剣山終章 それぞれの終わり
終章です。因みに、終わってもある程度は剣山零時達のメンバーで番外的なことをやっていきたいと思っています。勿論、次まで読んで読めるのをやめても大丈夫だと思います。
四十五、
俺はその日、瑞樹達と共に買い物へとやってきていたのであった。
「いやぁ、なんだか久しぶりのような気がしないかい?」
「しないぞ。」
「私もいるからね。ほら、さっさと用事があるのなら済ませなよ。今日は三人が働いているレストランに行くんでしょ?まぁ、冷やかし程度しか出来ないだろうけどさ。」
「そうだな、用事はさっさと済ませるか・・・。」
俺たちは夏休み初日から遊びに出かけており、今のところ三人で一緒に行動していた。
誰かに誘拐されることもなく、学校の屋上に幽霊が出るわけでもなく、ローザと共に奪われた書類を取りに屋敷に行くことも無い。まぁ、またこれからそういうことが無いとは言い切れないのだがとりあえず今のところは安心して生活できる。まぁ、この前の期末のテストで俺は赤点をとってしまったので夏休み中に補講に行って再びテストを受けなくてはいけないのだが・・・。しかも、補講対象者は俺とセレネのみである。
「とりあえず三人で行動するよりもそれぞれがわかれて用事を済ませてこようぜ?」
「でも、そうしたら三人で来た意味が無いんじゃないの?」
「そうだぞ、零時。僕としては君たち二人にぜひとも見てもらいたいもの・・・そして、出来れば共感してもらいたいものがあるのだよ。だから、三人で行動しよう!!」
「?瑞樹がそういうのなら見せてもらうわよ。」
「・・・・・。(ま、簡単にどういうところか想像出来るけどな。)」
俺としてはなんとも言えないな。どうせ、瑞樹の“ハニー”を選びに行くってことじゃないのか?ま、まぁ・・・・いいか。
そして、俺たちはカラフルな人形が並んでいる場所へとやってきた。人形というと瑞樹が非常に怒るのでどのように呼べばいいのか悩むものだ。
「ほら、双三、零時、輝かしい“ハニー”たちを見たまえ!!」
指差す方向にはやはり、美少女フィギュアが陳列されていた。いつも瑞樹が俺をひっぱってくる店とは違う。
「秘蔵の店だよ。」
「いや、どうでもいいんだが・・・。」
「そうよ、買うものはさっさと買いなさいよ。」
「くすん、零時が冷たいのは知ってたけど双三も冷凍食品みたいなんだね。」
意外なことに双三は平然とそれ(美少女フィギュア)を眺めていっていた。
「なぁ、普通は女の子ってこういうの嫌いなんじゃないのか?」
「何?剣山みたいに例外って言うものもいるわ。私はそういうことは気にしないの。」
「へぇ、そうなんだ・・・意外だな。」
「そりゃどうも・・・・あら?可愛い猫ね・・・・。」
店の中で瑞樹は出てきた店員さんととても親しそうに俺たちが全くわからない話をしている間、俺と双三は店の前にやってきた子猫(虎模様)を眺めていた。
「・・・懐かしいな・・・。」
「え?どういうこと?」
「ああ、少し前までこんな猫を飼ってたんだって言っても小学校の頃だがな。」
「へぇ、機械馬鹿の剣山が生物を飼っているなんて意外だわ・・で、その猫はどうしたの?」
「ある日・・・・いなくなっちまった。帰ってこないからなぁ・・・いなくなって半年はずっと探してたよ。かなり礼儀正しい猫だったのを覚えてる。」
「名前はどういうの?ラゴ○?それともバ○ゥ?」
「・・・・そんな名前じゃないぞ。名前は・・・」
店の中から瑞樹がこっちに両手を振って走ってくる。その結果、猫は瑞樹のことが捕食者に見えたらしい・・・あっという間に姿を消してしまった。
「ほら、急いで次行こう?用事は済んだからさ・・・。」
「そうだな。で、次は双三の用事を済ませるとするか。」
「そうね、じゃ、悪いけどついてきてもらうわ。」
双三の用事はゲームセンターにあるらしい・・・おもにゲームセンターの不良がよくいる場所である挌ゲーのところに消えてしまった。
「双三はきっとあそこでストレスを発散してるんだろうな・・・。」
「・・・・そうなんだろうな・・・。」
時たま聞こえてくるギャラリーの歓声と先ほどまで一緒にいた人物の雄たけびが聞こえてくる。
「ああ、そうだ・・・久しぶりに妹が零時に会いたがってたぞ?」
「そういえば瑞樹の妹の・・・・何とかちゃんは別の高校に行ったそうだな?たしか、俺たちと一歳だけ離れてるんだっけ?最後見たときはメガネかけてめちゃくちゃ太ってたな・・・。」
「あの頃が懐かしいものだよねぇ・・・。」
「まぁな、中学の頃から全く見てないが・・・・いや、小学生の頃かな?」
瑞樹の妹の顔などほとんど思い出すことが出来ない。兄との折り合いが悪く、彼らの祖父が住んでいる場所へと引っ越して小学校の頃を最後に全くあっていないのだ。どこで何をしているのか知らない。
「名前はなんだっけ?」
「さぁねぇ、僕も忘れたよ。」
「・・・薄情な兄貴だな・・・お前、妹好きだろ?」
「いや、義妹は好きだが妹は嫌いだ。」
「・・・・大して変わりないだろ?」
「ふ、これだから素人は困る。」
「玄人も十分困るけどな・・・・。」
俺たちが何もせずに話していると双三が帰ってきた。その顔は冷静沈着だった。
「さ、用事はすんだから次、行きましょ・・・。」
「・・・・なぁ、用事って結局なんだったんだ?」
「私に楯突く弱者がいたからちょっと遊んであげてたの。」
「そうなんだ・・・。」
帰り始めた俺の耳に聞こえてきた言葉は
「野郎!ノーダメで勝ちやがっただと!ありえねぇ!!」というものだった。なんとなく、瑞樹の趣味を知っても引かなかった理由がわかった気がする。
「さて、次は零時の用事を済ませる番だね。」
「そうね、どこに行くの?」
「そうだなぁ・・・・とりあえず俺が行くところは何も無いんだが?用事って言っても特に無いし・・・昨日既に行ったからな・・・。」
「本当に何も無いの?」
「そうだよ、なにかないのかい?」
俺は二人にそういわれ、頭の中に何か用事があったかどうかを思い出す。
「・・・・そうだな、そういえばまだあった。」
「じゃ、そこに行こう。」
「そうね、さっさと行くわよ。」
俺が向かった先はとある本屋だった。そこには当然のようにさまざま種類の本がおかれている。しかし、俺が用事があるのは本ではない。
「へぇ、意外と読書が好きだったのね?」
「まぁな、よく読むぞ。」
「零時、僕もここに用事を思い出したのでちょっと席をはずさせてもらうよ。」
「あ、私も欲しかった参考書があるから行ってくるわ!!」
そういって二人は駆け出していった。俺は何も買わずにとりあえず暇そうにしている店員さんに話しかける。
「あの、姉さん・・・・・。」
「・・・お客さんにお姉さん呼ばわりされる言われは無いわ。」
「・・・そんなことを言わなくてもいいじゃないですか・・・・。」
「零時、仕事の邪魔になるから相手してあげられないのよ。」
「店の中、がらがらですけどね。」
「・・・いい加減にしないと警察を呼ぶわ。今すぐにこの店から出て行くか警察と一緒に刑務所で同じ屋根の下で暮らすか選びなさい。」
「わかりました、帰らせてもらいます・・・。あの、誕生日おめでとうございます。」
俺はそういって慌てて本屋から出たのであった。今日は彼女の誕生日である。
「はぁ、姉さんの冗談はさすがにきついなぁ・・。」
「零時、姉さんがいたのかい?」
「初耳だわ。」
いつの間にか俺の隣には二人がいた。それぞれにそれぞれが持ってそうな本(瑞樹はなんだか肌の色が多い本、全体的にピンク色で塗られていたりもする。そして双三のほうは数式がびっしり馬鹿みたいに書かれている本を持っている。)を掲げている。そんな、なんだかギャップが激しすぎて恥ずかしい。
「とりあえず・・・・俺の用事は終わったからレストランに行こう。」
「・・・・・そうね、とりあえずそうしましょ。」
「零時、面白くないぞ。」
「ま、そういうな・・・姉さんのことを詳しく話すと(俺が)危険だからな。」
俺たちはそういいながらレストランへと向かったのであった。
レストランは結構人気だったらしく、時間帯も重なって人が多い。俺たちは待たされることになってしまった。
「剣山、ここで働いてるらしいからどうにかできないの?」
「下っ端に何ができる?おしぼりをプレゼントするぐらいしか出来ないぞ。」
「僕としてはウェイトレスさんをずっと眺められるからね・・・頭の中に収めることが出来て本望だよ。」
馬鹿一人を除いて俺たちは静かに待つことにした。
「ところでさ、零時に聞きたいことがあるんだけど・・・。」
「何だ、瑞樹。」
「あの三人・・・いや、この前家にいたあの子もいれて四人とはとても親密そうだからね、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
あの子・・・?ああ、ローザのことだろうな。
「そうね、私も聞きたかったわ。」
「何だ、二人して・・・?」
俺はなんとなく二人の目が怖かったので目をそらした。
「零時の中で一番親密だと思う人は誰だい?」
「ううむ、質問の意味がよくわからないんだが?」
そういう俺に双三はできの悪い生徒を見るような目つきをし、告げた。
「簡単に言うとずっと一緒にいれたらいいなぁと思う人は誰ってことよ。」
「飽きない人物のことか?」
「そうじゃないけどね・・・とりあえず、誰が一番大切だと思ってるんだい?」
「それは・・・・」
俺は頭の中でそれぞれのことを思い出す。セレネだろうか?それとも・・・・ソーラか?ノワルかもしれないし・・・・ローザかもしれない。え?それってどういう・・・?
「瑞樹、零時が混乱しているわ。」
「うん、きっと自分に攻撃を始めるに違いないよ・・・零時、零時!!」
「はっ!!な、何だ?」
「とりあえずこの夏休みにその人と話をするって言うのはどうかな?あ、因みにこの話をするのは零時とその人が絶対に誰にも邪魔されないような条件下でしないと意味が無いからね。」
「剣山のことだから朴念仁なことを言いそうだけどね・・・ま、そこまで鈍いってことじゃないと思うけどさ。」
「まぁ、期待してるってわけなんだけどね・・・おっと、そろそろ僕たちの番のようだね。ほら、行くよ、零時。」
「そうよ、さっさとウェイトレスさんにご注文をとってもらうのよ。」
「あ、ああ・・・・。」
ぐだぐだになりかけのこの状況下で二人は俺を引っ張ってテーブルに引っ張っていった。セレネがやってきて水とおしぼりをおいていった。俺は隣ではらはらしながらそれを見る。
「ご注文がお決まりになりましたら呼び鈴を押してください。」
「・・・・。」
その後、俺はまだ決まっていないのに二人が勝手に呼び鈴を押した。やってきたのはソーラだった。
「・・・かしこまりました、親子丼とハンバーグと・・後は?」
「あ、ああ・・・じゃ、オレンジジュースで・・・・。」
そういって去っていき、今度はノワルがやってきた。
「はい♪おまちしましたぁ♪親子丼とハンバーグとオレンジジュースですね。」
「・・・・。」
なんだかはめられている気がしてならないのだが・・・・まぁ、それはいいとしよう。そして、食べ終え(飲み終え)た俺たちのテーブルに最後にローザがやってきた。
「は〜い!お皿をお下げしますねぇ!」
「・・・いや、何でお前がここにいるんだ?」
会計はワリカンなのだが・・・・なんとなく俺が一番損をしているような気がしてならない。いや、なんとなくではなく絶対に損をしている。
「零時、とりあえず今回はここまででいじるのはやめておくよ。」
「だけど、きちんと決めなさいよ?」
そういって俺を残して瑞樹と双三は予定よりかなり早くに帰ってしまった。俺はバイトがあるのでそのままなのだが・・・・。
俺は・・・・俺は一人で考えるのが一番なのだろう。
その日の夜、俺は一人で帰り道を歩いていた。当然、心を占めるのは・・・・・
「・・・・決めろって・・・・どういうことだ?誰かに相談したほうがいいのかもな・・。」
俺にとって、彼女たちは何なのだろうか?それは・・・今の俺にはわからない。
結構前から行っていたとおり、終章となりました。なんだか思い返してみればあまり魔法は関係なかったような・・・そんな気がしました。それで、先に告げておきますが、続きの話は〜If〜でいきたいとおもいます。剣山零時だけではわからなかった部分(魔法使いなのに黒猫みたいな眷属がいない!!)などというところも改善し、もうちょっとだけ魔法が絡んだ話にしたいと思っています。先に明かしておくと、当然、零時が主人公です。ですが、もうちょっとだけまともな性格にしたいと思います。それでは、また今度!!




