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十五杯目 噂のマドンナはあきらちゃんを気に入る。

美しいものは誰でも心を奪われて好きになる。

でも美しいもの側はどう思っているんだろ?


今日もこのカフェに噂のマドンナが来ている。

その女性はいつも窓の外を見ていた。

いつも頼むのは私のコーヒー。

でも飲まずに帰ってしまう。

とても綺麗な女性でその魅力的な姿は異性だけでなく同性も惹き付ける。

「お待たせしました。コーヒーになります」

「ありがとう」

また今日も私のコーヒーを頼んでくれた。

とても嬉しいことだが彼女にまだお礼も言えてないし、言葉をかけるにしても躊躇してしまう。

その女性は今日も窓の外を見ている。

私はその様子を見て影があるのを感じた。

その女性を見つめて数日後が経つ。

噂のマドンナの話を聞き付けてカフェにやってくるお客様もいる。

お客様の誰もが彼女の事を気にしている。

「あきらちゃん」

小言で常連の男性のお客様が私に声をかける。

「はい」

「彼女なんだけどいつもあきらちゃんのコーヒーを頼んでも飲まないよね」

「そうですね」

「何が良くてこのカフェに来ているんだろね?」

「さぁー。私は彼女とはそんなに親しくないので分かりません」

「そうだよね。不思議な人だよな」

そう感じるお客様も多いのだ。

今日もまた彼女は私のコーヒーを頼んで飲まずに会計を済ませて帰ってしまった。

私はそんな不思議な彼女に興味を持つ

のだった。

そして数日後。そんな私に転機が訪れる。

それは午後のカフェの時間。

彼女はいつもと同じ席に座っていた。

そして彼女は私を呼んでコーヒーを頼んだ。

私はコーヒーをいれながら彼女をちらっと見ると彼女と視線がぶつかったのだ。

私は軽く会釈すると彼女も会釈するのだった。

コーヒーがいれ終わり、彼女の所に向かう。

そして彼女に声をかけた。

「お待たせしました。コーヒーになります」

「ありがとう」

「ごゆっくり」

私が去ろうとした時、彼女が声をかけてくる。

「いつも良い香りのコーヒーをいれてくれてありがとう」

「えっ?」

私はその言葉に驚いてしまい、フリーズしてしまう。

しばらく経ってはっとなり、彼女に言葉を返す。

「いえいえ。こちらこそいつもコーヒーを頼んでいただき、ありがとうございます」

「あなたのコーヒーはとても好きよ」

「ありがとうございます。あの質問してもいいですか?」

「どうぞ」

「なんで私のコーヒーを飲まないんですか?」

「えっ?」

「いえ。ちょっと気になっただけで」

「良い香りがするから飲むのが勿体なくて。ごめんなさい。あなたが不快な思いだったらこれから飲むようにするわ」

「いえいえ。飲むか飲まないかはお客様の判断なので無理に飲まなくても大事ですよ。ごめんなさい。変な事を聞いてしまって」

「うふふ」

「なにか?」

「ごめんなさい。面白い方だなと思って」

「よく言われます」

「私、紫帆と言います。あなたは」

「あきらです」

「あきらさんはこの街の出身?」

「いえ」

「そうなの。私と同じ」

「お客様もですか?」

「そう」

「そうなんですか」

「私は4年前にこの街に来たの。多分あきらさんと同じかもしれない」

「えっ?」

「来た理由が」

「はぁ」

「同世代と会えてうれしいわ」

「同世代?」

「多分、あきらさんと同じだと思う」

「それは嬉しいです」

「あきらさんにずっと声をかけたかったの」

「えっ?」

「あなたの仕事姿、私は好きよ」

「あ、ありがとうございます」

「私もあきらさんみたいになりたいわ」

「えっ?何かあったんですか?」

「ごめんなさい。なんでもないわ」

「なにかあったら力になりますから言ってくださいね」

「ありがとう」

「ごめんなさい。お仕事中なのに声かけてしまって」

「いえいえ。これも仕事ですから」

「そんなあきらさんにお願いがあるの」

「なんでしょう?」

「私たち、気が合うと思うの!だから私の友達になってくれないかしら?」

「えっ?私でよければいいですけど」

「本当?嬉しいわ」

「私も嬉しいです」

「私、ずっとあきらさんみたいな友達

がほしかったの。これでもう寂しい思いしなくて済むわ」

前の印象がガラっと変わった。

紫帆さんも笑うんだと感じた。

いつも寂しそうに窓を見ていた紫帆さん。

影があると思っていたけど私の勘違いだった。

とても親しみやすい人だと感じた。

同時に彼女の笑顔を守りたいと思った。

「宜しくね。あきらさん」

「宜しくお願いします」

彼女と握手すると温かさを感じた。


それから紫帆さんは私を訪ねてやって来るようになった。

噂のマドンナが変わったとお客様はびっくりしていた。

今度は噂のマドンナと私の話を聞き付けてやってくるお客様も増えた。

「どうやって仲良くなったの?」と聞かれるばかりだった。

ママは「あきらちゃんの人柄が噂のマドンナの心の氷を溶かした」と言ってくれた。

私は疑問に思ったがそう思うことにした。

「あきらさん」

「はーい」

今日も紫帆さんは私のコーヒーを頼んでコーヒーの香りを楽しんでいた。

紫帆さんが嬉しそうに微笑む。

私も紫帆さんに微笑むのだった。


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