現状について考えてみる
先輩方の力作を、これでもかと読みまくっている。
正直、睡眠時間を削るほどのめりこむとは思わなんだ。
若い頃なら耐久ゲーム月間とか大人買い漫画読破地獄とか平気でやってたけど、
三十路もベテランになったあたりからかな。
半日もゲームしたらちょっとうんざりしてきて、
別に急ぎでもない事務仕事に手を出したり・・・。
感受性とか退化してしまったんじゃないかと心配になってた。
ここ十年くらい、読み物といえばビジネス関連ばかりだったのもあるかも。
他人様の空想・妄想に一方的に依存する楽しさとラクさは久しぶりで新鮮。
その反面、他人様の空想でおなかいっぱいな感じで、
自分で物語を生み出したいという欲求が目に見えて減少。
せっかくなので、ちょっと仕事モードも取り入れて、
現状分析と未来予測でもしてみようかという気分。
ひょっとしたら小説のネタにも繋がるかもしれんし。
『なろう』で流行ってる物語といえば異世界ものってことでいいのかな?
現代においてこれが流行るのは無理もない気がする。
まず現代社会における実際の出来事が、人々の想像の斜め上を行っている。
北朝鮮のような小国の瀬戸際外交、国家元首の言動。
トランプ大統領の誕生と言動。
韓国の利害棚上げの目先外交。
中国の海洋進出。
EU混乱からのイギリス離脱。
これらは一昔前の小説や漫画なら、
「いくらなんでも極端すぎてリアリティーがないよ」
ってことでボツをくらうような出来事ばかり。
昭和の子供向けコミックの敵役とか背景のストーリーならありそうな話。
まあつまり現状は、事実は小説よりってやつを地で行っている。
それもダメなほうに、単純馬鹿な方向に。
現実のほうが空想よりも馬鹿馬鹿しくてくだらないなら、
現実世界をベースにした物語を作りたいという欲求は薄くなるだろうな。
ではなぜこんな世の中になったのか?
戦後ずーっと続いてきた資本主義の『成長』ってやつに、
明確な限界が見えてきたことが影響してるんだろう。
資本主義の三つの成長要素。
より多く。
より早く。
より遠く。
この三つの条件に全て当てはまれば最高のフロンティア。
一つでも立派な成長材料。
税金やら銀行融資やらバカスカ放り込んで、
物凄い建造物が作られて、
人・物・金が天下を駆け巡る。
大航海時代なんてその典型。
新大陸発見!、口にしたことない食べ物、見たことない動物、ザクザク出る資源。
人・物を効率よく早く安全に運べばボロ儲け。
ハイリスクハイリターン。社会全体がイケイケアゲアゲ!
奴隷使い放題。働かせたもの勝ち。人権?格差?なにそれ?
勝てば官軍。成り上がったもの勝ち。
産業革命と蒸気革命、戦争特需、冷戦構造、地域格差、国土改造
なんていうフロンティアを見つけて(あるいはでっちあげて)、
人・物・金を向かわせる大義名分にできたわけだ。
ところが現在、その大義名分が乏しくなってきた。
未開拓といえば海底くらい。掘るだけで大変。どうせ有限。
飛行機で海外は当たり前で、その日のうちに世界の裏側に到着。
というか個人がネットで世界中とリアルタイムで繋がってる。
どんな秘境も生物も人物も動画や写真で見てしまっている。
成長といえば経済指標の数字くらいでせいぜい2%。
出番のない金の行く先はマネーゲーム。
もうフロンティアなんて宇宙しか残っていない。
でも現実には月面に数人行ける程度でしかない。
こうなると人々の関心は世界の果てから身の回りに移行する。
『みんな』と自分の違いに怯えて一生懸命空気を読む。
自分の立場がなにより大事。人の失敗は見逃さない。
他人を下げて、相対的に自分を上げるほうがラク。
限られたお客を奪い合うが、大事にする余裕はない。
こんな世相だと政治家も大変。失言一つではい辞職。
それくらいならまだマシで、独裁国家だと自国民に殺されかねない。
だから必死に国民の目を外に向ける。
それなら外に敵を作るのが一番。
強引な斜め上の発想で外交戦展開。
という流れで現在に至ると思われる。
放っておいても『成長』を実感・享受できていた世代の連中は
いまだ無邪気に成長!成長!とがなりたてるけど、
バブル以降に生まれた世代は好景気なんて見たことない。
戦時でもないし魔王がいるわけでもないのに、
人口は減り、老人と税金は増えて生きるだけで精一杯。
終身雇用は過去の夢で、社会保障は望み薄。
ならせめて空想の中だけでも。
見たことも聞いたこともない世界で、
初めて手にする感触、目にする光景に驚いて、
自分の行動がダイレクトに結果に反映される体験をしたい。
というのは自然な流れなんだろうな、と思う。
まあ異世界分野もかなり探索済みで細分化が進行中。
誰か空想世界の新大陸を発見しませんかね?
一応私も目指しますけども。
遭難しないといいなあ・・・