三十三杯目 皇本さんの強み!
なにか強みがあると人は誇らしい気持ちになる。
皇本さんの接客デビューも無事に終わり、今日から正式に私と同じ接客担当になる。
私は一応、仕事上で言えば先輩もしくは教育係になるのかな。
でもママのカフェではそんな関係はないだろう。
一人一人を大切にしてくれるママだから。
私は皇本さんの先輩でなければ教育係でもない。
ただの仕事仲間だ。
そう思うと気が楽になってくる。
今日も一日頑張るぞ。
そう心に言い聞かせてカフェに向かうのだった。
カフェに着くと中では皇本さんが掃除をしていた。
まだ朝早いのに無理して来たんだろうな!
私はそっとカフェの扉を開けるのだった。
「おはようございます。皇本さん」
「おはようございます。あきらさん」
皇本さんが満面の笑みであいさつしてくれる。
私も笑顔で答える。
「掃除、ありがとうございます」
「いいえ。僕の仕事ですから」
「すみません。なにかお手伝いしますか?」
「大丈夫です。あと少しで終わりますから。あきらさんはゆっくりしていてください」
「ありがとうございます」
でもなんだか落ち着かないので身だしなみのチェックし始めた。
しばらくすると皇本さんが私に親切に報告をしてくれた。
私も一応チェックするが完璧に掃除されていた。
私はほっとした。
これなら皇本さんにやってもらっても問題ないなと感じた。
「皇本さん、ありがとうございました」
「いいえ」
「疲れていませんか?」
「大丈夫です」
「それは良かったです」
「はい」
「なにか飲みましょうか?」
「いいですか?」
「私のコーヒーでよければ」
「ぜひ、お願いします」
「はい」
私はカウンターに行き、コーヒーをいれるのだった。
「おまたせしました」
「ありがとうございます。いただきます」
「どうぞ」
「おいしい。やっぱりあきらさんはコーヒーをいれるのが上手いですね」
「ありがとうございます」
「紅茶もいれるのも上手いってママから聞きました」
「そうなんですかね。自分では分かりません」
「色々な強みがあって羨ましいです」
「ありがとうございます。皇本さんはなにか強みはありますか?」
「僕の強みはこれです」
皇本さんがスマホを取り出して見せてくれた写真はラテアートだった。
私はその綺麗なラテアートに心を奪われた。
「凄く素敵なラテアートですね」
「ありがとうございます。まだ簡単のしか作れないんですけど」
「ママに相談してラテアートやりましょう!」
「えっ?」
「皇本さんのラテアート、素敵なんですもの。きっとラテアート好きが集まりますよ」
「本当ですか?」
「はい。私が保証します」
「分かりました。やりましょう」
「やりましょう」
そう言って私と皇本さんは一致団結するのだった。
ママが帰ってきてさっそく私は皇本さんのラテアートをカフェに出したいと言った。
ママに写真を見せるとママはビックリした顔で写真を見ていた。
そしてしばらく考えてくれて皇本さんのラテアートを新メニューに加えることになり、明後日、お披露目会も開くことになった。
私と皇本さんは一緒に喜んだ。
「さてその話はおしまいしてカフェを開けますか」
「はい」
「今日もよろしくね。あきらちゃん。こうちゃん」
「はい」
私たちは元気に返事をした。
そしてカフェの扉をママが開け、私達の一日が始まる。




