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幕間
--そこは月の光が届かない、暗く淀んだ場所だった。
「さあ、準備は整った」
周りに生物の気配はなく、自身を満足させる為だけにその言葉は紡がれていた。
「怨みを晴らせるこの時をどんなに待ち焦がれたことか。全てを壊して壊して壊しつくしてやる」
口を歪めて吐かれたそれは呪詛。
狂気を交えた笑みは次第に肩を震わせ、腹の底を震わせる。
「ふっ、ふふ、ふはははははははは! 存分に楽しませてくれ」
空気を震わせたまま、その影は暗闇に消えた。
その日、魔王軍が進軍を始めた。