セレネ:私は桃太郎!
お伽話です。頑張ってかいた奴なので感想を聞かせてもらえると嬉しいです。
四十、
ローザのおかげで風邪がひどくなった俺は唸っていた。夕方になっており、セレネが帰ってきたのであった。
「零時、朝よりひどくなってない?」
「ああ、色々あってな・・・・・。」
俺はぐったりとしたような感じで呟いた。セレネはもじもじしながら俺に尋ねてきた。
「零時、聞いたんだけど・・・他人に移せば治るらしいよ?ええと、だからさ・・・・」
「それは嘘だと思うぞ?身を持って体験したからな。やめておいた方がいい。」
「え・・・あ、そうなんだぁ・・・・あはははっ・・・。」
さり気無く俺から離れていく挙動不審なセレネに俺は流し目をくれてやってもう一度寝ることにしたのだがさすがに寝付くことが出来ない。
「ええと、寝付けないみたいだけど?それはきちんとねたってことだよね?」
「そうだなぁ・・・いろいろあったからな。疲れてて・・でも、まだ寝たほうがいいな。」
「それなら、私が絵本を読んであげるね?そうすれば早く寝れるよ?」
こういうとき、セレネは本当にうれしそうに笑うな・・・・でも、それがなんとなく悲しくもある。普段から笑ってればいいのにな・・・。
「ご注文は?何でもそろってるよ?」
「じゃ、桃太郎で」
桃太郎 読み手 セレネ
昔々、あるところに仲良しのおじいさんとおばあさんがいました。
「爺の顔など見飽きたわ!!わたしゃ、ええ男を狩ってくるわい!!」
「勝手にせい!わしも婆の顔なんて見飽きたわ!!」
おじいさんは山へ芝刈りにおばあさんは川に洗濯に行きました。
「山で熊狩用の罠にかかっちまいな!今日の晩飯は爺じゃ!!」
「へ、そういうお前さんこそピラニアにでも食べられちまえばいいんだ!」
そして、おばあさんが洗濯をしていると
「全く、あの爺め・・・そうだ!今日の晩御飯に下剤を仕込んでやろう!!」
上流の方から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
「むぅ、どこの桃じゃ?あれほどの闘気を見たのは初めてじゃ・・・・きっと中にはものすごいものが詰まっているに違いない・・・あの桃を食べればもしかしたらあの爺に止めをさせるかもしれん!!そして、天下統一じゃ!!」
おばあさんはその桃を持って家に帰りました。
「ふ、鍛え上げた私の肉体には運べないものなど・・・ないっ!!爺!今に見ておれよぉ!!ふひゃひゃひゃひゃひゃ!!今日が日を拝むことが出来る最後の日じゃ!!」
家に帰り着いたお婆さんはおじいさんが帰ってくるのを待つことにしました。
「・・・・さぁ、この桃を見せて爺をしとめてやろうぞ・・・・。」
夕方になり、おじいさんが帰ってきました。
「ばばぁ!今帰ってきてやったぞ!ほら、酒の用意をしろ!!」
「ふん、今日も生きて帰ってきたか・・。」
お婆さんは流れてきた大きな桃を見せました。
「ふははははっ!!この桃が目に入らんか?」
「そ、その桃は・・・・。」
当然のようにおじいさんは驚きました。
「伝説の『闘気の桃』・・・婆、お前とうとう・・・世界を手に入れようと考えたのか?」
「ふふふ、どうだかねぇ?私の目的はあんたをしとめることだよ。」
おばあさんは包丁を持ってきてとりあえず桃を切ってみることにしました。
「・・・神聖なる我を守護する天使よ・・・我の望むべく力を我に与えよ!!その力、世界を制する力を持ちて・・・・この剣にその力を与えよ!!『必殺!守喪藻モ喪藻モ喪藻乃宇血!!(すもももももももものうち)』」
切れた桃の中から可愛げな男の子の赤ちゃんが生まれました。
「こりゃまぁ・・・可愛い女の子だな。婆、イリュージョンか?」
「・・・・とりあえず、今更この娘を捨ててきても駄目じゃ。つかまるからなぁ。」
おばあさんとおじいさんは桃から生まれてきたのでその男の子を桃太郎とつけることにしました。
「婆、このこの名前は『セレネ』にするぞ?」
「そだなぁ・・・・爺の言うとおりにしてやる。この子に天下をとってもらおう。」
おじいさんとおばあさんは桃太郎を手塩にかけて育てました。
「くぉら!!このくらいもできんのかい、セレネは?」
「ご、ごめんなさい!!」
「セレネ!天下を取るには絶対的な力が必要なのじゃ!魔法も使えんのでは役立たずもいいところじゃよ!!力と言うものは世界の全て!!わかったか?」
「す、すみません!!私、がんばります!!」
十数年後、桃太郎は立派な青年になりました。
「よし、お前も今年で十六じゃ。よくぞこれまでの修行に耐えたものだな。」
「ありがとうございます!」
そして、都で暴れまわっている鬼のことを聞きました。
「セレネ、まずは近くの都に陣取っている鬼軍を奇襲せよ。」
「わかりました!」
「兵は都へ向かう途中で志願兵を募れ。」
悪さする鬼を討伐するため、おじいさんとおばあさんの元を離れました。
「セレネ、我が娘として恥じるようなことはするな。そのような場合は切腹ものじゃ。」
「さ、この黍団子をもっておいき・・・・。食えば世界が変わる。」
「では、いってきます!」
別れを惜しむおばあさんとおじいさんはずっと桃太郎を見送っていました。
「やれやれ、ようやくごくつぶしがいなくなってくれたわい。」
「婆よ、必ずやセレネは天下を取ってきてくれる。それはまちがいない。」
さて、都を目指してすすむ桃太郎は途中で野良犬に出会いました。
「あのう、すみませんがそこのお方・・・悪いですけど何か食べ物をいただけないでしょうか?このところなかなか人が通らなくて・・・・・。」
「おなかすいてるの?それならこの黍団子をあげるよ(あのおばあさんがつくったものだからね・・・何が入っているのかわかんないからなぁ)。」
「ありがとうございます。」
桃太郎は黍団子を犬にあげて、その犬はお礼に鬼退治に一緒についていくことにしました。
「とても、おいしかったですよ。ええ・・・てっきり危ない白い粉を吸ったときのような感じがしました。」
「・・・・。(やはり何かが入っていたのか・・・よかった、食べなくて。)」
犬と共に都を目指すことになった桃太郎は歩いていると雉にあいました。
「セレネ、私おなかすいたからあの鳥落として食べない?」
「あ、ソーラまだおなかすいてたの?黍団子、まだあるけど?」
「いや、いいよ・・・。」
「そう?黍団子、雉にあげてみようかな?そおれ!!」
「あ、餌だ!!ありがたくたべさせてもらおうっと!!・・・・・きゃあ!!」
雉も黍団子を食べ、桃太郎と共に緒に退治をすることを決意しました。
「あははっ・・・なんだかいい気分になってきましたぁ・・・もっとください・・・・。」
「・・・・非常にやばい黍団子だね・・・。」
「そうね、これはちょっと危険だわ。」
犬と雉を連れた桃太郎は再び歩き始めました。
「セレネ、志願兵は募らないの?」
「そうですよぉ、なんで募らないんですか?」
「ふふ、二人とも私の力を馬鹿にしてるわね?普段はどじだけど今日の私は桃太郎!その力、一騎当千なのよ!!志願兵なんて足手まといは要らないわよ!」
そして、猿に出会いました。
「とりあえずこの黍団子を処理したほうがいいんじゃないのかしら?これ、もってたら警察に捕まりそうだし・・・どうしたらいいかな?」
「あ、あそこのお猿さんにあげたらどうかな?人のよさそうな顔してるし・・。」
「すみませーん、そこのおさるさーん!!」
「ん?何かな?私に何かよう?」
「おなかすいてません?これ、よかったらどうですか?」
「あ、黍団子か・・・ありがとう、じゃ、一つ失礼して・・・・。」
猿も加わり、桃太郎は都を目指して歩き出しました。
「・・・・あ、あそこにドレスを着たゆうれいがっ!!」
「だ、大丈夫ですかノワルさん?」
「・・・セレネさん、全部捨てましたか?」
「え、ええ・・きちんと処理したわよ、ローザ。」
遂に都に辿り着く桃太郎一行でしたが既にそこは鬼が荒らして行った後でした。
「いやぁ、やっぱり都は華だねぇ。」
「政治がうまいようですね、鬼軍は・・・皆生き生きしてますね。」
「そうね、とりあえず鬼軍の総大将に会いに行きましょう。」
「ねぇ、あっちでりんご飴が売ってるよ!!買ってよぉ!!」
鬼が住むといわれている鬼ヶ島に一人と三匹は向かいました。
「ここが・・・鬼軍の砦、通称鬼ヶ島・・・。」
「とても近代的ですね・・・あ、機械兵士が歩いてます!!」
「ううむ、機械で世界を統一しようとしているのか・・・すごいなぁ。」
「へぇ、さすがマスターですね。」
辿り着いた鬼ヶ島で桃太郎は戦い始めました。
「あ、あのう・・・。」
「What?」
「え、英語?私・・無理だよぉ・・・・。」
現れた鬼の親分はとても強そうでした。
「零時、君に会いに来て城内で迷子になっていた四人組をつれてきたぞ?」
「お、ご苦労さん瑞樹。」
「今のところ待合室で待ってもらっているが?」
「そうだなぁ、この書類を悪いけど双三に渡しておいてくれないか?」
「わかった。しかし毎日デスクワークなんて大変だな。」
「まぁ、それが仕事だからな。仕事サボると町民がうるさいからな。今度の選挙もがんばらないと・・・・・。」
そして、桃太郎と鬼の親分は対峙しました。
「ん、君たちが俺に会いに来た人たちかい?」
「え、ええ!悪いけどここで朽ちてもらうわ!」
「兵量も私たちのものです!!」
「観念するならいまのうちですよ、マスター!!」
「零ちゃんには悪いけどここで討ち取るわ!!」
「・・・・・そうか・・・(きっと、年貢が高いところの出身なんだろうな・・)それなら要求に応じよう。困っている人は助けなさいといわれているからな。」
鬼を倒して貢物をえんやらや・・・
「・・・・瑞樹、彼女たちを悪いが送ってあげてくれないか?女の子で旅行するのは危ないだろうからなぁ。」
「わかった。」
こうして、桃太郎は故郷に凱旋しました。
「・・・まぁ、色々もらえたからいいかな?」
「零時君、いいひとだなぁ。」
「マスターはお人よしですねぇ。」
「それに、他に何かあったらまたおいでって言ってくれたし・・・。」
その後、桃太郎は幸せに暮らしたそうでした・・・めでたしめでたし。
俺は桃太郎を聞き終わる前には既に寝ていたようだ。
「どうだった?私、読むのうまかったかな?」
「あ〜うん、うまかったぞ?」
おかげで少しだけ寝ることが出来た。ううむ、内容をよく覚えていないのでどのようなものだったのかちょっとだけ自信がなかったのだが・・・まぁ、普段どおりの桃太郎だったのだろう・・・。
「そうだな、ちょっと思ったんだが桃太郎って何歳で鬼退治に行ったんだっけ?」
「十七ぐらいじゃないかな?」
「・・・・。」
鬼ってそのぐらいで倒せるのだろうか?あと、犬はわかるが雉より鷹とか鷲とかをつかったほうがいいのではないだろうか?猿を連れて行くぐらいならゴリラをつれていったほうがいいんでは?
「セレネ、桃太郎すきか?」
「う〜ん、私は鬼のほうが好きかなぁ?」
「・・・・。」
まぁ、好みは人それぞれだ。絵本に書かれている鬼はどれも可愛いからな・・・・。でも、桃太郎ってたしかその鬼を全滅させたのではなかっただろうか?
「ま、時代が時代だったから桃太郎も大変だったんだろうなぁ?」
「普通、桃から生まれた時点で人間じゃないよね?」
「ははっ、新人類だな。」
「そうだね。」
俺は笑いながらセレネの話を聞いていたのであった。熱があるせいでセレネが可愛く見えてしまうのがちょっとだけうれしかったと思ったのであった。




