ローザ:マスターは怖がり人間ですね。
三十一、
山頂にある公衆トイレにして大きいほうの部類に入るであろう、そのトイレは中に謎のレバーがあり、そのレバーをタイミングよく五回押すと水洗トイレが移動(天井に消える)を開始し、そのしたには階段が出現した。とんだ秘密基地だ。いや、忍者屋敷か?
「マスター、この中に入ればいいんですよね?はじめて真のトイレの姿を見ました。」
「ああ、俺もはじめて真のトイレの姿を見た気がするぜ。さて、指定されたとおりここに来たからな。とりあえずこの下に行けばそれでいいんだろ?間違ってはいないだろう。」
なんとなくトイレの地下に行くのは抵抗があったのだがここは目をつぶろう。
「マスター、そっちは出口ですよ。」
「だって、トイレの地下に行きたくないんだもん!きっとうん○の化け物が・・・・。」
「子どもじゃないんですから・・・・・。それにう○ちの化け物はでませんよ。」
ローザに押されるような感じで俺は渋々階段をおりていったのであった。
建物1階分の階段を下りたぐらいに広いスペースが広がっていた。TUGと仮にしておこう。いや、さすがにちょっと臭うわ。
「うわぁ、ここで人間の体から排出される老廃物が処理されるんですね。ある意味、聖地?」
「いや、違うんじゃないか?ここは単なる地下だろう?○んちの聖地はここじゃない。」
換気のダクトなどが通っていたり上のトイレは汚らしいがここは清潔感があふれている。ちょっと臭うがな。蝋燭がともっており、もしかしたら誰かがいるのかもしれない。
「壁も丈夫みたいですね。私たちが暴れても問題ないみたいですよ?暴れます?」
「暴れてどうするんだよ?でも、兵器でも作ってんのかな?うん○爆弾?」
大きな場所に出たら待っていて欲しいとネイに言われていたので勝手に動かないことにした。何があるかよくわからないので気をつけたほうがよさそうだ。
俺とローザが雑談をしていると奥のほうから誰かがやってくるような音が聞こえてきた。
「・・・マスター、誰かきます。うん○お化けでしょうか?」
「言われなくても音を聞けばわかるさ。ネイだといいな・・・・いや、うん○お化けかも?」
「そうですね。やっぱりう○ちおばけかもしれません・・・恐ろしいですね。」
コツコツ・・・といった靴の音が響きそれがだんだんと近づいてきている。この音をどこかで聞いたことがあると思えばそれは俺たちが先ほどまでいた屋敷で聞かれる音だった。
「・・・どうやら美奈さんの様だな。よかった、○んちおばけじゃなくて・・・。」
俺が呟くと蝋燭の明かりが皆さんの顔を映し出した。ちゃんとした美奈さんだ。
「・・・早速ですが、零時さんとローザさんにはお仕置きです。」
肩からはどのような原理でくっついているのか知らないがミサイルが・・・そして右腕には紅く光る刀、左腕には蒼く輝く刀が握られいている。サブアームという奴だろうか?背中からは機械の腕が伸びてガ○ダムのビームライフルが握られていたりもする。よくよく見たら美奈さんの目が赤く光っているような気がしないでもない。そして、彼女が俺の肩辺りを見ていたのでそこを見ると赤く光っている。レーザーポインター?
「・・・さて、お仕置きです。」
「ローザ!!(よかった、内心うん○お化けかと真剣に悩んだ俺が馬鹿だった。)」
「了解!!(よかったです・・てっきり『鋼鉄ウン○丸』でも出てくるかと思いました。)」
彼女が飛ばしたミサイルランチャーをローザがバルカンを発射して落とした。といっても俺には目の前で
「ダダダダ・・・」
「ボカーン」といったやり取りしか見えていなかったのだが・・・・俺は今のところただたっているだけだ。
とりあえず俺はローザの影に隠れるようにして後退した。ううむ、美奈さんが言っていたことを思い出すぜ。こりゃ本当に洒落にならないな。なんで強いんだ?
そんなことを思いながら俺は美奈さんを鎖で縛り上げた。バックパックらしきものも縛り付ける。ミサイルは危ないのでつなげられている部分から切り落とした。刀も危ないので取ろうとしたのだが・・・・・彼女はにこりと笑って俺に告げた。
「・・・・甘いですよ、零時さん。」
彼女はそういって驚く俺の目の前で鎖を引きちぎった。・・・・いやぁ、ものすごい力の持ち主だ。実は毎日ジムに通ってマッチョを目指していたりするのかもしれない・・・。
「み、美奈さんって機械だったんですね?」
「ふふ、ちょっとした人形ですよ。機械じゃありません。」
俺の思い過ごしだったようだ。さて、流石にぼろぼろに壊れてしまった背中のバックパックを美奈さんは自ら取り外して今度は二刀流の刀を俺に向ける。
「・・・一騎打ち、お好きですか?私は大好きです。」
これは間違いなく俺に挑戦状を突きつけているに違いない。いやぁ、個人的に複数対一がお好きですが・・・まぁ、ここはそんなことを言っている場合ではない。
「・・・・わかりました。(むぅ、この人武人か?)」
俺は右腕を振って水の剣を作り出した。念のため、左腕にも同じものを作り出す。
「美奈、参ります!!その力、私に見せてください!!」
背中の重りが外れて軽くなったのか知らないがすんごいスピードで俺に突っ込んできた。振り落とされた刀を何とかしのぐ。というより、慌ててかすっただけだったが・・・・。
「マスター!!今援護に参りますよ!!」
「・・・ちょっとだけ見てろ!まだ手を出すなよ!!やられそうになったら助けてくれ!!」
既にやられそうだと思われても仕方ないが鍔迫り合いとなって俺と美奈さんの視線が交差する。く、この人てっきり普通の人だったと思ったんだが・・・・。
「・・・・いやぁ、平和な世の中にまさかこんな人がいるなんて・・・。」
「私、人じゃありませんからね。ふふ、私の本当のご主人様を守るにはまだまだなんですよ。私の夢はご主人様を守ることです。彼は優しい人ですから・・・・。」
「く、こっちだって負けられないんだ!!」
はじき、はなれ、また競り合う・・・何度か繰り返していくうちにとうとう俺の頭の中が壊れ始めたのか相手の持っている刀の意思が聞こえてきたような気がした。
紅
「いやぁ、結構やるね。正直あの化け物天使並の実力者がこんな平和な世の中にいるとは思わなかったよ。結構前に戦った『鋼鉄うん○丸』といい勝負だ。」
蒼
「そうですね、まさかここまでとは・・・とりあえず今回は引き分けにしておいたほうがよさそうです。そろそろ我々の体力がレッドゾーンですからね。」
そう聞こえてきたと思うと俺からぱっと離れた。『鋼鉄うん○丸』ってなんだろう?
「・・・残念ですがここまでのようですね。この子達の体が持たないようです。ちょっと見くびりました。すみませんが私はこれで失礼させてもらいます。」
右腕の刀で何も無い空間を縦に切り裂くと唖然としている俺たちの前から姿を消した。
「マスターあの人一体全体何者だったんでしょう?」
「さぁな?とりあえず普通のメイドさんじゃないのか?いや、武人かもしれないな?」
なんとなくそこは漠然としていて必死になって相手の刀を抑えていた俺にとっては無駄に時間を削られただけだった。
「マスター、また誰かがこちらに来ているようですよ?本当に『鋼鉄うん○丸』?」
一体全体『鋼鉄うん○丸』ってなんだろうか?ローザの指差す方向から再び音が聞こえてきた。俺は剣を構えローザも右腕を暗闇の奥のほうへと向けていた。
「・・・何をやっているの?右手をこちらに向けて・・・・。」
現れたのはネイだった。よかった、もうちょっとで魔法を本気でぶつけているところだったぜ。先制攻撃は卑怯ではなく兵法なのだよ。勝てばそれで結構。負けたら元も子もないからな。いやぁ、正直俺もその・・・びびってます。
「今日の捜査は打ち切られているわ。今のところ安全よ。」
それなら今日はもう大丈夫だろう。俺は安堵のため息をついてローザはつまらなそうなため息をついた。そして、俺を見上げて呟いてくる。
「マスター、ランナーズハイってしってますか?」
「ああ、走ってたら気持ちよくなる奴だったかな?」
「そうです、私の場合だったらミサイルをぶっ放したりしていくうちに段々と気持ちよくなるんです。できたらこのまま撃ち続けたいなって・・・・」
「ネイ、今日のところはもう寝ることにするがこれから俺らはどうしたらいいんだ?」
「無視しないでくださいよ。」といってくるローザを無視して俺はネイへと問いかけた。今日はいろいろあって疲れたのだ。特に、『鋼鉄うん○丸』とはなんだと考えたほうだな。
「とりあえず寝込みを襲われないようにその書類をきちんと持っててくれないかしら?」
「偽の書類なのに?(やはり、ここにはなにやらうん○丸の化け物が?)」
「いいかしら?その偽の書類をなくしたらいざとなったときに何もできないと思うの。」
つまり土壇場になって交渉のために使用するということなのだろうか?さすがにいろいろと考えているんだなぁ・・・・。
「悪いけど今日は床で寝てもらうわ。明日はその書類の内容を読んでいてくれるかしら?中身は本物と大差は無いからね。私はあまり見る暇が無かったから・・・・。」
そういって彼女は姿を消したのであった。つまり、きちんと見たことはないのか?
「本物と変わらないなら確かに大事な書類ですね?あ、だからマスターにまかせて寝るときも盗られないようにっていったのですねぇ。知りませんでした。」




