている。話す以前に同じ土俵で話す価値すらなかったようだ。

『総隊長。副総隊長。このような話は聞いておりません!賊の捕縛ではなかったのですか!相手は1人!これでは数の暴力といったイジメではないですか!ファミリア王国の騎士としての矜持があるなら一騎打ち……そうではなくとも、包囲網の構築から逃走防止。あとは武力を必要とせず捕獲だけで済むではないですか!これはあまりにも反逆勇者、彼が惨めで可哀想です!どうか進言を――』

『全てはテンデ・ダーメン侯爵の為と思え!』

 偉い人物に異議を唱えた俺と同い年くらいの緑髪の少年は力の篭る眼差しで言う。

『その命令を聞き入れることはできません!騎士としての矜持がそれを許さない!厳罰はお受けします!ですが、この一方的な馬鹿げたイジメを見たいとも思えません!一足先に帰還します!』

 そう言い切った少年は馬に騎乗したまま、来た道を引き返す。

ユーリ(あいつ)!』

『放っておけ!まだまだ騎士として風上にも置けぬ未熟で、敵に対する甘さを持っている。テンデ・ダーメン侯爵(あのお方)の孫にしては実に真逆の性格だ。血が繋がっているとは到底思えない言動だ。話にならないな。帰ったらミッチリ至極必要がある』

 偉い人物2人に対して物申せる勇敢な少年には拍手を送ろう。もし少年も2人と同じ悪意に(まみ)れた性根の腐った輩なら同じ結末を迎える事になっただろう。少なからず心根の優しい人物は腐った国にもいる。そういう人だけは帰ってもらいたいものだ。

「最終勧告だ。戦う気がない者。金に溺れてない者。心根の優しい者は今すぐこの場から退場願う」

 風に乗って大軍全体に一字一句正確な言葉が伝わる。大軍に動揺は――走らない。膨大な情報から全体全ての表情を視たが――誰も彼もが欲望の渦に飲み込まれた我が物顔の表情だ。欲に目が暗んだ連中が表情で物語っている。

「なにが最終勧告だッ!」

「なにが戦う気がない者だッ!」

「なにが金に溺れてない者だッ!」

「なにが心根の優しい者だッ!」

「なにがどうしたら退場せなならんのだッ‼︎」

「反逆勇者この期に及んで逃げる算段かッ‼︎」

「潔く戦えッ‼︎」

「潔く戦って賞金をくれッ‼︎」

「潔く戦わずに逃げるなよッ‼︎」

「おいおいッ‼︎」

「ビビってんのかッ‼︎」

「おらッ‼︎」

「なんとか言えよッ‼︎」

「退場願いまぁーすッ‼︎」

「ヒャハハハハハッ‼︎」

「反逆勇者のモノマネかよッ‼︎」

「面白くもなんともねーなッ‼︎」

「賞金は俺らのもんだッ‼︎」

「行くぞッ‼︎野郎ども‼︎」

「「「「「おっしゃあッ‼︎」」」」」

「「「「「ヒャッハーッ‼︎」」」」」

 何処の世界でも人間の醜さは変わらない。屑は屑だな。

 騎士道精神はない。

 騎士というより盗賊の方が様になっている。

 内側からドス黒い感情が込み上げる。

 蓋を今一度する気になれない。

 黒い感情が蓋から一気に溢れ出す。蓋は感情の本流をせき止めきれず、壊れた。思考を黒く染めて、自分の中の良心を黒く暗く塗り潰す。抗わずに包み込まれて飲み込まれる。

 閉じ込めた黒い感情を解放する。


 欲に塗れた大軍(こいつら)には退場してもらう。


 解き放った黒い感情の波動に呼び寄せられ、闇にのみ生きる闇精霊達が一瞬で俺の周りに集う。

 闇精霊の協力でしか行使不可能の唯一無二の領域に手を掛ける。


 さあ始めよう。舞台は整った。


閉鎖世界(アンロックワールド)


 世界が闇に飲まれ、切り取られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ