五十二杯目 夢見る女の子
私の王子様はどこかしら?
新緑が深まる季節。
気持ちの良い風。
町はすっかり緑一色。
気持ちの良い天気が続くと気分もあがるのだった。
「いらっしゃいませ」
今日もカフェは沢山のお客様が来て賑わう。
「お待たせしました。コーヒーになります」
「あきらちゃん。こっちもお願い!」
「はい!分かりました」
こんな感じで忙しく働くのだった。
忙しく働いているとカフェの扉が開く。
「あきらさん。来ちゃった」
「あ!いらっしゃいませ!楓さん」
「あきらお姉ちゃん、こんにちは」
「こんにちは。美紅ちゃん」
「なんだかごめんなさいね。なかなか来られなくて」
「謝らないでください。大丈夫ですよ。お好きな席にどうぞ」
「ありがとう。あきらさん」
楓さんは3児のお母さん。
育児が大変でなかなかカフェには来られないが時間があれば必ず長女の美紅ちゃんを連れてきてくれる。
美紅ちゃんは絵本が大好きな女の子でよく絵本を読んでと頼んでくることがあり、時間があるときは絵本を読んであげるのが私の日課になっている。
「あきらお姉ちゃん、絵本をよんで!」
「美紅ちゃん。今日はあきらお姉さんは忙しいから今日はママが読んであげる」
「やだ!あきらお姉ちゃんがいい!」
「美紅ちゃん。わがまま言わないの」
「やだ!」
美紅ちゃんがだだをこねる。
どうしようと思っていたら幸司さんが助け船を出してくれる。
「あきらさん。読んであげてください。落ち着いてきたので私が接客に入るので!」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「それじゃあお願いできますか?」
「はい」
「すみません」
楓さんが謝る。
「お客様、大丈夫ですよ。謝らないで下さい」
「美紅ちゃん、いつものスペースで読もうか!」
「うん!」
そう言って私と美紅ちゃんは絵本が読めるスペースに移動するのだった。
今日の絵本は「シンデレラ」
美紅ちゃんが一番好きな絵本。
私は心を込めて絵本を読むのだった。
絵本を読み終えると美紅ちゃんは満足そうに笑う。
「美紅ね。王子様に会いたい」
「えっ?王子様に?」
「うん。白馬に乗った王子様に」
「そうなんだ!素敵な夢だね。会えるといいね」
「うん」
「会えたらなにしたい?」
「うーんとね。遊びたい」
「そっか」
なんて夢のような話をしていると幸司さんが飲み物とお菓子を持ってきてくれる。
「オレンジジュースとお菓子を持ってきました」
「ありがとうございます。幸司さん」
「ありがとう」
「ちゃんとお礼が言えて偉いね」
幸司さんが美紅ちゃんの頭を撫でると美紅ちゃんは照れくさそうに笑う。
「美紅ね。王子様に会いたい!」
幸司さんに同じ話をする。
「王子様かぁー。」
「うん」
「どうやったら会えるかな?」
「うーんとね。夢の国に行く!」
「えっ?夢の国?行けるの?」
「美紅ね。実は夢の国に行けるんだ!」
「そうなんだ!もし行くことがあったらどんな王子様だったか聞かせて」
「うん」
そう言うと美紅ちゃんは満足そうに笑うのだった。
帰る時間になり、美紅ちゃんと楓さんは帰っていった。
美紅ちゃんは夢が叶うといいなと思う1日だった。




