誕生日会の月曜日 その2
テーブルに料理を並べてそれぞれがグラスを持つ。
「それじゃリョータ、宜しく」
「おう!え〜みんな忙しい中、今年もこうして誕生日会を開いてくれてありがとうな!杏奈、梓、誕生日おめでとう!俺は……俺は2人が大好きだっ!カンパイ!」
グラスを合わせてみんなで2人を祝福する。
あはは、何でリョータが涙ぐんでるんだよ?
「ありがとう!リョータ大好き!」
「ありがとうございます〜リョータ!大好きよ」
「俺も大好きだぁ〜!!」
両手に花とはよく言ったものでいつ見てもリアルハーレムだよね。
「……西尾くんて色々とすごいわよね」
「みちる、アレは例外だ。例外」
みちる先生が今年もリョータを見て目を丸くしている。
それもそうだろう、だってハーレム野郎だからね。
「じゃあ冷めないうちにどうぞ」
「おおっ!美味そうだな!」
「皐月君の主夫感が毎度のことながら半端ないわね」
「先輩の空気感もです〜」
今日のメニューは、西方さんのところの鴨のロースト、ポテトサラダにナゲットやウインナーなど摘めるものとコーンポタージュ、ご飯は少しヘルシーに玄米にしてみた。
野菜が少なかったのでベジタブルスティックも作っておいた。
飲み物は僕やリョータは未成年なのでジュースだけど、鈴羽やみちる先生に杏奈ちゃんに梓ちゃん用にアルコールもある。
もちろん買ってきたのは鈴羽だ。
「うわっ!美味っ!何これ?鶏肉?」
「ふふふ、これは鴨なのよ」
「鴨!?へぇっ鴨ってちょっと苦手なイメージがあったんだけど食べやすいんだね」
「皐月君が色々とこだわったからね」
「皐月の主夫感が更に増したな……」
「中々いい出来でしょ?」
「うん!美味しいわ、立花くん」
良かった、中々に好評のようだ。
「でも皐月君、この匂い消しと後味に使ってた八朔が手に入らないって言ってなかった?」
「うん、だからね……ちょっと代用品を探したんだ」
そう言って僕はキッチンから八朔に似た果物を持ってくる。
「これなんだけどね」
「みかんよね?何だろ?」
「おっ!それって文旦じゃねぇか?」
「高山君、正解。文旦だね、水晶文旦って言って甘味と果汁が多目で丁度良かったんだ」
時期的には9月くらいから収穫が始まる為、今が旬を迎える文旦はこの水晶文旦とハウス文旦がありハウス文旦より皮が厚くて甘味が濃厚なこっちの方が料理に合っていた。
切り分けて冷蔵庫で冷やしておいた文旦もテーブルに並べる。
「お前さぁ実家じゃなくて料理人になればいいのにな」
「あはは、料理は趣味だよ。ただ鈴羽に食べてもらいたいだけで始めただけだしね」
「おおっサラッと惚気られた!?」
「杏奈ちゃん、これには勝てないよ。うちの社員じゃ」
これだけの人数が食べると料理もあっという間になくなり、僕は再びキッチンでケーキの用意をする。
「杏奈、梓、ちょっといいか?」
そこでリョータが2人を呼んでいるのが見えた。
「何?リョータ。真面目な顔して」
「あのよ、今はこうして3人で一緒にいるだろ?俺はもちろん2人の事が好きだし愛してる。でもどうやっても2人共と結婚できないだろ?だからさ、2人はどう思ってるのか聞いときたくてな。はっきり言ってくれないか?お前らは俺と結婚したいと思うか?」
「…………」
「…………」
これは前からリョータがずっと悩んでたことだ。
リョータには2人と別れたりどちらかを選ぶなんて考えはないから、2人の意思を尊重したいと思っている。
ましてや高山君がみちる先生と結婚したり、僕と鈴羽が結婚を前提にして付き合っていたりするから余計にそう思ったんだろう。
「リョータは私達の事が同じくらい好きなんだよね?」
「ああ、もちろんだ」
「私か杏奈ちゃん、どっちかを選んで結婚する気はないんだよね?」
「どっちかなんて選べねぇよ」
「じゃあ別にいいじゃない」
「え?」
「私も梓もそこには拘りはないし、未婚の母でもいいし」
「え?」
「そうかな〜お母さんが2人いるのもいいかもね〜」
「え?」
「だから、リョータは気にしなくていいの!私も梓も今のままで十分に幸せだしこれからもリョータが私達をいっぱい愛してくれたらそれでいいの!」
「杏奈……」
「そうそう、そんなことで悩んでも仕方ないよ〜杏奈ちゃんともそんな話は沢山したしね〜」
「梓……」
いつの間にかキッチンの僕の隣には鈴羽が来ていて僕にそっと寄り添う。
ソファでは高山君がみちる先生の肩を抱いてじっとリョータ達を見ている。
「ありがとな……ありがとう……俺は幸せだ……」
「ちょ、ちょっと何泣いてるのよ!リョータ!」
「よしよし、泣かない泣かない」
知らない人から見ればいい加減なヤツだと思われるかもしれない、二股だと言われるかもしれない。
けど、リョータは2人を同じ様に愛してるし2人にはリョータが唯一なんだ。
だからこんな関係があってもいいんじゃないかと思う。
「ふふっ貰い泣きしちゃった」
「僕も泣きそうになったよ」
僕は鈴羽を抱き寄せて、そっとその涙を拭った。
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