校門の前にて
「あ、ありがとうございますっ!」
校門の前には、リツとアクリがワゴンで売っているパンを買っているところだった
ここのパンはなかなかの味で、特に菓子パンを重視しており、女子高生に人気である
男子生徒にもなかなかの評判なのだが、昼休み、下校時間では女子生徒が戦争を繰り広げており、その中に入るものはほとんどいない
その中でも、かなり勇気のあるものしか食べないクリームパンをリツは買っていた
かなり甘いだけあり、白く食欲をそそるクリームが、パンの隙間から所々顔を出している
「・・・お前、よくそんな見ただけで甘そーなの食うよなぁ・・・・・」
「えー! だって美味しそうなんだもん!」
アクリの方は、なかなか人気の高いクロワッサンを買っていた
こちらは程よい甘さに、何重にも重ねられたパンの生地がサクサク感を限界まで出しておりとても美味しいと評判である
今日は午前だけあって、パンを買って帰っていく者もあれば、友達とどこかで食べようと、何人かで帰って行く者が多く居り、パンは余裕で買えた
「それにしても和輝君達遅いねぇ」
「俺に聞くな 何なら中まで見に行けば?」
「ええー!」
口一杯にクリームを含みながら、リツが顔を赤くする
そんな時、
「なぁーぅんーでぇーっこんな所にいっ!?」
目にもとまらぬ速さで和輝が走ってきた
よく見ればその後ろの校舎の2階、なぜか知らないが穴がいくつもあいている教室に清次郎と寧夜の姿も見える
「なんで・・・アクリはともかくリツちゃんがここにっ?」
「ともかくって何だよともかくって・・・」とブツブツ呟いているアクリを他所に、リツが顔を真っ赤にしたまま
「あっあのっ・・・おおお遅かったから・・・気になって・・・・」
クリームが溢れそうなくらいにパンを握り締めて戸惑いながら和輝の問いに答える
――――――――・・・っんて、良い子なんだよこの子はぁっ!? やばいっ! 俺マジやバイかも!!
口を抑えてリツ達に背を向けている和輝の顔は真っ赤になっている
リツの方はどうしたのかと焦りながら和輝を見ている
その光景をみている寧夜はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたのだが・・・
「へぇーい! そこのかわいこちゃんたちぃ? げんきしてるぅ?」
大きく手を振りながら、鞄を2つ持った寧夜と、疲れたような顔をした清次郎が歩いて来る
「和輝ーお前、カワイ子ちゃん達に早く会いたいのは分かるけどウチに鞄持たせんのやめてくんない?」
「和輝ーお前、この子達に早く会いたいのは分かるけどさー、無責任にあの教室放置すんなよ・・・ 先公共に、説明すんの大変だったんだぞ? まぁ、兄貴たちが責任とってくれるっつうから少しは楽だったんだけどよ・・・」
そして、2人息ぴったりに
「このロリコンが」
と、和輝に投げかけた