2階廊下で
カツカツと靴の音を廊下に響かせ、天野レオは3階に向けて廊下を歩いていた
だがその後を追うものが一人
「・・・――ぃ・・・・先――い・・・・・先輩! オイ!カツオ!!」
「誰がカツオじゃゴるあぁ!!」
大きな声で変な呼び方をしてくる後輩に血管を浮かべながら振り向く
立ち止まるレオに追いついたのは間違いもなく寧夜だ
息を切らせており、ととのってから口を開く
「だって、全然振り向いてくれないんだもん! そりゃ例の呼び方だってするよ」
「うるせぇ 振り向く気分じゃなかったんだよ! そんな事より何のようだ?」
「な! 何打はこっちの台詞さ! 何であたしが姉貴に頼まれてあの子達調べたのに・・・どーして施設に預けようなんてするの!?」
寧夜の問いに言葉を詰まらせ、少し黙ってから、口を開く
その表情は、先ほど和輝に見していた表情になっていた
「お前の言葉だけじゃ信じられない・・・・ 例えアイツの・・・アイツの妹分だとしても・・・ お前だって俺たちとは違う! だからちゃんと自分たちで確かめたいんだよ!」
「そんなこと言ってホントは認めたくないだけでしょ? 少しでも希望を持ちたいんでしょ? 自分たちと同じ存在だって信じたいだけでしょ!?」
また寧夜の言葉に押し黙ってしまうレオ
悲しい顔をして寧夜は話し続ける
「あの子達は先輩達とは違う存在だよ・・・ 先輩達とは何の関係もない・・・・・だから・・・彼等の好きにしてあげて?」
哀れむような顔をしてレオを真剣に見つめる
彼女の顔にはいつもの明るさは欠片もなく消え去っていた
そんな彼女にレオは
「・・・・分かった・・・・・・・ とりあえずもう関わりは持たない だが・・・もしもの時は」
「了解」
口の端を少し吊り上げて返事をする寧夜を見て、レオのほうも口が笑う
「・・・サンキュな もしかしたら、あいつ等を苦しめてたかもしれない あいつ等には今の話はなかったことにしてくれって言っといてくれ」
「・・・まったく・・・・世話のやける先輩だね」
「お前もな・・・ ホントアイツとそっくりだ」
お互いまだ影は残ってはいるが、口がほころぶのを確認して、自分たちの居場所へ戻ろうとする
そんなレオの背中にポンと手で軽く叩いた寧夜が
「いいもんねー 本望だもんねー」
舌を出しながら走って行った
「ただいま」
「お帰り 何だって?」
3階のとある教室で窓際の席に座っている少年が振り向かずにレオの帰りを迎える
レオはまだ少しやるせなさを顔に残し
「とりあえずやめる事にするよ ホント、お前の言ったとおりだ」
「・・・・・だろ?」
少年はまだ窓の外を見つめており、レオのほうを振り向く様子はない
「そういや、バカ2人・・・って、1人はたいてい見当がつくけど」
「・・・・コミケとゲーセン」
短くレオの問いに答える
「何でここに居させなかったんだよ・・・?」
「それは・・・・・ん?」
先ほどまで窓の方を向いていた顔がゆっくりとこちらを振り向く
黒いクセのあるような髪型をして整った顔立ちでレオのほうを向く
目は珍しい金の様な目をしていて、蛇のような細長い瞳孔でレオを見ながら口を開き
「その例の子達って・・・・・もしかしてあの子達?」
そう言って窓の外にまた顔を向ける
その鋭い目線の先には―――――――――
白いロングの子と茶色のショートの子供が2人いて
背中に羽らしき物を生やしていた
・・・もう一度言いますけど・・・
レオ君たちの事情は多分こちらの話にはあまり出てきません
スイマセンホント・・・・・