四十三杯目 駿くんの可愛い嫉妬!
嫉妬は愛情の裏返し。
今日はホワイトデーの日。
バレンタインからもう一か月経つ。
雅人さんはどんな気持ちで今日を迎えているのかな?
でもお返しが目当てであげたわけじゃないんだよね。
でも出来たらお返しが欲しいかな。
この空を雅人さんも見てるかな?
出来ることなら今すぐ会いたいなぁ。
そんなことを考えながら空を見ていると幸司さんが声をかけてくれる。
「どうかしたんですか?」
「えっ?あ、幸司さん。ちょっと考え事をしてて」
「考え事ですか?」
「今日はホワイトデーなんだなと思ってみんなはどう過ごしているかなって」
「なるほど!そうだったんですね」
「はい。幸司さんはバレンタインは何か貰いましたか?」
「僕ですか?いや、何も頂いてませんよ」
「えっ?意外ですね。幸司さんはモテるイメージがあるのに」
「貰わないようにしてるんです。お返しが大変なので」
「そういう男性もいるんですね」
「はい。嬉しいですけど誤解されたくないので」
「なるほど。ごめんなさい!変なこと聞いてしまって」
「大丈夫ですよ」
なんてそんな話をしていると開店時間になるのだった。
「いらっしゃいませ」
今日も私達は笑顔でお客様を出迎える。
そして笑顔で接客する。
お客様が話す会話はホワイトデーの話ばかりであった。
私はどんな話をしているのか興味を持ちながらこっそり聴くのだった。
そんな話ばかり聴くと雅人さんに会いたくなってくる。
今日、お店に来てくれるといいな。
そんなことを考えているとカフェの扉が開く。
「いらっしゃいませ」
私は笑顔で挨拶するとそこには雅人さんの姿があった。
私はあまりにも早い登場にフリーズしてしまう。
すると雅人さんは軽く笑って声をかけてくれる。
「あきらさん、こんにちは」
ようやく彼の言葉にはっとし、我に返るのだった。
「ま、水野さん。こんにちは!今日はどうしたんですか?」
「今日は有給休暇をとってあきらさんに会いにきたんです」
その彼の言葉にドキっとしてしまう。
私はドキドキを抑えながら話を続けるのだった。
すると彼は「ちょっと話したいことがあるんだけど外に出ない?」と私を誘う。
戸惑っている私をママが「いってらっしゃい」と言って背中を押してくれるのだった。
私はママにお礼を言ってカフェの外に出るのだった。
カフェの外に出ると雅人さんが紙袋を渡してくれる。
「これ、バレンタインのお礼」
「えっ?」
「手作りのお菓子、とてもおいしかった」
「あ、ありがとうございます」
「こちらこそありがとう」
雅人さんは照れくさそうにお礼を言う。
私はそんな彼の姿にほっとするのだった。
「あと、ごめんな。最近、仕事が忙しくて連絡できなくて」
「いいえ。こちらこそすみません。しつこく連絡してしまって」
「それは大丈夫だから。連絡くれて嬉しかったから」
「本当ですか?良かったです」
「あぁ・・・あきら」
「はい?」
「今日も可愛いね」
「雅人さん」
「好きだよ。あきら」
「私もです。雅人さん」
なんて自分達の世界に入っていると「あ!」と聞き覚えのある声が聞こえた。
「ママ、あきらが男と一緒にいる!」
「こら!駿!邪魔をしてはいけません」
「美玲さん!駿くん!」
まずい!見られてたし、聞かれてた!は、はずかしい!
私は今すぐ穴に入りたい。
私が顔を真っ赤にしていると駿くんが怒った顔で雅人さんを見る。
「おまえ!俺のあきらになんの用事だよ!」
「俺のあきら?」
「こらっ!駿!相手の方に失礼でしょ!ごめんなさい。口が悪くて」
「いいえ。君、名前は?」
「駿だ!」
「駿くんかぁ。はじめまして。水野雅人と言います」
「ふん。そんなこと聞いてないんだよ!」
「あ。ごめん。そうだったね」
雅人さんはニコッと笑う。
駿くんはそんな雅人さんにイライラしている。
ど、どうしよう。
「おまえ!あきらに何の用事だよ!」
「今日はホワイトデーだからお返しにあきらさんに会いにきたんだよ」
「まぁ」
「あきらとの関係は?」
「こら!いい加減しなさい!本当にごめんなさい」
「あきらさんとの関係?そうだな・・・」
雅人さんがちらっと私を見つめる。
私は思わず恥ずかしさのあまり、目を逸らす。
すると雅人さんがニコッと笑って答える。
「俺とあきらさんは恋人同士だよ」
「えっ?あきらさん!そうなの?」
「は、はい」
「駿!そういうことだから帰りましょう」
「やだ!あきらに恋人が出来るなんてやだ!」
「駿くん」
「もうおれのあきらじゃないの?そんなのやだよ」
駿くんが泣きだす。
私は駿くんの涙にもらい泣きしてしまう。
すると雅人さんが駿くんに声をかける。
「駿くん」
「お前なんて嫌いだ!」
「ごめん。本気であきらが好きなんだね」
「うっ」
「駿くん。これだけは言わせてほしい。あきらさんはこれからも普段と変わらず、駿くんに関わってくれるよ」
「えっ?」
「あきらさんは俺の彼女だけど俺だけのあきらさんではないよ!みんなのあきらさんだからね」
「雅人さん」
「だから駿くんはあきらさんのことを好きでも俺はいいよ!」
「本当だな」
「うん」
「あきらを傷つけたら許さないからな」
「うん」
「じゃあ、約束しろ」
「うん」
雅人さんと駿くんは指切りをするのだった。
まるくおさまり、私と美玲さんはほっとするのだった。
「行こうか?駿」
「うん」
「あきら」
「ん?」
「幸せになれよ」
「ありがとう」
そう言って駿くんは照れくさそうに美玲さんと帰っていくのだった。
私達はそれを見送るのだった。
「雅人さん、今日はありがとうございます」
「俺の強敵になりそうだね。駿くんは」
「そうですかね」
「でもあきらは誰にも渡さないから」
「雅人さん」
「あきら」
彼が甘い声で私を呼ぶ。
私はそんな愛しい彼の頬にそっとキスするのだった。




