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男:・・・夜の学校にひとりで来るのは怖いもんだな。

さてさて、新しく出てきた登場人物なのですがまだ本格的に始動しません。もうちょっと時間がかかります。

十二、

 学年主席VS学年次席がにらみ合っているようにもみえなくもない。


「・・・調べさせてもらったけど、あんた、隣の男子と一緒にそのテストを受ける前に遊びまくってるわね?一夜漬けでそこまで普通取れる?」


「おやまぁ、ここまで調べ上げられているとは・・・だけど、今日は純粋に同じクラスメートとして仲良くしてもらいたいだけなんだよ。」


 彼女の猛攻をさらりとかわして瑞樹はにこりとして答えた。その笑顔はほとんどの女子の心を鋭く射抜く。だが、相手の心は単なる心じゃないらしい。


「だから、あんたたちと遊ぶぐらいなら勉強をしていたほうがいいわよ。いい、私に話しかけないでくれる?」


 もう話は終わったとばかりに再びノートを見始める双三であったが、瑞樹がポケットから何かを取り出した。何かの写真のようだ。相手に見せるような感じなので瑞樹の背中からは見ることが出来ない。


「じゃ、この君とは思えない写真を他人に見せてもいいんだね?」


 その写真を見ると双三は血相を変えた。脅迫とは・・・・。


「!何であんたがそんな写真を持ってるのよ!」


 瑞樹はノワルとともに状況を見守っていた俺を指差して言い放った。


「彼が、手に入れたんだよ。どうだい、僕たちと一緒に遊んでくれないかな?」


 俺は濡れ衣だとばかりに相手に目で言葉を伝えようとしたのだが、逆に睨まれた。そして、瑞樹に尋ねる。今度の声は何かを恐れているような感じでもある。


「・・・本当の用件は何なの?今ここで言いなさいよ。」


「いや、普通に僕たちと遊んで欲しいだけだよ。ね、零時?」


「あ、ああ・・・・(いや、俺としてはここまでしなくていいのだが。)。」


 彼女もようやく頷き、勉強道具を片付けて・・・俺たちの後ろに立った。


「・・・ついて行ってあげるわよ。ほら、さっさと貴方たちも準備しなさいよ。」


 こ、こいつ・・・絶対、学級委員長になるだろうな。そう思いながら俺たち三人は自分のかばんを持って彼女とともに学校を出たのであった。ははは・・・・。

 女子二人が前で話している間、俺は先程の写真がどのようなものなのか、法律的に違法である隠し撮りではないのか等など、瑞樹に尋ねてみた。


「ああ、大丈夫・・・ほら、この写真だよ。零時も見たことあると思うけど?」


 瑞樹に渡された写真の中ではひまわり畑で遊んでいる可愛げな少女がにこりと笑っている写真であった。うむ?本当にこれは俺が撮ったものなのか?


「・・・誰、これ?この・・・麦藁帽子を楽しそうに花を眺めている人・・・。」


「あの人だよ。あ・の・ひ・と。」


 目の前を歩いている片方(一方的に相槌を打っている)を指差す。双三だ。


「でも、俺はこんな写真を取った覚えはないぞ?」


 そう答えた俺だったが、瑞樹は指を左右に振りながらこういった。


「もう忘れたの、零時?ほら、去年の夏にひまわり畑に行っただろ?そのとき、零時が風景の写真を何枚か撮ったろ?その時、モデルも欲しいって言った僕の意見に君が彼女に黙ってひまわり畑で遊んでいる彼女を撮ったんだよ。」


 つまり、隠し撮りをしてしまったのは俺のほうか?だが、まさか・・・・今こうして再利用されるとは思わなかったな。しかし・・写真を渡してないぞ俺は?


「じゃ、なんで彼女はあそこまでこの写真が怖いんだ?」


「自分の中をさらけ出していた写真だからじゃないかな?彼女は厳格な自分が半分好きで半分嫌いなんだよ。零時だったら彼女の一般的イメージはどう感じる?」


 硬い、堅い、固い。俺が頭に浮かんだ言葉はこんなもんだ。それ以外で浮かんでくるものはがり勉、三つ編み、学級委員長。そして、似合っている場所は図書館、もしくは会議室だな。


「あまり柔らかそうなイメージはもてないだろう?彼女自身、他人に妥協したり自分に妥協したりするのは嫌いなんだよ。つまり、他人にはココロを見せたく無いってことだよ。」


 俺は思いついた最大の疑問を瑞樹に聞いてみた。これはとても重要なことだ。


「なぁ、何でお前がそこまで知ってるんだ?ちょっと詳しすぎやしないか?」


「・・・なぁに、たまたま帰る道が一緒だったときに好奇心でここまで調べ上げたんだよ。ほら、なんていうのかなぁ・・・うん、死ぬまで勉強って奴。」


 こいつ、恐ろしい野郎だな。いや、犯罪者かもしれないが・・・まぁ、俺だって隠し撮りの件があるし、人の事を言えたたちではないだろうが・・・・。

 それから話し相手は変わり、俺の隣にはあの堅物眼鏡女がいる。俺らの後ろでは瑞樹が俺の無いことあることを面白おかしく、語っている。なんとも和やかな一場面?だ。それに比べ、俺たちの間に流れる空気は相手の腹を探るようなくらい雰囲気で疑心暗鬼にかかっているとある主人公のようなものだ。

 相手から仕掛けてきた。うん、声は先程よりも険しいものではない。


「・・・貴方があの写真を撮ったらしいわね?意外だったわ。」


「あ、ああ・・・そうだな、ちょっと・・・まぁ、・・・写真にモデルが欲しいって親友あのおばかが言ってな、その・・・可愛いくてひまわりにあっていると思ったから撮っただけだ。別に、あんたと知って撮ったわけじゃない。」


 俺の口調はたどたどしい。何も悪いことはしていないつもりなのに、びびってしまう。俺、この人苦手だ。なんだか心の中まで見透かされている感じ。


「・・・・普通、そんなことを言って私が信じると思う?」


 はっきりいって信じるとは思えません。彼女の疑心暗鬼は相当なものだろう、俺を睨みつけている。だが、何かを諦めたように俺に話しかけてきた。


「・・・で、本当の目的は何?」


「はぁ?」


「だから、本当の目的は何よ?その写真で私を脅そうって魂胆でしょ?何、私に学年最後から一位をとれって言いたいの?それとも、貴方の彼女にでもなれって?それとも・・・・」


 はて、この人は何を言っているのだろう?俺にはさっぱり理解できなかったので途中でやめさせることにした。うむ、周りの視線が痛い。


「いや、今回は瑞樹が言ったとおりに純粋に遊ぼうと思っただけだ。それと、これを機会に・・勉強を俺に教えてほしいんだ。」


「はぁ?それだけ?」


 相手の驚いた顔はそれなりにおもしろかった。カメラで撮って後で本人に見せたかったな。まぁ、そんなことをしたらまた何かたくらんでいるんだろうとか、根も葉もないことを言われるだろうがな。瑞樹が脅したのは間違いないのだがな。


「・・・駄目か?」


「まぁ、いいんじゃない。意外とまともなお願いで私は安心したわ。」


 狐に包まれたような感じで俺を見て、彼女は前を向いて歩き出した。そして、目の前の電柱にぶつかりそうになった。更に、どぶに落ちそうになったり、医師を踏んでしまいそうになったり、最後に・・・・小石に躓いておもいっきりこけた。意外とどじなのかもしれないな、この人は・・・どこかセレネっぽい。


「・・・零ちゃん、この人どうしたの?」


「知らんな。急にこけた。」


「きっと、零時が甘い言葉を耳元でささやいてたこにしちゃったんだよ。」


「おいおい、骨抜きになったとか思ってる場合じゃないぞ?元に戻そうにもどうかしてしまってるし・・・。」


 三人で悩んでいると、はっとしたようになり・・・不思議そうに見ている俺たちを見て立ち上がった。


「ほ、ほら、さっさと目的の場所に行くわよ?」


 彼女の行ったことに頷きながら俺はふと疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「なぁ、双三って友達いないのか?」


 その質問に彼女は馬鹿にしているのかという視線を俺に向けながら答えたのだった。


「・・・・あのねぇ、私にだって友達はいるわよ。近所の犬とか、猫とか・・・・・。」


「そ、後は・・・今ここにいる連中がこの人の友達さ。」


 双三の方を見ながら瑞樹は言ったのであった。だが、双三はその答えに不満なのか、首をすくめて言った。しかし、どこか嬉しそうで楽しそうだった。


「たまたま付いて来てあげてるのよ。そうね、これも私の目標を達成するための伏線って奴よ。勘違いしないでね、私は貴方たちとは友達になった覚えはないからさ。」


「そうかなぁ?俺は瑞樹と話している君が幸せそうに見えるんだが?」


 俺の腹部にけりを入れ、つんとそっぽを向いて先に行ってしまった。その隣には瑞樹が話しながら歩いている。俺はノワルと一緒に歩くことにした。


「零ちゃん、大丈夫?あざとか出来てない?」


「あ、ああ・・・意外といいけりしてくるじゃねぇか?いいねぇ、実にいい。」


「・・・・零ちゃんって、変態?」


「・・・素質があるってことだ。ノワル、お前にも聞きたいことがあったんだが・・・ちょっといいか?お前たちの『古代魔法振興会』ってやっぱり魔法使いみたいに三人一組でチームを組んで動いているのか?」


 ふと、思った疑問だったので俺は何とはなしに聞いたのだった。


「うん、そうだよ?だけど私はちょうど人数余ってるから・・・今のところは一人だよ。」


 セレネたちのチームは一人足りなくて俺がピンチヒッターのような感じで入っているのだが、これは・・・もしかしたらチャンスかもしれない。このノワルを説得してセレネたちのチームに入れてしまえば俺ははれて自由になるかもしれない。とりあえず、それを可能にするにはノワルとセレネの仲を解消したほうがいいかもしれないな。

 その後、四人で町の中を色々と歩き回り、いたって平和な日常を送ったのであった。そして、俺は頭の中で考えた計画をその夜、試すことにしたのであった。


今回も読んでくれたかたがた、ありがとうございました。更新する前に自分で再び読んでみたところ・・・なんともまぁ・・悲惨な感じでした。誤字があったり・・・零時がいつもと違ったことを口走っていたりと・・・大変でした。だけどもまぁ、零時の心境が変わっていくこともあると思いますので、そこらへんも見ていてください。

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