テスト一日目 下校中
「前に言ったでしょ? 姉貴は天野先輩達の集団の一人だって!」
「忘れた」
「ぼええええー!?」
テストが終わっての下校中、周りの人たちは明日もテストがあるということで鬱になっている
その中で一人、無駄なテンションで謎の声を挙げる女が一人
紛れも無く―――寧夜だ
「お前ホントに忘れたの? 話したこともあるでしょ? あの外人さん達・・・」
目を白黒させている寧夜の頭を撫でながら清次郎が言葉を付け足す
「・・・ああ・・・あの金髪とか黒い人とか猫の人・・・」
「カズりん! 先輩たちのことをそう言うんじゃありません!」
「分かったからその呼び方はやめろ・・・・」
「そんなことはともかく・・・昨日の事を話せよ」
どんどん話の逸れていくのに清次郎が呆れながら無理やり戻す
「まあ、かわいい清ちゃんに免じて教えてやろうじゃねえか・・・」
「アハハ・・・殺すよ?」
「スイマセン もう言いません」
鋭い清次郎の目に冷や汗を流しながら寧夜が話しだす
「あのね・・・ここは詳しく話さないよ? いつも通り空中散歩をしていた姉貴が結構遠くに何かが落ちて来たのが見えたんさ・・・
んで、必死こいて落ちた所に向かってみると誰かさんと、そりゃもうかわいい女の子がいたわけよ・・・
んでその誰かさんが・・・・」
そう言いながら、ちらと和輝の目を見る
当然その和輝は冷や汗をだらだらを流していた
「はっはーん! やっぱキミ達だったのか! いや〜姉貴の記憶も捨てたモンじゃないよね!」
仕方なく昨日あったことを語った和輝は大量の冷や汗でびしょびしょになっていた
反対に寧夜の方はとても満足をした顔をしていた
「仕方ないよ・・・見られちゃったもんわさ・・・・」
「そうだけど・・・こいつにしゃべんのは・・・なんか癪だ・・・・・・」
腕を目に押し付けている和輝に哀れんだ目で清次郎が肩を叩く
「まあまあ、せいちゃ・・・・清次郎の言うとおり? 見られちゃったモンはしゃーないさっ!」
「うるせー!」
目を潤ませる和輝の肩に寧夜の手が気持ちよく置かれる
ヒャハハハハと声を立て飛行機のように手を広げ一人楽しく和輝達の前を歩いていく
ピタ
ウザかった寧夜の動きがキレイに止まりぐるりと首だけを向ける
「そーいやさ・・・カズ君・・・」
「んあ?」
「その・・・・・あーリツちゃんにどうやって接したの?」
「・・・・・ああ!」
――――――――やべぇ・・・・『女の子に好印象与えるぜモード』で接してた・・・・
「いーの? 決まったわけではなさそうだけど、これから・・・・同居? すんでしょ?」
顔を真っ青にした和輝にニヤニヤしてしている寧夜
アーアーと言う顔で見ている清次郎
「・・・・なぁ・・・・俺ぁどーすりゃいい?」
「「知らん」」
助けを求める和輝に二人同時に顔を逸らす
そんなやりとりをしている間に和輝の家はもうすぐそこまで迫っていた―――――