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ルートP その一 私にとって・・・

さて、久しぶりの更新となりました。作者の雨月の言い訳が聞きたい人はあとがきもご覧になってください。

ルートP

 気がつきゃ、俺も卒業・・・・先ほど、俺は卒業証書を先生から渡されて今のところしまっているはずの屋上にやってきている。屋上からの景色を見るのがこれが最後なのかと思いながら校庭を歩いていく同級生の驚くぐらいの小さい背中を見下ろしながら今の心境をふと、言葉で紡ぐ・・・

「・・・ふはは!人がまるでゴミのようだ!」

 やれやれ、冗談はこのくらいにしてそろそろ俺も下に降りるとしよう。こんなところを先生に見られたら頭がおかしいと思われてしまうからな。さて、パトリシアのパンチら写真をぐちゃぐちゃにしてここで捨てるか。卒業して持っていても意味がないからな。

「・・・零時さん、大丈夫ですか?」

 気がつきゃ、後ろにはパトリシアが立っていた。その顔には

「とうとう、零時さんがおかしくなってしまいましたわ。」と書かれている。俺は慌てて写真をポケットに突っ込む。

 俺は懐から相手に見つからないように携帯を取り出して耳に当てる。

「・・・こほん、あ〜ちょっと知り合いが来たから電話を切る。あ、さっき言った台詞が俺の心の中で一番の台詞だ。」

 そういって電話を切るふりをしてパトリシアのほうを見る。

「・・・誰かに電話をしていたんですか?」

「ま、まぁな・・・ちょっと、中学の頃の友達にな。今度、同窓会をするそうでそのときに『人気の台詞TOP3』を発表するそうだ。だから、全員に電話をかけていたらしい。校内じゃ携帯電話使用できないから屋上に来たってわけだ。」

 ここまでの俺、完璧!

「・・別にそこまでしてうそをつかないでもいいですよ。」

 ぐはっ!ばれてる!

「・・・それはそうと、パトリシアはどうしたんだ?去っていく先輩の背中を見て『うふふ・・これで完璧にこの学校は私の手中に納まったわ!』とでも思うために来たのか?」

 あながち、間違ってはいないはずだが・・・・いや、よくよく思えば生徒会長だった。今日だって涙を流しながら卒業生に言葉を送っていたな。そこまでうれしかったのか?

「違います!尊敬する先輩がいたのでその方と別れるのがつらいんです!そのくらい気がついてください!」

起こっているのか知らないが、肩で息をしている。やれやれ、この子はからかいがいのある女の子だな。

「・・・・冗談なのにな。ま、いいや・・・俺はこれから用事があるから・・・・じゃあな。一年間だったが世話になったな。」

 そういって俺は生徒会長であるパトリシアの隣を歩いていく。一瞬、とても強い風が吹いて俺のポケットからはみ出ていたのだろう・・・写真が舞ってパトリシアの足元に・・・光臨した。

「・・・・!!」

「これは・・・零時さん、まだ・・持っていたんですね?」

 ゆらりと何かが俺の後ろでオーラを発する。そのオーラは恨みがこもっているようだった。確かに、いまだに所持しているとは思っていなかっただろう。

「・・・いや、今日ここで処理しようと思ってたんだ。誤解じゃ・・・ない。」

「・・・いいですよ。」

「は?」

 今日のパトリシアは俺にあまりつっかかってこないようだった。

「・・・・ところで、零時さん・・・私、あなたに聞きたいことがあったんです。」

 完璧に怨嗟のオーラが立ち消え、今度は湿った目で俺を見てくるパトリシア・・・・本当に今日はくるくる表情が変わるものだな。

「何だ?」

「・・・・年下は嫌いですか?」

「ああ?年下って・・・嫌いなら雅やソル、ルナそしてパトリシアと話なんてしないぞ。」

「・・・・。」

 瞬く間に顔を真っ赤にしていくパトリシアの表情を見てちょっとだけからかってみたくなった。

「そうだなぁ、でも、年上も好きだな。」

「・・・え・・・」

 とたんに悲しそうな顔になるパトリシアの頭に手を載せて俺はにこりと笑う。しかしまぁ、よくよく思えば・・・・パトリシアとも会えなくなるのか・・・・

「・・・なぁ、パトリシア・・・俺の携帯電話のアドレス、持ってるか?」

「え・・・私は持ってませんけど?でも、ここでお別れですね。」

 悲しそうな顔をする彼女に俺は何か言ってやりたかった。

「そうか、なんだかんだ言って・・・お前ともお別れなんだな。だけどな・・・暇なときに俺に電話ぐらいしてくれよ。」

 俺はそういって電話番号の書かれている紙を渡した。

「・・・い、いいんですか?」

「ああ、失くさないようにしてくれよ?」

 そういって、俺とパトリシアは別れたのであった。無論、別に何かあったわけでもない。


 そして、一週間後・・・俺の携帯が朝一になる。

「・・・相手は・・・パトリシアか・・」

 ここずっと、一週間・・・ぶっ続けで俺に連絡してくる。本当に、暇なんだな・・・あいつ、友達いた気がしたんだが・・・・

『もしもし?零時さんですか?』

「ああ、俺だ。」

 いつもこんな調子だ。

『実は、お話したいことが・・・・』

「そうか・・・なんだ?」

 そして、常にこんな感じで話が続いていく。どうせ、今日も飼っている犬のお話からすすむんじゃないのか?

『・・・今日こそ、決断しました!』

「ああ、何を?犬か?確か名前はフィーだったかな?新しい犬の名前か?」

「・・・・・私を、あなたの彼女にしてください!」

 気がつけば俺の部屋の扉が開いていて・・・・そこにはパトリシアがたっていた。俺は持っていた携帯を落としてしまった。

「・・・・朝っぱらから・・・・冗談がすごいな。」

「・・・真剣に交際をお願いしているんです。私はあなた相手に冗談はいいません。」

 確かに、その目は真剣だ。だが、何故・・・・

「俺を彼氏にしてもいいことはないと思うぞ。」

「・・・そんなことはありません!私にとってあなたは・・・あなたは私のすべてなんです!」

 その言葉に俺は固まった。ま、まぁ・・・パトリシアに何かいわないと・・・・


さ、これから言い訳タイム・・といきたいと思います。更新スピードが以前とは比べ物にならないくらい遅くなってしまい、読者の中には怒っている方もいるかもしれません。実は、(龍と書いてドラゴンと読む!)を書いていて遅くなりました!すみません!あと、他の短編だった作品(人類の・・・)を連載にしてほしいという声がちらほら・・とあったので、それも書いていたらこんなに遅くなっちゃいました。当初、ルートシリーズはもうちょっとだけ多くしようと思ったのですが、今回はこの程度で抑えておこうと思っています。ですので、次回はルート零 その二になると思います。では、ごきげんよう!

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