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四十七杯目 香織の涙

涙は色々。


今日はあいにくの雨。

朝から雨が降っている。

雨が降っていると気分が落ち込む。

「なんだか嫌な天気だな」

なんて言っていると傘を差していない女性の姿があった。

女性は雨に打たれながら悲しそうにうつむいていた。

私はなにやってるんだろうと思い、その女性を無視できずに傘を差して女性の元に向かった。

「あの、どうされたんですか?風邪引きますよ」

傘を差し出すと女性は顔をあげる。

その顔に私はビックリしてしまう。

その女性は香織だったのだ。

「どうしたの!?」

すると香織は安心したのか「姉さん」と涙声とともに私を抱き締めた。

何がなんだか分からない私はただ香織を抱き締めることしか出来なかった。


雨が落ち着く頃には香織も落ち着いていた。

今日は幸いなことにお客様がいない。

香織は落ち着きを取り戻し、ようやく口を開いた。

「ごめんなさい。姉さん。迷惑かけちゃって」

「ううん。大丈夫だよ。迷惑なんて思ってないから」

「ありがとう」

「なにか悲しいことや辛いことがあったんだね」

「・・・・・」

「無理に話すことないからね。香織が話したい時に話せばいいことだから」

「・・・・・」

「暖かい紅茶でも飲んで!飲めば少しは楽になるからさ」

「・・・うん」

そう言うと香織は紅茶を飲む。

私も付き添うように紅茶を飲むのだった。

しばらく時間が経って雨が止み、晴れる。

でも香織の気持ちは晴れなかった。

すると香織は悲しそうに空を見上げて言った。

「姉さん」

「んっ?」

「私、あと一週間したら実家に帰るね」

「うん。わかった。帰る時はお見送りするから言ってね」

「うん。ありがとう」

「姉さん」

「んっ?」

「私、この恋を諦めようと思う」

「えっ?なんで?」

「実は昨日ね。見ちゃったの!皇本さんが綺麗な女性と一緒にいるところを」

「うん」

「凄くお似合いだった」

「・・・・・・・・・」

「よかった。これで。これで諦められる」

香織はまた泣き出してしまう。

「香織」

私は香織を慰める。

慰めることしか出来なかった。

言葉なんてかける余裕はなかった。今の私には。

幸せのはずだったのに突然に香織は不幸になった。

こんな不公平なことってある?と思った。

こんなにも私より可愛いはずの彼女が恋に破れるなんて想像が出来ない。

苦しいよね!香織!辛いよね!香織!

私はただ心の中でそう叫ぶしか出来なかった。

そうして一緒に泣くのだった。


「姉さん。ありがとう」

「ううん。落ち着いた?」

「姉さんが一緒に泣いてくれたから少し楽になった」

「そっか」

「姉さん」

「んっ?」

「しばらくはカフェにこられそうにない」

「うん。わかってる。ママには上手く言っておくから」

「ありがとう」

「何かあったら連絡ちょうだいね」

「分かった」

「お休みなさい」

「お休みなさい」

そう言って香織は行ってしまった。

夕日が悲しそうに光を放っていた。









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