清次郎宅にて
「ただいま〜す」
どこぞやの学園かと思えるくらいの大きな門をくぐり、これまたどこぞやの貴族の庭と思わせる庭を通って行き、和輝達は清次郎に連れられて屋敷に入った
「「「お帰りなさいませ、清次郎様」」」
屋敷の入った瞬間待ち構えていたのは、家政婦か・・・またはメイドと呼ばれる女性が立っていた
――――――おいおい!! こんな奴相手に『様』って・・・・・
何度来ても慣れないその光景を見ながら和輝は何度も心で叫んでいる言葉を心で叫ぶ
リツも門に入ったときから目を丸くしていたが、更に目を丸くしている
「「「アクリ様もお帰りなさいませ お友達の方々、どうぞごゆっくり」」」
「あ・・・はい そうさせて頂きます」
そう言いながらそこを通り過ぎていく
リツは完全に思考が固まったようで足だけ動いており、目が見開かれているままだ
ここまでは普通じゃないが、清次郎は普通の豪華な屋敷の坊ちゃんとして見られただろう
彼らが現れるまでは―――――――
「おう 坊ちゃんお帰りかい? アクリの嬢ちゃんもお帰り」
「友達まで居るじゃんよ ゆっくりしてけな」
「てか・・・和輝じゃね?」
「ホントじゃんよ じゃあそこに居るカワイ子ちゃんは?」
しばらくの沈黙―――――――・・・・・
だがその空気も一瞬にして弾け、
「オォォォィ!! 和輝っおまっ・・・坊ちゃんと同じか!? 同じなのか!?」
「何でお前等だけっクソォ・・・」
「ウゼェ、坊ちゃんはともかく、お前まで――――」
全く訳のわからないことを口走っている部下たちの姿を無言で通り過ぎ、清次郎は自分の部屋へと案内した
「やあよく来てくれたね諸君! 今日はゆっくりとゆったりとのんびりと贅沢に寛ぎたまえ! 寛ぐがいい!!」
大げさな事を言いながら自分の部屋を開く
「・・・・・・・えっ!?」
その部屋にも驚いたのだが、その部屋の中に居る人物に和輝は驚いた
「あ、清次郎坊ちゃん! お帰りなさい〜」
キャプキャピと透き通るような弾むような声をあげてそこに居たのは1人のメイドだった
その姿に口を開けて呆けている和輝とリツを置いて、清次郎とアクリはズカズカと部屋の中に入っていく
「どーしたんだ和輝? リツちゃんも早く入りな」
そう言って清次郎は和輝達を中に押し込め扉を閉める
とりあえず正気に戻った和輝であったが、その隣ではまだリツがぽかんと口開けて固まっていた
和輝の方は何度も清次郎の家に訪れ、清次郎の部屋にも入っている
だが和輝が先ほど驚いたのは和輝の部屋ではなく、
そこに居るキャピキャピとしたメイドだった