生徒会長
マンネリを解消すると思われる画期的な?考えを思いつきました。詳しくは後書きのほうに・・・
五、
生徒会室までやってくるとノックもせずに扉を開けてみた。
「・・・全く、呼ばれてすぐに来ることも出来ないうえに・・・ノックの一つも出来ないなんて・・信じられませんわ。」
ふかふかの社長椅子みたいなのに座っている背の小さい生徒会長さんは俺を睨んでいる。
「それは失礼・・・ところで、生徒会長さんが『弱小部筆頭候補部長』になにか用事でもあるんでしょうか?(おかしな言葉だな・・・。ですわって・・何時の時代の人だ?)」
面倒なのでさっさと話題を終わらせてもらうことにした。
今回の生徒会長選挙は学校始まってのすごいことが起きてしまったのだ。二年生が二人、生徒会長に立候補し、珍しいことに一年生の一人が生徒会長に立候補・・・その結果、なんともまぁ、一年生のこの女子生徒が生徒会長になってしまったのである。インテリっぽい眼鏡をかけているし、実際に頭もいい。飛び級ではいってきたそうだ。実際は中学三年生ぐらいかな?
「・・・・ええ、あります。これまで確証は無かったので黙っていたのですが、演劇部と裏で取引をしていたそうじゃないですか・・・。」
そういってにやりと笑う生徒会長。こういうところは美しくないのではないだろうか?
「してませんよ、生徒会長さん。俺は真っ白の人間です。」
「・・・・では、これを見てもうそをつくとおっしゃるのですか?」
そういって一枚の写真を見せる。そこには頭を下げている俺の手からエッチな本を貰っている劇団部の部長の姿が映ってあったのである。俺の名誉のために言っておくが、俺の本ではなく、瑞樹のものである。しかも、この本は別のものを隠すためのおとりだ。
「何か反論はありませんか?」
そういって金色の自慢の髪を手ですいている生徒会長。しょうがないな・・・。
「・・・・予算が足りなかったんです。」
そう、我らが『小説部』は予算が足りないのだ。この生徒会長に代わってからは俺たちの予算は千円である・・・って、ありえないだろう!ということであるのだ。(何がだ?)
「おや、ルールは守らないといけないんですよ?」
「・・・わかっています。(・・いえ、ルールは破るべきものです。)」
「では、即刻ルールを破った『小説部』は廃部ですね。」
そういって一枚の書類をゴミ箱の中に捨てる生徒会長。俺は言葉も出ない。
「では、これで今回の話は終わりです。」
そういって立ち上がる生徒会長に対して俺はやれやれといった感じの表情を見せようと思ったのだが、諦めてすぐに回れ右をして生徒会室を後にしようとしたのであった。
「・・・何か意見があるのなら聞きますけど?」
後ろから聞こえてきた落ち着いている声に対して俺も勤めて冷静に答える。
「・・・いえ、何もありません。生徒会長さん。(あなたには何を言っても無駄ですからね。)」
そういって俺は生徒会室を出て行ったのであった。くくく、悪いが俺をコケにしてくれたお礼は既に済んでいるから今回は大目に見てやろう。俺って根に持つタイプですもん♪
そして、部室へとやってきた俺は背部となったことを素直に告げた。
「やれやれ、とうとう『小説部』は廃部になってしまったのかい?」
廃部になった部室で俺たちは会議を行うことにした。勿論、これからどうするかということである。こいつらに任せておけばろくでもない部活が出来そうである。
「まぁ、しょうがない。どうせ、雅辺りが写真を生徒会室に送り込んだんだろうな。」
「え、ち、違うよ。」
家に新しい合体ロボットのおもちゃが置いてあったから間違いなく、そうに違いない。やれやれ、裏切り者がこんなに近くにいたとはな・・・想像は出来ていたのだが・・。
「え?じゃあ・・今日入部したあたしたちはどうなるの?」
「そうですよ・・私たちはどうなるんですか?」
それに関しては代案がある。
「瑞樹、説明してやれ。」
「了解・・え〜この学校では意外と部活を作るのは簡単なんだよ。別に集まるだけの部活だってあるし、意味不明な部活だって存在する。容認されてしまえば人数が一定数・・そうだね、5人以下になるまでは問題が無い限り、誰にもつぶされたりはしないんだ。」
「だから、今からでも廃部されてしまった部活の名前と活動内容が同じでなければ新しい部活を作れるってことだな。活動は嘘偽りで結構だ。」
なるほどと感心している二人に対して、瑞樹は代案を発表することにしたらしい・・・なにやら文字がびっしりと書かれているノートを取り出している。
「じゃ、僕が作りたい部活は・・・」
『ぴんぽんぱんぽーん・・・三年生の時柱 零時君・・三年生の時柱 零時君・・・生徒会長がお呼びです。今すぐに生徒会室に行って下さい・・・繰り返します・・・』
再び呼び出された俺にみんなの視線は集まる。見られて顔をしかめる俺。
「・・・・俺、行って来るわ。みんなで適当に部活の内容と名前を書いといてくれ。これで本日の部活は終了。みんな、気をつけて帰ってくれよ。おっと、瑞樹・・・一応俺の携帯電話の番号を二人に渡しておいてくれないか?」
「わかった。しかしまぁ、君も不便だねぇ。相当、生徒会長に好かれているのだねぇ。」
まぁ、一週間に必ず一回は呼び出されているのだ。すかれているではなく、いじめだろ?
「じゃ、雅・・・今度は裏切らないでくれよ?つぶれた部活はもう、片手ではたりないぞ。」
「あ、も・・・勿論だよ・・・。」
しどろもどろになっている雅に俺は釘を誘うと思ったのだが、この調子では信頼することは出来ないと感じてしまった。裏切ることは明白である・・手にあるカメラは何だ?
「二人とも、明日の放課後からはこの部活に来て色々と頼んだぞ?」
「あ〜面倒なことになったなぁ。」
「意義あることが出来るようにがんばりますね?零時様。」
そういって俺は部室を後にしたのであった。
面倒なのでノックもせずに再びはいる。
「何ですか、生徒会長さん?再び、誰かよからぬことを密告した人がいましたか?」
そこにはなにやらゆらりとした不穏な空気が流れているようだった。今の気分は鬼退治に間違って一人でやってきてしまった哀れな桃太郎の心境である。そろそろ夕日も沈んできているというのに部屋は電気だってつけられていない。かすかに見える生徒会長のシルエットからは邪悪としか表現できないものが沸いて出ている。
「・・・・先ほど、匿名で・・・・このような写真を貰ったのですが・・・。」
その手には生徒会長のぱんちらが写されているのであった。
「・・・それがどうかしたんですか?俺にそんなものを見せないでください。目に毒です。愛しの『機械部』『機械科学部』『森羅万象部』・・・一番新しくて『小説部』を叩きのめした仇敵のパンチラなんて見ても目が腐れてしまいます。」
そういってわざとらしく首を振る俺。この生徒会長は男子に不評である。何故だろう?
「用事が無いんなら帰らせてもらいますけど?生徒会長。俺、家に帰ってガンダ○のDVDでも見たいんですけど?(あ、そういえば今日は部活だったな。終わってみるか。)」
回れ右をして帰ろうとすると後ろから男の声が聞こえてきた。
『・・・ほら、田中、約束の生徒会長のぱんちらだ。これでなんとか・・・おっと、雅がなんかこっちを見てるからこの瑞樹からお前にと言われてる本にはさんで渡すからな・・じゃ、予算の少し分けてくれよ?うんうん、もつべきものは友達だな。』
それは俺が少し前に劇団部の部長に言った言葉だった。
「・・・・。」
背筋が凍るの感じ、俺は生徒会室を後にしようとした。逃げるのはいいことなのだ。
「・・・こんなことをするような生徒は一人しかいませんね。」
「・・違いますよ。俺が生徒会長さんのぱんちらなんて撮りませんて。得体の知れない一年生を撮るよりも毎日夢に出てきた機械を写真で撮る方が自分的に楽しいと思ってます。だ、だからその写真を俺は知りません。大体、生徒会長はもてま・・失礼。」
「ほぉ、あくまで違う、自分が撮ってはいないというんですね。」
勿論ですとも・・・俺が撮ったのではなく、瑞樹が撮ってくれたんです。
ゆらりと立ち上がる生徒会長を俺は落ち着かせることにした。
「大丈夫です。俺は見てませんし、劇団部の部長にしか渡していません。それに、部長の話では見る前に無くしてしまったと言っていたし、ネガは燃やしました。つまり、撮った人物しか見ていません。いえ、撮った人物も目隠しして撮ったという噂を聞きました。」
「本当にそうおっしゃるの?」
目が紅く光っているので怖い。逃げようか・・・だが、しかし、高1のガキの前から姿を消すなど俺の中のプライドが許してくれそうも無い。
「・・・何か勘違いしていますが、俺は違いますよ。生徒会長がそこまでもてるとも思いません。男子の間では『付き合いたくない女筆頭選手』として大会選手に選ばれてますから!それとええと、俺、生徒会長の下駄箱の中に女子がラブレターを入れるのをみました。」
その大会がどこで行われるのかは知らないがな。それに、女子にはモテモテ。
「か、仮にもですよ?俺が他の男子部長にその写真を持っていっても逆に金を払えといわれたことも無いとは言い切れませんよ?ええと、まるで罰ゲームですね・・・。」
いやぁ、あの時はすごかったなぁ・・・『ああ?そんな物を見せるんじゃない!!』と初めて言われたぜ・・・男ならだれでもいいと思ったんだが・・・間違いだったんだな。
「落ち着いて・・・そう、落ち着いてください。あ、だって・・・生徒会長の写真を演劇部部長に渡せたんだから・・厄払いも出来たってもので・・・・」
「・・・これも匿名の情報ですが、『え、生徒会長って前生徒会長じゃないの?じゃ、いらないや。』とのことをどこかの部長さんが口走っていたそうですが・・・?」
え、演劇部の部長め・・・今度あったら覚悟しておけよ・・・・・。
背中に扉が当たってしまい、これまでゆっくりと後退していた俺はとうとうチェックメイト・・・・困ったことにもう打つ手が無い。投了寸前の三流棋士に奇跡は起きず、盤上をひっくり返したい気分・・・。こうなったら・・・・。
「ええとですね、これで生徒会長は夜道も安全ですよ。襲われないんですから!」
ぴしり!
完璧に凍ってしまった空気を感じて、俺は既に暗くなってしまった生徒会室の主を緊張した面持ちで見やる。そして、その生徒会長は俺を思いっきり睨みつけて・・・
「・・う、ううう・・・・・そ、そんなに言わなくてもいいじゃない!!」
その場に泣き崩れたのであった。
「・・・・わ、私だって好きでもてないわけじゃないのよ!こ、これは呪いなんだもん!仕方ないでしょ!一般的な魔法使いの人の魔力では上をいかなくては私のことを異性として見れないのよ!うう・・・い、虐めなくてもいいじゃない!!」
「そんな、虐めてるなんて・・・俺が逆に毎週毎週虐められているような・・・・」
「・・・毎週毎週、呼び出して・・・確かに悪いと思っているけど、悪いことをしているのはあなたなのよ!私、生徒会の仕事に忙しくてなかなか友達も出来なくて・・・・それに、この学校は自治だから生徒会長の責任なのよ!私、どれだけあなたのことで叱られたか・・・・。」
「あ〜それは・・・すみません。」
後輩を泣かしてしまった俺は・・・どうしたら良いのだろうか?小さい子を泣き止ます方法なんて知らないのでとりあえず近くに行って頭を撫でることにした。
「ええと、俺が悪かったんですから・・・泣かないでくださいよ、生徒会長さん。」
その手をはじく小さな手は震えていたような気がしないでもない。
「・・・・いい加減、私の名前を覚えてくださらない?私の名前は・・・・」
「わかっていますって、パトリシア生徒会長。」
そういって俺はパトリシア・T・ロードウェル生徒会長の頭を再びなで始める。
「・・・うう・・・・」
「すみません、悪ふざけが過ぎました。だから・・・泣き止んでください。」
「泣いてなどいません!見てなさい、私を虐めた罪は大きいですよ!それに、私のパンツを見た罪も重いです!!」
そういって顔を真っ赤にして立ち上がるパトリシア・T・ロードウェル生徒会長様。やれやれ、彼女は一体全体、どんな性格なのかね?
「・・・ほら、行きますわよ。」
そういって鞄を掴んで俺をの方を見やる。それに対して俺は別に返答とか出来ないから首をかしげたのであった。行くってどこに行くのだろうか?先生の所にお叱りを受けに?
「昨日、店長さんから言われたのでしょう?」
「・・・・あ、なるほど。」
どうやら俺の知り合いの中にこのパトリシア・T・ロードウェル生徒会長様が知らず知らずのうちに入っていたようだな。店長さん、この人に弱みを握られたんですね?
「今日からはバイト先の先輩になるのよ!だから、きちんとしてもらわないと私たちが困ってしまうわ。」
「・・・生徒会長の家って裕福じゃありませんでしたっけ?」
金持ちの家柄でたしか有名なところだったと思うんだけどなぁ。もしかして、つぶれてしまったのだろうか?
「・・・時柱さん?」
「・・・パトリシア・T・ロードウェル生徒会長さん・・・あんたも大変なんだな。」
「何を考えていたのか知らないけれど、とりあえず、その名前で呼ぶのはやめてくださらないかしら?」
そういって俺の目の前に偉そうに胸をそらす。
「・・・今後は呼び捨てで結構よ。仮にもバイト先の先輩でもありますからね。」
「・・わかりました、生徒会長。(なんか、言葉がおかしいぞ?動揺しているのか?)」
ばしっ!!
珍しく生徒会長が俺の頭を叩いたのであった。これまで、こんなことは無かったはずなのだが・・・。
「・・・きちんとパトリシアと呼びなさい!」
なんとなく、俺は先生に怒られているような気分になってしまった。はぁ・・・。
マンネリを解消する方法が自分の中で決まりました。ずばり、もうちょっと話を広げてみるということです。それぞれの話をもっと詳しくかくことですね。できるだけ多くのキャラクターとの楽しいふれあい?を書いていきたいと思います。思いつきですが、がんばりますんで応援、よろしくお願いします。




