十九杯目 冬は告白の季節
冬は色とりどりな季節。
「ふぅー。寒い」
枯れた木の葉が冷たい風に吹かれてお店の前を横切る。
冷たい風に白い空。
季節はすっかり秋から冬に変わっていた。
私は寒い寒いと言いながら掃除を進めるのだった。
掃除が終わるとママが温かい紅茶を持ってきて一服しましょうと言った。
私とママは温かい紅茶を飲んでから話をするのだった。
「今日も寒いわね。すっかり冬ね」
「そうですね。寒いです。」
「今年はクリスマス会はないからゆっくり休めるけど寂しいわね」
「寂しいですよね」
そう。今日はクリスマス。
本当は今年もクリスマス会をやろうと思っていたんだけど今年はなぜかお客さんが集まれないということで中止になった。
楽しみにしてたんだけどな。
「まぁ。でも仕方ないわよね。この時期はお客さんも忙しいからね」
「はい。そうですね」
「ごめんね。本当はお休みだったのに仕事を入れちゃって」
「大丈夫ですよ。この仕事、好きですから」
「そういってくれると助かるわ」
「いえいえ」
「さてこの紅茶を飲み終わったら開店準備をしましょう」
「はい」
そう言われて私は残りの紅茶を飲み干してママと一緒に開店準備をする。
開店準備も終わり、お客様が来るのを待ったがしばらく経ってもお客さんが来ない。
今日は寒いから来ないかな。
ついネガティブに考えてしまう。
気持ちが落ち込んでいる私にママは大丈夫よ!と言葉を掛けてくれた。
そうだ!こういうときこそポジティブにだ。
私はママの言葉で励まされる。
しばらく待っているとお店にお客様がやって来た。
お客さまはなんと私の彼氏である水野雅人さんだった。
あれ?今日は仕事のはずじゃ・・・。
私の頭はクエスチョンマークでいっぱいになっていたが動揺を隠して普通に接する。
「いらっしゃいませ。水野さん」
「こんにちは。あきらさん」
「今日はお仕事は?」
「一応、会社に行ったんだけどお休みをもらってきたんだ。」
「そうだったんですね」
すると雅人さんがニコッと笑い、私の耳元に小声で囁いた。
「あきらさんと過ごそうと思ってね!寂しい思いをさせて悪かった」
その言葉に思わずドキドキしてしまって顔が赤くなる。
雅人さんは私の顔を見てニコッと笑ってまた小声で「可愛いよ」と言ってくれた。
心臓に悪いよと思いながら赤くなった顔を冷ます事に一生懸命になるのだった。
雅人さんはいつもの席に座り、私のコーヒーを頼んできた。
私は彼の見える位置でコーヒーをいれるのだった。
すると彼が私に気づいてニコッと笑ってくれた。
私も彼にニコッと笑いかけるのだった。
「お待たせしました。コーヒーになります」
「ありがとう」
「ごゆっくり」
そう言って彼から離れていく。
彼から離れるとちょっぴり寂しい気持ちになった。
隠すのって結構辛いなと同時に思った。
今日はクリスマス。彼にはずっとお店にいてもらいたいと思うのだった。
彼は窓を見ながらコーヒーを飲んでいた。
彼は今、何を思っているんだろう?
私だったらいいのにと思いながら彼の様子を見つめるのだった。
コーヒーを飲み終えた彼は会計を済ませてお店を出ていこうとする。
私は「まだ行かないで」と心の中で言っていた。
すると彼は厨房にいるママに声をかける。
ママが厨房から出てくると彼は言った。
「ママ。俺、あきらさんと付き合っているんだ!」
その告白に私はびっくりして顔が赤くなる。
雅人さん、いきなり、何を言うの!
私は恥ずかしくなってうつむく。
するとママはニコッと笑って言う。
「そうだったのね!とても嬉しい!」
ママは雅人さんとうつむく私を見てニコニコしていた。
「素敵なプレゼントをありがとう!まーくん。あきらちゃん」
「いつまでうつむいているの?あきらちゃん!今日はもう上がっていいから。まーくんと過ごしなさい」
「いいんですか?」
「いいに決まっているでしょ。」
「ありがとうございます。行こうか?あきらさん」
「はい」
そう言ってママにお礼を言って雅人さんと外に出る。
雅人さんは私の手を握ってくれた。
私も恥ずかしがりながら握り返す。
私は小声で言った。
「ありがとう。大好き」
すると雅人さんは何も言わなかったが大事そうに手を握り返してくれた。
素敵な冬をありがとう!




