十八杯目 ハロウィン祭の当日は・・・
今日はいよいよハロウィン祭。
でもあいにくの雨。
私は紅茶を飲みながら窓を見ていた。
「今日は雨かぁー。でも今日を素敵な一日にするぞ!」
ポジティブな言葉で私は気持ちを切り替えることにした。
傘を差して商店街の中に入る。
かぼちゃのおばけが切なそうに雨に打たれていた。
「冷たくてごめんね」
私はかぼちゃのおばけに言葉をかけてマスターのお店に向かうのだった。
「こんにちは。マスター」
「あら!あきらちゃん。待ってたわ」
「・・・・・」
「どう?私の仮装は!」
マスターが女性口調で自慢気に自身の仮装を見せてくる。
その仮装姿に私は言葉を失う。
だってマスターの仮装は女装なんだもの。
「マスター。なんで女装ですか?」
「あら?おかしい?」
「いや。めちゃくちゃですよ!なんで女装してるんですか?」
「あら?変?」
「マスター。なにもそこまでしなくても。完全にマスターじゃなくなってますよ」
「あら?そう?」
「はぁー」
ダメだ。頭が痛くなった。
マスターは完全におかしくなってしまった。
私がため息をついているとご主人がやってきた。
「こんにちは。あきらちゃんと・・・
誰?」
「あら!ひどいじゃないのよ!ご主人!私よ!この店のマスターよ!」
「えっ?マスター!あきらちゃん、本当?」
「本当です」
「マスター!」
するとご主人がマスターの前で仁王立ちする。
するとマスターはその姿に青ざめる。
これはまずい。
「ご主人!」
私は止めに入ろうとする。
「なんで・・・・・なんでバニーガールじゃないんだ!」
「そこですか!?ご主人!」
私は思わず突っ込みをいれてしまう。
「意識が足りない!女装するならもっとハイレベルにしないと!」
ご主人は私の突っ込みをスルーする。
そしてしばらく女装について語り、マスターもノリノリで話を聞いていた。
そんな二人を見て私は呆れながらも優しく見守るのだった。
しばらくしてママが来たがママはマスターの女装姿を見て、誰のお店か分からなくなっていたが正気に戻り、私の話を聞いて「そういうところがあるから!うちの旦那とマスターは!」と言って多少呆れていた。
なんだかんだでめちゃくちゃであったがママの鶴の一声で普通に戻った。
マスターは女装のままだがそれはそれで面白いということでそのままにすることになり、私はノーマルな魔法使いの格好に着替えて、その時を待つことにした。
外を見ているとこんな天気なのにたくさんの仮装した子ども達と親御さんの姿があった。
「去年よりは少ないけどすごいわね」
「そうですね」
「そうね!私の姿を見て子ども達がどんな反応を見せるのか楽しみだわ!」
「マスター、楽しんでますね」
「そうね。もう自分の世界に入るからそっとしておきましょう」
「はい」
会長がスピーカーで子ども達と親御さんに今日のハロウィン祭りの説明をし始める。
そして合図とともにハロウィン祭りがスタートした。
子ども達と親御さんはお店を回り、スタンプを押したり、クロスワードしたりしてお菓子をもらっていた。
お菓子はそれぞれのお店の個性が埋まったものばかりだった。
そしてマスターのお店に子ども達と親御さんがやってきた。
マスターの女装に笑う子ども達や写真をとる親御さん。
私の魔法使いの仮装を見て「魔法をかけて!」とお願いする子ども達。
手作りのお菓子に喜ぶ子ども達と親御さん。
風船を貰いに来る子ども達。じゃんけんをして勝って風船を貰う子ども達とお礼を言う親御さん。
それぞれの素敵な笑顔を見られた一日でした。
ハロウィン祭りも無事に終わり、片付けをする私達。
「今日は素敵な一日でしたね。」
「そうね。いい笑顔を見ることができた一日だったわ」
「素敵な一日になりました」
「良かったね。あきらちゃん」
「はい」
「マスターの女装も好評でしたね。恐ろしいことに」
「恐ろしいことって何よ!あきらちゃん!」
「マスター。ハロウィン祭は終わったんだからもとのマスターに戻れば?」
「どうしようかしら!当分はこのままでいようかしらね」
「もう!」
「ママもあきらちゃんも呆れた顔しないでよ!大丈夫!明日からもとの自分に戻るから」
「お願いしますね」
そう言いながらマスターのお店は笑いが飛び交うのだった。




