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二十六杯目 妖精さんが好きな女の子

不思議な女の子がやって来た。


私のバレンタインは無事に終わり、あれから雅人さんとの距離がグッと縮まった気がする。

沢山メールしたり、電話するようになった。

思わず掃除中にニヤニヤしてしまう。

ママのおかげだ。

「まーくんはね・・・抱きしめてもらえると嬉しいのよ」

ママの言葉が思い出す。

あれがなかったらたぶんこんなにも距離が縮まることはなかった。

あとでお礼をいっておこう!

でもご主人からは質問攻めにあいそう!

ご主人にはまだ雅人さんと付き合っているとは言ってない。

ママからは言わない方がいいと口止めされている。

複雑な心境だな。

私が色々考えているとママが声をかけてくる。

「あきらちゃん」

「は、はい」

「あれ?なにか考え事?」

「いいえ」

「そう?ならいいけど」

「ママ、昨日はありがとうございました」

「んっ?」

「雅人さんともっと距離を縮めることが出来ました」

「それは良かったわ。若いっていいわね」

「は、はい」

「もう。あきらちゃんったら顔が真っ赤!」

「ママが思い出させるからですよ」

「ごめんね。開店させるわね」

「もう。あ、そうだ。笑顔笑顔!」

私はいつものおまじないをかけて接客に励むのだった。


今日もお客様がやってくる。

私は笑顔で接客をする。

お客様の大半は常連客なので顔と名前は一致しており、自分から話しかけることをしている。

「あきらちゃん」

「はい!村下さん。いつもカフェに来ていただいてありがとうございます。」

「嬉しいね。覚えてくれているなんて」

「大切なお客様ですから」

「ありがとう!」

「ゆっくりしていって下さいね」

こんな感じで名前を覚えてコミュニケーションをとるのも接客に求められる技術だ。

そんな感じで接客をこなしていると初めて見る親子連れのお客様がやってきた。

「いらっしゃいませ。こんにちは」

「こんにちは」

「いつもでしたらお好きなお席に座っていただいているんですが今日は他のお客様がいらっしゃるので席のご案内になってしまうんですが宜しいですか?」

「そうなんですか?大丈夫です」

「ありがとうございます。それではお席に案内しますね」

「はい」

お母さんが娘のペースに合わせて歩く。

私もお客様のペースに会わせて歩く。

「どうぞ!こちらの席になります」

「ありがとうございます。私達、このカフェに入るのが初めてなんですがずっと入りたいと思ってたんです」

「ありがとうございます。ゆっくりしていって下さい」

「ママ」

「んっ?」

女の子が喋る。

「このお姉さん。妖精さんみたいに輝いているね」

「そうね。あ、ごめんなさい。変なこと言ってしまって」

「いや、謝らなくて大丈夫です。ありがとう」

私は女の子にお礼を言う。

「うん。あやかね。妖精さんが見えるの」

「あかねちゃんって言うのね。そうなんだ!妖精さん、好き?」

「うん」

「そうか!」

「お姉さんって妖精さんなの?」

「あやか」

「あやかちゃんから見れば妖精さんかもね」

「そうなんだ!やっぱり妖精さんはいるんだ!」

あやかちゃんは目をキラキラさせる。

不思議な女の子だな。あやかちゃんって!

「お姉さんのお名前なんていうの?」

「あきらって言います」

「あきら?」

「ひらがなであきらって書くんだよ」

「あやかと同じだ!」

「よろしくね。あやかちゃん」

「うん。」

「あきらちゃん!注文入ったわね!」

「はーい。長話になってしまってすみません」

「いいえ。こちらこそありがとうございます。」

「行っちゃうの?」

「ごめんね。あやかちゃん。」

「あやか。あきらお姉さんはお仕事をしてる身だから行かないといけないのよ。だからいい子にしてようね」

「うん」

「また妖精さんの話、聞かせてね」

「うん」

「いい笑顔!じゃあ失礼します」

そう言って席を後にするのだった。

しばらくしてあやかちゃんとお母さんが帰る支度をする。

「お会計、お願いします」

「はーい。ありがとうございます。」

「今日は娘の話に合わせていだだいてありがとうございました。」

「いいえ。こちらこそありがとうございました。」

「あきらさんが初めてです。あかねの気持ちや言葉を汲み取ってくれたのは」

「えっ?」

「なかなか理解していただけなくて」

「そうだったんですか?辛かったですよね?」

「でもこのカフェに来てあきらさんに会えて良かったです。またここに来たらあかねの話し相手になってあげてください」

「私で良ければいつでも!」

「ありがとうございます。それでは失礼します」

「バイバイ。あきらお姉ちゃん」

「バイバイ。あかねちゃん」

私は見えなくなるまで見送った。

初めて妖精さんの話をする女の子に出会った。

でもその話す姿はとても素敵なものだった。

目をキラキラさせて純粋そのものだった。

なんでそんな女の子が妖精さんの話をしているだけなのに疎まれるんだろうか?

私はしばらく一人で考えた。

そして考えた。

このカフェはやっぱりこの世の中には必要なんだ。

私はその人達の味方でいたい。

私はこのカフェの必要性を再度、認識することが出来たのだった。





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