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第四章 機械の機会 俺とローザ

さて、本章は微妙に短いですが題名どおりあのローザが出てきます。覚えているかわかりませんがよろしくお願いします。

二十六、

 ある日、俺がバイト(皿洗い)をしていると店長さんがやってきた。


「零時君、今日バイトが終わったら話があるので残っていてくれないかな?なぁに、すぐ終わる話だから大丈夫だよ。」


 とうとう、クビにされるときがやってきたかと心の中でマイナス方向に考えていたんだがそれでもないらしい。


「いやいや、クビではないよ。人並みには仕事ができているからね。そうだね、今は忙しいだろうからはっきり言わないけど君個人についてだよ。頼みたいことがあるんだ。」


 つまり俺が直接的に話の中心になってきそうなのだ。俺は頷いて仕事(皿洗い)に再び復帰したのであった。たまには皿洗い以外のことがやりたいなぁ。

 バイトも終わり、先輩方同輩の人たちも帰り支度を始めた。後は次のシフトの人たちがやってくれるので後片付けなどはしていかなかった。


「零時、早く帰るわよ?」


「ああ、ちょっと店長に用事があるっていわれてさ・・・・先に二人と帰っててくれ。」


「零時君、ついにクビですか?」


「いや、クビの話じゃないって。」


「そうだよねぇ、クビになるなら一番初めはセレネよね?零ちゃん、先に帰ってるから。」


「それってどういう意味よ!!私はまじめにやってるしどじなんてしてないわよっ!」


 ノワルが走り去ってその後を追いかけてセレネも姿を消した。駐車場がうるさくなる。


「あまりいい感じの話ではない気がしますので気をつけてくださいね?」


「ありがとうソーラ。じゃあな。」


 ソーラも二人を追いかけて(駐車場にて私闘が始まった。観客たちも集まっている。)俺の前から姿を消した。


「さて、行くかな?」


 誰に声を掛けるでもなく俺はとりあえず着替えて店長室へと足を踏み出したのであった。店長室があるのは地下なのでちょっとばかり怖い。

 ノックをしてみる。


「どうぞ、入ってかまわないよ。」


「失礼しまーす。」


 礼儀正しく俺は入室し、店長が指差した椅子に腰を掛けた。


「用事とは何ですか?」


「・・・・実はだね、大変なことが起きたんだよ・・・・いや、君たちのチームがいろいろやってきているのは知っている。勿論、それはすべて悪い方向でのことだからね。」


 うわ、俺たちって知らないうちにそんなに悪いことをしていたのか・・・・って、何かしたっけ?ううん、俺が悪いことをしていないのは神様が知っているだろう。


「夜の屋上での危険な行為、そして、術者本体に相当な負担が掛かってしまう『カキカエ』の魔法・・・これは自分の過去を改ざんしたりする魔法だよ。」


 こ、この前行ったところは過去だったのか・・・・じゃ、やっぱりあっちで会った三人は・・・・・あの三人の過去のことなのか?


「さて、今日もまたやってはいけない魔法を使用していたそうだね?君たちについての情報が入っているよ?毎度派手にやっているから通報者が絶えない。」


「きょ、今日ですか?ええと、俺は何もしてないと・・・・。」


「ああ、放課後君たちが屋上で魔法を唱えていたのを偶然、君のお父さんが見ていたそうだ。」


 それは、数時間前のことだ。俺はセレネ、ソーラ、ノワルに放課後屋上に来るようにと言い残されて屋上へと向かっていた。何でも用事があるとかないとかで先に姿を消してしまっていたのだ。


「どうやら仲直りできたようだね?」


「そうだなぁ、まぁ、瑞樹と双三のおかげだな。」


「感謝してね?」


 ろくに何も考えていなかったような二人が俺の声にさも当然のように胸をそらしている。まぁ、ちょっとぐらいは役に立ったさ。サングラスは要らなかったけどな。


「で、これから屋上に呼び出しだって?」


「ああ、あまりいい予感がしないんだけどな・・・。」


「告白にしてはおかしいわね?なにかしら・・・。」


「きっと、自分の趣味について零時に同意を求めるのではないのかい?」


「いや、きっと明日の勉強の予習についてだと思うわよ?」


 十人十色・・・まぁ、人の考えはそれぞれ違うものだろう。俺は途中で二人と別れて屋上の階段を最後まで駆け上がった。しかしまぁ、あの満月の夜に出てきた化け物以降、屋上に来るのが怖くて怖くて仕方がないぜ。


「おーい、セレネ、ソーラ、ノワル?」


 屋上の扉を開けても誰かがいるような雰囲気はなかった。俺はそのまま屋上の中ほどに歩いていった。すると・・・・唐突に床が光りだした。


「うわっ!!」


 あまりのまぶしさと衝撃に俺は気絶してしまった。感じ的には頭が輝く校長のはげ頭から発射される

「輝・ビーム」をまともに食らってしまったようだな。

 そして、目が覚めたのはバイトが始まる一時間前ぐらいだ。


「あたたた・・・。」


 眼を覚ますと目の前にはセレネとソーラ、ノワルが屋上に座り込んで俺を見ていた。


「零時、どうかな?」


「どうって?何が?」


 セレネが立ち上がって俺の目の前でくるりとスカートを広げながら一回転。パンチラなんて俺に見せても何もならんぞ?もしかしてセレネがどこかおかしくなってしまったのかとちょっとだけ思ったのだが・・・・。


「いや、元からだな。」


 そう俺は納得してなんとなく鼻に手を添えた。濡れたような感じがしたからである・・。


「鼻血?」


 俺の手についたのは紅い、液体だった。はて、倒れたときに鼻を強く打ってしまったのか?ううん、どうしたもんだろうか?


「あ、ところで俺に用事があるって言うのはなんだったんだ?」


 俺が三人のほうを見ると落胆したような表情をしていた。


「・・・・はぁ、失敗でしたか。」


「なにが?」


「・・・・失敗したからきょうはとりあえずバイトに行こうよ。今度また試してみればいいと思うからね・・・。」


「ちぇ、零時の反応に期待してたのに・・・。」


 三人とも俺を批判するような表情を見せて俺をおいてバイト先へと向かったのである。


「ああ、そのことだったんですか?俺はよくわからないんですけど・・・・。」


 再び戻って店長室。俺は小首をかしげながらも店長さんに事情を説明した。店長さんはやれやれといったような幹事でため息をついた。


「・・・さすがにセレネがいたから失敗してしまったのか・・・厄介なことになったな。」


「厄介って?」


「零時君、今の君はとても危険だ。そうだなぁ、鼻血で死んでしまうかもしれないんだ・・・・。」


「・・・・どういうことですか?」


 俺は店長さんから詳しく説明してもらった。店長が言うには俺は魔法をあの三人に掛けられており、その魔法が失敗し、残念なことに失敗した魔法が俺に掛かってしまったらしい。


「・・・・・君が異性に触れられれば間違いなく鼻血を出すようになってしまっているんだ。」


「はは、そんな・・・」


 そういう俺をちらりとだけ見て店長は指を鳴らした。すると、店長の後ろの扉から一人の少女が出てきた。そして、俺に引っ付いた。その瞬間・・・・


「うわぁぁ!!」


 俺の手に鼻血がついてしまった。どうやら本当のことらしい。


「・・・・・他の三人の埋め合わせは彼女たちに直接伝えるから君はそのこと一緒にいってもらいたいところがある。詳しくはそのこに聞いてくれないかな?」


 そして、俺はやってきた知っている少女、ローザを見て驚いたのであった。


どうだったでしょうか?わからないことがあったらぜひともメッセージをいただけると喜んでお答えしたいと思います。なにぶん、まだまだひよっこですのでわかりづらいところがあるかもしれません。さて、データが消えてちょっと時が経ちましたが・・・多分、第六章で零時の物語は終わってしまうと思います。終わるそのときまで・・・お付き合いいただけるとうれしいです。

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