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ルートRその三、買い物が話を変える日

三、

 その日はたまたま、メルナと別に行動をしていた・・・・

「おや、奇遇ですね・・・」

「ローザ・・・・」

 その日、頼まれていた買い物をしている途中、ちょうど俺がきゅうりをてにとったところで隣のナスを掴んだローザと目が合ったのだ。

「そんなに驚いたような顔をしないでください。別にスーパーで暴れたりしませんよ。そんなことをしたらマスターにどやされてしまいますからね。」

 そういって自分のかごの中にナスを入れる。俺もきゅうりを慎重に吟味しながらかごのなかに放り込む。

「へぇ、意外だな・・・ローザだったらどこでも暴れそうな感じがするんだが・・・・」

「いえいえ、そういうなら私よりもあなたのメルナさんのほうが大暴れを敢行するでしょうね。きっと、私とあった時点で撃ち合いを開始すると思いますよ。」

 確かに、彼女の言うとおりに違いない。俺だって彼女が間違いなく暴れまわることを想像してしまう。

「じゃ、私はこれで失礼しますので・・・また、マスターをつれてきたときに会いましょう。」

「なぁ、何で店長の・・・・いや、工場なんて襲ってるんだ?」

 俺はふと、そんなことを尋ねてみた。

「あ〜それはですねぇ・・・本当は黙っていないとまずいんですけど・・・これもマスターのためなんですよ。」

「マスターのため?」

「ええ、メルナさんと同じように私もマスターを補佐するような存在ですからね。マスターは非常に優れた魔法使いだったんですけど・・・少々、失敗してしまったんです。」

 失敗したって何をだろうか?

「・・・・失敗したことはですねぇ・・・とりあえず、マスターの名誉のために伏せておきますが・・・一応、私を助けるためにマスターが魔法を使ったんです。そうしたら別次元にとばされてしまいましてね・・・ここに来ちゃったんですよ。つまり、私たち二人はこの世界の生まれじゃないんです。」

 そういって俺に背中を見せるローザ。その言葉はまことに信じがたかったのだが・・・嘘ではないようだった。

「それで、もうちょっとでもとの世界に帰ることができるんですけどね、少々、時間がなくなってきたんです。まぁ、私に話せることはここまでです。後はマスターに街中であったときにでも聞いてください。勿論、そのときはメルナさんにマスターをうたないように言っておいてくださいね。」

 そういってローザはレジに並んだのだった。俺は他にも話したいことがあったのだが・・・・・

「ここにいましたか、マスター。外は危ないと思いますが?」

「あ、メルナか・・・」

 メルナが現れた時点で間違いなく、聞くことは不可能だろう。この子がいれば辺りは惨憺たる結果となって警察沙汰になるのは間違いない。

「もう用事は済んだからそろそろ帰ろう。俺は別に安心だからな?」

「いえ、そういうわけにはいかないと思いますよ。暗がりは一番、襲われやすいんです。夜だって満月が出ていなければ歩くことは禁止されています。特に、マスターのような方は常に私が付き従っていなければトイレにだって行ってはいけないんです。そうしないと、私は不安で壊れてしまいます。」

「あ、ああ・・・・」

 顔を引っ付けられるような勢いでメルナは俺にそう語ったのだった。

「これはもう、マスターだけの一存だけでは決められないことなんですよ!マスターに何かあったら大変です!」

 辺りをきょろきょろと見回しており・・・これはもう、危ないスイッチが入ったに違いないだろう。

「む、このトマトが怪しいですね!」

「ほ、ほら・・・店員さんの視線が痛いからさっさと帰るぞ!」

 メルナを引きずりながら俺はもう辺りにローザの姿がないことをきちんと確認してスーパーを後にしたのだった。


「全く、おしゃべりにも程があるんじゃないのかな?ローザ?」

「す、すみません・・・・」

「あのなぁ、俺たちだって泥棒のような真似をしたくはないんだぞ?元はといえばローザが親父の機械を触ったから誤作動を起こしたんだろうが?」

「あ〜そうでしたねぇ・・・あの頃が懐かしいです。だから、零時さんの手を借りたらどうですか?きっと貸してくれると思いますけど?」

「そうだろうがな・・・まぁ、もうちょっとだけ待ってくれ。これができたら頼むことにしよう。」


 家に帰りついた俺たち二人は夕食の準備に差し掛かる。

「・・・・サラダの材料はきゅうりだけですか?」

「ああ、我慢してくれ・・・色々あってそれだけなんだ。」

「まぁ、しょうがないですね。マスターの命ときゅうりはさすがにマスターの命のほうが大事ですからね。」

 そういってきゅうりをなれた包丁さばきでむいていく。

「なぁ、メルナ・・・・」

「何です?」

「さっきのスーパーにローザがいたらどうする?」

「そんなの、決まってますよ。その場で銃撃戦を展開して勝利を収めます!」

 握りしめたきゅうりは途中からぼきりと折れてしまったのだった。はぁ、先ほどローザと一緒にいなくてよかったぁ・・・・きっと、弁償しなければならなかっただろうからな。


 その次の日、俺はローザの“マスター”と街中で出会ったのだった。勿論、そのときにメルナが傍らにいたことは間違いなかった・・・それが、少々ばかり話を進めることとなったのだが・・・・


さて、ルートRは第五話で終了の予定です。予定ですから終わるかどうかまだ、決まっていませんが・・・・。さて、ようやく話が進展してきている模様で、次回の話で再びゼロが現れます。

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