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店員:お客さんに言われたくはありませんよ♪

皆さんのおかげで十話目になりました。これからもよろしくおねがいします。なお、今回で第一章は終わりです。とても区切りが良かった?のですが、次回からは第二章となります。第二章の中身はあとがきで少しばかり書いています。

十、

 俺とセレネ、ソーラは意外と近くにあったファミレスの関係者以外立ち入り禁止と書かれている扉のほうから中に入った。


「ええと、十六号店から紹介してもらった者ですけど?」


 部屋の中には他にも三組の人たちがおり、パイプ椅子に座っていた。男の俺が場違いのようでとっても悲しいぐらい、美少女たちが座っていた。

 精神が安定していなかったので・・・セレネとソーラに話しかけようとしたのだが、場所が場所だったので・・・・(こっちを誰かが見ているのだ。誰だろう、この鋭い視線は?)黙っておいた。だって、セレネの目が怖いんだもん♪

 部屋の奥にある扉が開き、このファミレスの従業員であろう、女の人だ。


「では、一組目の人たち、入ってきてください。」


 呼ばれた人たちが入っていき、再びこの部屋に沈黙が訪れる。その沈黙も数分後に崩れ、中に入っていた一組目が出てきて、入れ替わりとして二組目の少女たちが中に入っていった。顔が明るかったので合格したのだろうか?


「次が俺たちだな?だけどまぁ、服がなんだか焦げてないか?」


「そうね、基本的に・・・あの人たちを見ていれば分かるけど、服は覚悟しておいてね。自分の周りを気をつけるべきね。仲間に魔法を当てたら大変よ。」


 出てきた一組目のチームの服はどれも黒焦げになっていたり、水でぬれていたりしている。この扉の先には何が待っているのだろうか?

 そして、二組目が出てきたのだが・・・・ほとんど、真っ黒だといってもいいぐらいにこげていた。俺の視線に気がついたのか、お返しに睨んでくる。


「・・・・零時君、あまり見ないでくださいね。」


「それどころじゃないだろうよ、もしかしたら・・・こうなるのは俺たちかもしれないんだろ?気を引き締めていくぞ。」


「ええ。零時にしてはいい事を言ったと思うわ。」


「チームリーダーセレネさんに従って中に入ってください。」


 俺はかなりの緊張感に襲われながら入室した。テストをするらしき場所は地下にあるらしく、階段を下りて地下室への扉を開けた。てか、リーダーはセレネ?


「ようこそ、三組目・・・最後から二番目の試験を受ける人たちですね?試験内容は簡単、ここにいる相手を全員倒せば終了です。」


「「「・・・・・。」」」


 全員・・・・その数に驚愕した。目の前にいる男の人を入れてざっと百人はいるのではないだろうか?そして、天井辺りに設置されている時計。それには、残り二分と書かれている。(店長を倒せば終わりではなかったのだろうか?)


「それでは、始めますよ。ああ、勿論・・・彼らも攻撃をしてくるので、気をつけてくださいね。」


 ちょっとまてやぁぁぁぁ!という俺の心の叫びもむなしく響き、多勢に無勢な試験は始まったのであった。さてさて、俺たちはどうなるのだろうね?

 そして、俺たちが戦っている場所に近いとある部屋ではこの部屋を覗き込んでいる二人がいた。


「店長、このテストって素人などは合格できないんじゃないんですか?」


「ん?いや違うぞ?このテストは敵を倒すことではなくて、仲間との連携が鍵を握るんだ。勿論、敵を倒しても構わないが・・・・その場合だって仲間との連携が出来ていなければ意味が無い。それを見せてもらうテストだ。」


「へぇ、それなら・・・あの少年は合格ではないのですか?先程からやられそうになっている仲間の二人をフォローしてますし、ほら、また・・・・片方の人は結構強いようですが、もう片方を特にがんばってフォローしていますよ?」


「うむ、きっと・・・凄腕の実力者だろうな。私だってこの店に配属されたときは五十人ぐらいしか倒せなかったがな。お、怒鳴られながらがんばってるな。」


「あ、時間内に倒しきったようですね。ふらふらになった片方を支えてますよ。」


「うむ、合格だな。今回唯一の男の子が一番だな。」


 まぁ、こういう会話が繰り広げられていたのであった。

 そして、俺はセレネを支えながら監視員みたいな人(先程、誤って攻撃してしまった。俺がやったのではない、セレネだ。)に尋ねた。


「戻っていいのでしょうか?」


「・・・え、ええ・・・・どうぞご自由・・に・・・がくっ。」


 俺は奥のほうを見て、ソーラに尋ねた。


「なぁ、全力を出してやってみたのだが、これでよかったのか?」


「・・・構わないと思う。私だって途中までは手加減してたけど、後のほうでは無理。とりあえず、ここは言われたとおりに戻ることにしよう。」


 ソーラにそう言われたのでもといた部屋に戻っていった。俺がセレネの手を持ち、ソーラが足を持った。半ば引きずるようにして階段を昇り、もといた部屋に戻ってくる。それを見て先輩になるかもしれないウェイトレスが口を開いた。


「どうやら、終わったようですね?皆さん、今から約一時間ほど後に合格不合格を言い渡しますので、各自・・・自由にしてもらって結構です。一時間後に再びここへ戻ってきてくださいね。」


 俺とソーラ、セレネは一旦公園に行くことにした。公園への道中はセレネを俺が背負ってソーラが俺たちの荷物を持っていてくれた。


「・・・・零時君、この荷物の中は何が入っているの?」


「ああ?それは・・・開けてみれば分かるぞ。ま、ソーラだったら分かるかもしれないがな。いや、わかるわけないだろうな。公園に着いたら見ていいぞ。」


 公園についてベンチにセレネを寝かせると、ソーラは早速俺の荷物に手を出した。中には今日の朝に詰め込んだ、機械の本に、俺の日記、絆創膏などが少々ばかり詰め込まれている救急セットが入っているだけだ。


「・・・・あの、日記を読んでも構わないかな?」


「・・・・ああ、別段面白いことは書いてないがな。ソーラ、救急セットを取ってくれ、セレネがひざ小僧をすりむいているからな。」


 俺はセレネのひざを消毒してから絆創膏を貼ってやった。その間、ソーラは日記を読んでいる。あの日記は誰かにもらったものだ。もしかしたら、瑞樹からのプレゼントだったかもしれないな。


「・・・・あの、ここは?」


 ソーラは早速俺に日記の内容を見せてきた。俺は一度も過去の部分を見たことが無い。だが、最初に書いたことは・・・・多分、覚えていると思う。


「ふむふむ、これは・・・瑞樹と一緒にいた女の子と一緒に遊んだって書いてあるな。」


 記憶はおぼろげだ。確定ではないが、瑞樹が女の子を見つけたと俺に言ってきたのだったかな?何でも、引越しをするといってきたと思う。


「・・・女の子が最後に思い出を作りたいから、一緒に遊んでくれって瑞樹に言ってたかな?それで、三人で・・・・いや、もう一人いた気がするんだが・・・・もう一人も混ぜて、怖い話をしたのかな?」


 我ながら、馬鹿だったと思うよ。何が面白くて四人で昼間から怖い話をしたかったのだろうな?そして、事件は起こった・・・・・なんてことはなく、怖がる二人の女の子と俺を残して瑞樹は語り部の能力を最大限に発揮し、泣き出そうとしている二人に迫りながら喋っていたのだったな。


「片方は気絶したな。うん、気の毒だった・・・もう一人は混乱していたような気がしたのだが・・・・そうだ、俺たち三人で引っ付いてたな。」


「・・・零時君、それは・・・たぶん私。」


「・・・・本当か?それはまぁ、凄い偶然だな。」


 だが、ソーラは首を振った。セレネがそろそろ起きようとしている。くくく、この好きに悪戯でもしてやるかな?


「・・・・あの頃、私と遊んでくれていたのはセレネだけだった。一般人だって、私の正体を知れば嘘吐き、ペテン師、頭のねじがとれた不良品って言っていた。」


 それはまぁ、酷い連中だな。そして、なんともまぁ・・・夢の無いがきどもだ?少年時代の頃は夢の一つぐらい、昼間から見るべきだろう。


「・・・そのせいで、未だに・・・あまり知らない相手と話すときは緊張したりする。詰まったような話し方しか出来なくて、今もあまり友達が出来ない。今も、本当の友達はセレネだけだと思っている。」


「俺は?」


「・・・いい意味で特別。零時君は信用できるから。だから、あの時・・・正体を瑞樹さんに話すのが怖かったけど、実は・・・私が魔法を使ったところを見られた。」


 一般人に魔法を見せるのはいいことなのだろうか?いや、多分・・・いけないことなのだろうな。色々と面倒がおきそうだし。


「・・・・瑞樹さんは私の正体を知って話しかけてきたけど、見られた以上・・・普通に接することは出来なかったと思う。だから、零時君を連れてくるって言って、嘘をついて私のもとへと連れてきた。」


 嘘にまんまとひっかかってのこのことしゃしゃり出てきた俺は無駄に怖い思いをしたというわけか?奴の怖い話を聞いた後は夢の中に化け物が毎日訪問してきたぞ?あれは正直、遠慮願いたかった。


「・・・・その後、零時君が帰った後に・・・私は水貴君に零時君の名前を聞いた。いつか、あの日のお礼をしたくて・・・・自信を持って正体を明かせるように努力して、トップを取るまで努力した。だから、今の力があるのも零時君のおかげ。」


 それは・・・違うだろうな。その実力はソーラのものだ。俺の力ではない。


「・・・・現実は・・ちょっと厳しい。本当はあのレストランのトイレで・・・本当のことを話したかった。だけど、いつかのように・・・拒絶されるのは怖かった。だから、言い出せなくて・・・・結局、言い出す前に、他の人によって私の正体がばれるようになった。」


 ここで、セレネが起きた。目をぱちくりとして俺とソーラを見ている。


「・・・そうか、今日は面白いことを聞かせてもらった。ソーラ、セレネ・・・は、まぁ・・・覚えてないから別にいいかな。」


 その言葉に敏感に反応したセレネは俺に食って掛かった。


「む、どういう意味よ?私だけ除け者?」


「いや、そうじゃなくてだな・・・・。」


 俺たちのやり取りを見ていてソーラは楽しそうに笑ったのであった。


さて、今回の話ではいよいよ?題名っぽいことが出来ました。まぁ、まだまだなのですが・・。さて、次回からは前書きに書いたとおり第二章に入ります。第二章ではちょっとばかり怪談話になると思います。何処かで聞いたことがありそうな感じの人っぽい人がでます。では皆さん、また今度・・・。

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