表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/101

ルート零その二 瑞樹が書く小説・・・の終わりと本当の始まり

混乱している方には申し訳ないですけど、ルート零、その二です。

ルート零

 ヨシキが来て何か変わったこと・・・それは、俺の全てだった。

「よし、零時・・・次に参るぞ。」

 家の前まで帰ってきた俺だったのだが、唐突にヨシキに腕を掴まれたのであった。

「・・・どこに?」

「決まっておる!おぬしの家族の墓じゃ!」

「・・・墓?」

 墓にいってもいいことはないし、母さんから墓には来るなといわれているし、約束もしてしまった。

 そのことを告げると、確かに彼女はうなずいたのだが・・・・

「大丈夫じゃ、私がそのためにいるんだからな。」

「・・・どういう意味だよ・・・・」

 とにかく行くのじゃ!といわれた俺はついていくしかなく・・・・本当に許婚かどうか疑わしい鬼のお姫様に従ったのであった。


 やってきた墓地に俺は薄ら寒いものを感じながら辺りを見渡す。視界を埋め尽くすのはねずみ色で四角の墓石だらけだった。ここに来るまでに相当、時間を消費しており・・・そろそろ日が沈むのではないかという時間帯である。

「・・・・うん、これはさすがにやばいんじゃないか?」

「大丈夫じゃ。私がおるではないか!」

 手を掴まれてそのまま歩き始めるヨシキに俺はうんざりしながらもついていった。

 この墓地はとてつもなく、でかい。そして、あまりの大きさに迷子の子供が出たりして夏の暑い日には熱中症にかかったりするらしい。だから、たまに休憩場なるものが存在しており・・・

「・・・やはり、道に迷ってしまったのう・・・」

「そうだな、地図でも借りてくるべきだった。」

 俺たちはそこで休憩もとい、遭難していたのであった。しかし、ここまで来ることができればこの墓場の地図が置いてあるのだ。

「とりあえず、この地図をみて脱出したほうがいいんじゃないか?」

「・・・そうかもしれながのう・・・今日を逃したら私の・・・・」

 そこまでいってヨシキは黙った。続きが気になる俺だったのだが・・・休憩所の窓から覗く怪しい光に目を奪われていたのであった。

「・・・・ヨシキ、あれ・・・・」

「うむ、人外の者の光じゃな。さしずめ、帰ってきた心と息子に喜んでいるのだろう・・・・」

「・・・心?」

 そう俺が尋ねるとヨシキはこちらを見た。

「・・・残念ながらのう、私はおぬしの母親の心の一部なのじゃ・・・・」

「・・・・・?」

「よくわからない・・・確かに、私だってよくわかっていない。しかし、しかしなぁ・・・一応私は零時の許婚であった。それは間違いないんじゃ。」

 ますますわからなくなるようなことを言い出すヨシキに俺は首をかしげる。もちろん、外の光は視界の端に捕らえている。

「・・・私がいないとおぬしの母親は極楽浄土にはいけないんじゃ。」

「それなら、もどったほうが・・・」

 続きを言おうとした俺だったが・・・・

「・・・できないんじゃ。それをしたら零時は・・・・体を崩してしまうんじゃ。」

「どういうことかわからないんだけど・・・」

 いよいよ頭の中が混乱してきた俺に対してヨシキは目の端に涙をためながらも・・再び口を開いたのであった。

「・・・じゃがな、私は・・・私はおぬしの母親に何度も助けられたんじゃ。私は・・悪いがおぬしを選ぶことはできないんじゃ!すまん!零時!」

 初対面で・・・今日しかあったことのないヨシキだったのだが、急にそんなことを言われても困るのだが、母さんのためになるのならしょうがないのかもしれない。それに、涙を流したということはそれだけ悩んでくれたのだろう。

「・・・わかった、初めて会ったヨシキとの短い一日は大切にする。母さんのためになるならそっちを選んでくれ。」

「悪い・・・零時・・・・許してくれ・・・」

「いいって、そんなことを言われても・・・」

「違う、そのことじゃない・・・」

「?」

 そういうとヨシキは俺の背中に立った。そして、すぐに後頭部に何か鈍い音をきき、痛みを感じる。

「・・・・じゃあな、零時・・・・」

 そういって彼女は薄れゆく俺の意識の外に出て行ったのであった。   〜終〜



「・・・どう?最後のところが肝心なんだけど・・・」

 俺は再び瑞樹の書いてきた小説を破り捨てた。

「ああっ!何てことするんだ!」

「・・・・」

「きちんとここにほら・・・紙を細かくする機械買ってきたんだぞ!これを使いたまえ!」

 怒るところはそこかと思いながらも俺は咳払いをした。

「・・・いいか、お前の書いてくる小説はすべてどこかおかしいぞ?俺を主人公にしないで他の奴を主人公にしろよ・・・大体だな、誰のせいで俺たちが演劇部の約束を引きずっているのか考えても見ろよ・・・」

「いいじゃん、それよりさ・・・実際零時は許婚いるんでしょ?」

 ペン先で俺のほっぺたをぐりぐりとしてくる瑞樹に俺はうなった。

「ほら!いるんだ!僕は確信していたよ・・・・あったのは確か・・・四歳ごろ・・だったかな?」

「・・・否定はしないな・・・だけど、あいつはそんな性格じゃないぞ・・・この小説、あいつが読んだら間違いなく鬼になるだろうなぁ・・・・」

「いいじゃんいいじゃん!彼女は彼女で・・・僕にとっては別にどうってことはないさ!では、次回・・・『ルート零その三あの日の想い出・・』みんなよろしく!」

「・・・いや、大体俺は許婚って認めたことないぞ・・・どこか、おかしいんじゃ・・(以下略)・・・・」


さて、今回の話はどうだったでしょうか?ルートシリーズが好評かどうかまだよくわかりませんが・・・うっとうしいんじゃ!という方がおられましたら教えてください。では、次回は・・・ルートRの続き・・・です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ