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全裸男、家へ帰る

作者: カモマサ

 目を覚ますと私は全裸だった。下も何も履いていなかった。

 愕然としつつも、もう夜は明けている。何とか家に帰らなければ、そう思い回りを見渡すとまだ明け方のようで人はおらず何か身に付けることのできそうなものを探した。だが、軍手が一つと壊れたビニール傘ぐらいしか見当たらなかった。

 とりあえず股間を手で隠しつつ壁を背にして家を目指すしかなかった。どうやら家から一番近い駅の周辺らしい。昨日、飲みすぎた記憶もないがとにかく帰るしかない。

 壁を背にし曲がり角をのぞき込む。幸いだれもいない。

 そこへ、いきなり「ワンワン!」

 正面の家の柴犬が私を怪しんでか吠えてきた。ガラっと窓を開ける音がするや否や私は無我夢中で走り出すしかなかった。一心不乱に走り続けていると公園を見つけなんとか隠れることができた。息を整えつつ何か身に付けることのできるものはないかと探した。

 ギコ、ギコ

 振り返ると小さな男の子がブランコに乗っている。こんな時間にひとりきりで。しかも、その男の子も何も着ていなかった。驚きつつも子供が裸でも許されるかもしれないが、私はそうはいかない。服は見つからず結局全裸のままで公園を出た。

 壁を背に家へ急いでいると、一階のベランダにタオルが干してあるのが目に留まった。これは幸運と周りを見渡しつつ近づていくとガラッと窓が開き若い女性が現れた。私はなんとか手すりの下にしゃがみ込み見つからないように願った。またガラッと音がし、女性は部屋へ戻って行った。

 ほっと胸をなでおろす。だが、一瞬のことで見間違いかもしれないが、あの若い女性も何も着ていなかったように見えた。

しかし、室内で何も着ていなくても問題はない。とにかく家へ急がなくては。

 なんとか人通りの多い道を避けアパートの階段を駆け上がり扉あけ、部屋に転げ込んだ。

 ほっと一息つく。とりあえず何か着ようとクローゼットを開けるとあったはずのスーツやTシャツが全てなくなっていた。タンスも空だった。そわそわと部屋を行ったり来たりしているとリモコンを踏んづけてしまいテレビがついた。

 私は驚愕した。ニュース番組のアナウンサー、キャスターも皆、服を着ていなかった。全裸だった。どのチャンネルを回しても服を着ている人は誰もいなかった。

「今日のお天気です。」

当たり前のように裸でさわやかにお天気お姉さんが今日の天気を解説していた。そして、渋谷のスクランブル交差点を全裸の男女がすれ違い歩いている光景が映し出された。

 私はどうやらアダルトビデオの世界にでも入り込んでしまったようだと思い、目を閉じた。

 

 


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