A:Aの始末1
いまさらですが、Aの話にちょっと戻りたいと思います。
十五、
零時
「いや、まだAはきちんと終わってねぇから」
フレア
「ああ、そうでしょうね〜意味がわからない終わり方でしたから………」
零時
「ま、もうちょっとだけ俺に付き合ってくれ」
―――
俺が元の世界に戻ってきて数日たったある日、俺の家のポストには古ぼけた手紙が入っていた。
「?」
裏側を見てみるのだがそこには名前が書かれていない。俺宛の手紙に不安がよぎる。
「まさか……爆発か?」
開けた瞬間にドーン!これは大変だ!ペーパーナイフではなく爆弾処理班がこの手紙には必要だ…………
「なわけないか……」
馬鹿な考えはゴミ箱に捨て、俺は古ぼけた手紙を開ける。そして、その場で内容を確かめることにした。
「………手紙の書き方なんて知りませんが、今、この手紙が零時さんのもとへ届いていることだけは知っています。ああ、そういえば零時さんがこちらの世界からいなくなって、数年が過ぎました。私も今では成人して母さんの手伝いをしていたりします。フェイルさんもフリーズ姉さんも元気で、ネリュ母さんはいつもどおりです。あのあと、ネリュ母さんからフェイルさんとフリーズ姉さんが私にいるということをしって、私は嬉しかったです………ちょっと寄り道しちゃいましたね。あの時は私のわがままでこちらの世界に引き込んでしまって非常に迷惑なことをしてしまったと思っています。こんなことを言ってしまったら怒るかもしれませんけど、零時さんをこちらの世界に引きずり込んだことを私は正直言って後悔してません。一方的に自分は帰ってしまったと思っているかも………いえ、零時さんはそこまで神経が細い方じゃありませんね。とりあえず、私は何とか零時さんをもとの世界に戻す方法を見つけることが出来たのです。サプライズとして零時さんに渡したかったのでこれは見事に成功したといっていいでしょう。あの時、フェイルさんもそちらの世界に行こうとしていたのですがそれも見事に押しとどめれて私はほっとしました。もう、二度と会えることなんてないと私は思います。だから、私はこの手紙にだけ、正直に零時さんのことをどう思っていたのか伝えたいと思います………私にとって零時さんは………」
俺はそこまで読んで手紙をぐしゃぐしゃにした。
「………ま、もう会えない奴にどう思われていようが構わないか………」
そして、それを魔法で燃やして散歩に向かうことにしたのだった。未練が無いといえば嘘になるし、もう一度あいたいという気持ちもないでもない………いや、ないほうが大きいかもしれんな。俺はそんなことを考えながら歩を進めたのだった。




