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二杯目 その女性はママに相談する

夜がくると朝は必ずやってくる。

そんな当たり前が続く日常。

でも私は一日を大切にする。


昨日の女性のことが気になり、あまり眠れなかった。

私はあくびをしながらも支度をするのだった。


「行ってきます」

家を出ていつもの道を歩く。

いつもの道のはずなのに今日だけ違う道に見えてくる。

私の心の中はあの女性のことでいっぱいだ。

昨日のあの女性の悲しそうな顔が私の頭をリフレインする。

あんな顔をされたらこっちまで悲しくなる。

いったい彼女の悩みはなんだろう?

私は色々考えながらカフェに向かうのだった。

「ママ、お早うございます」

カフェに着くといつもどおりママに挨拶するがママの姿がない。

私がうろうろしているとご主人が私に声をかけてくる。

「お早う、あきらちゃん。どうしたの?」

「ご主人、ママはどこですか?」

「ママは外出してるんだ」

「外出?」

「業者から電話があって良いコーヒーを手に入れたから来ないかって誘いの電話が来たんだ」

「そうなんですか?」

「もう少しで帰ってくると思うよ」

「はい」

「なにか悩みごとかい?」

「いいえ。私じゃなくてある女性なんですけどね」

私はご主人にあの女性について話す。

「なるほど。そういうことね」

「はい。とても悲しそうに見えたので深刻な悩みなのかなと思って」

「うーん。難しいね」

「はい」

「でもあきらちゃんは優しいね」

「えっ?」

「なかなかそういうことはできないよ」

「ありがとうございます」

「あきらちゃんは偉いな」

「えへへ」

ご主人が頭を撫でてくれる。

凄く安心した。

「さて、仕事に戻りますか!掃除、宜しくね」

「はい」

私は掃除を始めた。

外は良い天気。

雲一つない。

考え事をしながら歩いていたから気づかなかった。

「今日も良い天気!」

私は空に向かって伸びをする。

私の心もあの空みたいに晴れるかな

あの女性の心もあの空みたいに晴れるかな。

そう感じながら掃除をするのだった。

掃除をしているとママが帰ってくる。

そしてママの後ろにはあの女性がいた。

「おかえりなさい。ママ」

「先日はどうも」

私はお辞儀をすると女性は丁寧にお辞儀をしてくれた。

「あきらちゃん、知り合いなの?」

「お店を閉める前にお話ししただけで」

「そうなの?」

ママが女性に聞く。

すると女性は頷く。

「掃除は終わった?」

「はい。ひとどおり終わりました」

「そう。ありがとう」

「ちょっと早いけどあけましょうか!」

「はい」

「さぁ、どうぞ」

「お邪魔します」

そう言って私たちはカフェに入っていく。

カフェに入って女性を好きな場所に座らせる。

ご主人がコーヒーをいれてくれる。

女性はコーヒーを飲んだ。

「優しい味がする」

「優しい人が入れてるので」

ご主人が笑いをとる。

すると女性は笑った。

笑ってくれてよかったと私は安堵する。

ご主人と入れ替わりにママがやってくる。

そしてママが座る。

私は席を外す。

すると「私、どうしたら良いでしょうか?」と女性が涙声で話をする。

「何かあったのね」

ママが優しく言葉をかける。

私とご主人はその様子を遠くから見守る。

そして女性は涙を流しながら話をする。

ママは黙って話を聞く。

女性の辛そうな顔に私は感情移入してしまう。

よっぽど辛いことや悲しいことがあったんだな。

それと同時に気になって仕方なかった。

どんな話をしているのだろうか?

ママはどんな話をするだろうか?

相談にのるってなかなか難しいよな。

私には無理だな。

そう考えながら手を動かす。

開店時間が過ぎ、お客様が徐々にやってくる。

私はお客様の対応をする。

さいわい、今日はお客様が少なかったので私とご主人でなんとか対応が出来た。

ママは女性と聞き、話をする。

「なるほどね。そういうことがあったのね」

「はい」

「だったらあなた自身、もうわかっているんじゃないかしら」

「えっ?」

「ちゃんと自分で考えられているじゃない」

「そうですか?」

「そうよ」

「・・・・・・」

女性はママの言葉に黙ってしまう。

その沈黙は女性に何を与えているんだろうか?

私はそう感じてしまう。

そして女性はしばらくしてママに目線を合わせる。

「そういうことなんですね」

「そういうことよ」

ママはニコッと笑う。

女性もつられてニコッと笑うのだった。

「ママに相談して良かったです」

「それはよかったわ」

「はい」

女性はやっと笑顔を取り戻した。

私は遠くから見てほっとした。

女性はコーヒーを飲む干すとまたお代わりを頼んだ。

私は女性にコーヒーを注ぐ。

私は女性に声をかける。

「笑顔になって安心しました」

「心配かけてごめんなさい」

「いいえ」

「あなたも心配してくれたのね。ありがとう」

「とんでもないです。また来て下さい」

「ありがとう」

そう言って女性はコーヒーを冷めないうちに飲むのだった。

「ごちそうさまでした。お会計の方をお願いします。」

「ありがとうございました」

女性からお金を受けとり、お釣りを渡す。

「ママ、本当にありがとうございました。」

「いえいえ。また来てね」

「そちらのお嬢さんもありがとう」

「いえいえ」

「また来ますね」

「お待ちしております」

そう言って女性を見送った。

女性は笑顔でそのカフェを後にした。


そして段々日がくれる。

もうすぐ夜がくるのだ。

お客様は段々少なくなり、最後のお客様がカフェを出る。

「ありがとうございました。」

最後のお客様を見送り、私たちは一息つく。

「今日はありがとう。あきらちゃん」

「いえいえ」

「しっかり接客できていたわよ」

「ありがとうございます。」

「彼女、良かったですね。」

「そうね。彼女自身、答えを見つけていたから相談にのりやすかったわ」

「私にはママの真似はできません」

「そんなことないわよ。人間は黙って話を聞いてあげたり、そばにいてくれるだけでいいものなのよ」

「そうなんですか?」

「そうよ」

「だからあきらちゃんにも出来るわよ」

「ありがとうございます」

そう言われてちょっと照れる。

またあの女性はまた来てくれるだろうか?

私はご主人がいれてくれたコーヒーを飲むのだった。











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