表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブな私としましては。  作者: ちょこ
真実を知った私としましては。
42/50

幕間 - sideR -

 赤い絨毯に、煌びやかな装飾。そして、大きな玉座。全てが俺の物だ。

 どっしりと玉座に座っている俺に、弟のダミアンが早足で近づいて来た。


 「兄上、魔王が誕生したらしいが、どうするおつもりか?」


 その顔には、焦りと恐怖と、少しの敵意が浮かんでいた。


 「魔王は敵対しないと申しておる。何もする必要なかろう。無駄に民の心を陰らせる必要もない」


 「し、しかし!」


 ずっと俺の後ろにいるしかないダミアンは、前々から俺の意見に物申す事が多かった。自分の意見が正しいと心の底から思っているので、タチが悪い。


 「魔王が生まれてすぐ、直々に書面を寄越したのだ。わざわざこちらから手を出す必要もない。それに、戦争に向かうのは我が国の宝たちだぞ?」


 「そんなものは承知している。だが、魔王の脅威は拭えないだろう。兄上は魔族との戦争に怯えておられるのか?」


 小馬鹿にしたような態度で鼻を鳴らす弟の溢れ出る小物感に、ついついため息を漏らしてしまった。こいつは小さすぎる。


 「ダミアンよ、それはしかと考えた上での発言か?」


 「兄上は甘すぎるんだ! このままではヘリウス王国が没落してしまう!」


 「先を見据えての行動は起こしておる。お前には理解できぬだろうがな」


 「もう、兄上には任せておけない」


 そう言い残してダミアンは去って行った。




 それから、何度も暗殺されそうになった。もちろん、そんな事で殺される俺ではないが。


 「とはいえ、流石にこれはまずいな」


 俺の目の前には勇者が立っていた。


 「すみませんね、ダミアン様から殺れって言われてるんで死んでください」


 「参ったな、見逃してくれないか?」


 「それは無理だ。これからの作戦にお前は邪魔にしかならないしね」


 素早く視線を動かす。今はまず、生き延びなければならない。


 「じゃ、さようなら王様」


 言うや否や、すぐ目の前で剣が踊った。勘で避けたが、肩が大きく裂けた。


 「ぐっ……!」


 鋭い痛みに顔を顰める。


 一撃で殺せなかった事に驚いたのか、勇者は距離を取って笑いながら構え直した。


 「意外とやるねぇ」


 次はきっと避けられない。ジリジリと距離を取る。


 「全く、勇者が殺しとは。世も末だな」


 「勇者が正義なんて、誰が決めたんだろうね?」


 「それもそうだな。だが、生憎お前に殺されるつもりはない!」


 そう言って身を翻し、窓から飛び降りた。かなり高いが、少しでも助かる可能性に賭ける。

 窓から勇者が身を乗り出すのが見えた。


 「うぐっ……!」


 何とか受け身は取れたが、強い衝撃が全身を襲う。もしかしたら、勇者が俺の死を確認しに来るかもしれない。

 動かない体を叱咤し、なんとか木の影まで這いずったが、意識が朦朧としてきた。


 「これまで、か」


 あまりの顛末に自嘲する。

 意識を失う瞬間、黒い長身の影が近づいて来るのが見えた気がしたーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ