序章 第一話 星暦1119
初投稿です。
宇宙戦記ものです。
ではどうぞ。
序章 第一話 星暦1119
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宇宙に無数ある銀河、その内のとある銀河でのお話。
惑星・アンタリウス、フォーマルス、レオニス、アルデバラス、
後に「LoyalStar・王家の星」と呼ばれるこの4つの星に、神の悪戯か、人類が誕生し、進化し、国を築き、そして・・・宇宙へと旅立っていった。
惑星・アンタリウスを王都星とする、アンタレス王国。
そのアンタレス王国の宙域より左上、惑星・レオニスを王都星とする、レグルス王国。
そのレグルス王国の宙域より左、惑星・フォーマルスを帝都星とする、フォーマルト帝国。
レグルス王国の宙域より上にある、カペラ共和国。
レグルス王国の宙域より、アルクトゥルス公国とスピカ公国を挟んで右上、惑星・アルデバラスを帝都星とする、アルデバラン帝国。
それぞれの星の人類が宇宙に進出して1000年、銀河ではアンタレス王国・レグルス王国・フォーマルト帝国・アルデバラン帝国の四大国家と、カペラ共和国やアルクトゥルス公国、スピカ公国のような小国が多く存在し、幾つかの内戦や独立戦争、小規模戦争は経験したものの、複数国家による大戦は起こらず、星暦1000年においても銀河は平和であった。
この平和と繁栄は、これからも続くものと人類は思っていた。
続くはずだった・・・・・。
時は星暦1118年、1000年もの間平和であった銀河は、ついに大戦へと進むことになる。
きっかけは単純なもので、「資源争奪戦」とも言うべきか。
他国よりもいち早く宇宙艦でのワープに成功し、技術国として確立したアンタレス王国。
緑あふれ、大海を望む星々に恵まれたレグルス王国。
アンタレス王国の次にワープに成功し、領域を広げていった結果、資源惑星に恵まれたフォーマルハウト帝国。
四大国家の内、この三国家は平和と繁栄を享受し、また小国も、それぞれの国が自国内の星を大切に開発していった。
だが、
アルデバラン帝国は違っていた。
決してアルデバラン帝国が、資源惑星や自然惑星に恵まれなかったわけではない。
資源惑星で言えば、レグルス王国やアンタレス王国と同等、自然惑星でもフォーマルハウト帝国やアンタレス王国よりも少なかったわけではない。
元々アルデバラン帝国は、アルデバラス星を武力で統一し、宇宙に進出してからも軍事力を背景に、周辺諸国を半ば侵略の様な形で支配していった。
そんなアルデバラン人の血か、領域内で発見された資源惑星・自然惑星は、強引な開発のため本来なら百年単位の資源も瞬く間になくなり、文字通り死の星と化した自然惑星も一つや二つではなかった。
他国を支配していく中、アンタレス王国の持つ技術力も欲したアルデバラン帝国は、アルデバラン帝国の下方にあるアンタレス王国にも侵攻しようとした。
だがアルデバラン帝国とアンタレス王国との間の宙域には、宇宙が生みだす危険な神秘の一つ、プラズマストーム帯、「メギンギヨルズ」が存在した。
この「メギンギヨルズ」内では大艦隊はもちろん艦の航行自体が困難で、唯一安定した航行が可能である通り道も非常に狭く、アンタレス王国への武力での侵攻はほぼ不可能であった。
そんなアルデバラン帝国だからこそ、カペラ共和国に新たに発見された資源惑星系は、魅力的だったのだろう。
これまで通り周辺諸国を降した軍事力を背景にすれば、カペラ共和国も支配できると思ったアルデバラン帝国であったが、カペラ共和国はアルデバラン帝国の要求を真向から拒否、至極平等な交易を望んだ。
これに対しアルデバラン帝国は国軍艦隊をカペラ共和国の国境に派遣、再度配下に降るよう要求した。
だが、カペラ共和国はまたもや要求を拒否。カペラも国境に軍艦隊を派遣し、国境での睨み合いが1年以上続いた星暦1119年、
以前よりカペラ国境に布陣していたアルデバランの軍艦一隻が、国境を越えカペラ領域へと侵入した。
この時アルデバラン側は、エンジントラブルであると主張し救助のためカペラ領域への入国許可を求めたが、カペラ側は救助はカペラで行うとし入国は認めなかった。
そしてカペラの艦がアルデバラン艦に救助を行おうと艦を近づけ、カペラ艦クルーがアルデバラン艦に乗りこんだ直後、アルデバラン艦が突如爆発、カペラ艦諸共沈んでしまったのである。
突然のことに両国とも動揺する中、アルデバラン側が爆発した艦の救助と称しアルデバラン艦数隻が許可もないままカペラ領域へ侵入、カペラ側が本国へ報告し事態の解明をと、退き返すよう呼び掛けるも応じず、カペラ艦が威嚇射撃としてフェイズ砲を発射。
この威嚇射撃とされたフェイズ砲の内一発がアルデバラン艦一隻に命中、攻撃を受けたアルデバラン側はこれをカペラ共和国の宣戦布告とし、アルデバラン艦全艦がカペラ領域へ侵攻攻撃を開始したため、カペラ側も応戦。
なぜアルデバラン艦が爆発したのかは元より、本当にエンジントラブルであったのか。
またカペラ艦の威嚇射撃が命中したのは故意なのか、はたまたアルデバラン艦が故意に当ったのか。
件の艦らが国境戦で沈んだため、もはや確認のしようがない。
斯くしてアルデバラン帝国・カペラ共和国、両国の意思を確認する間もなく、ついに戦闘が開始されたのである。
国境戦に始まり物量で勝るアルデバラン軍にカペラ軍は後退を続け、一気に首都星まで追い詰められたカペラ共和国にアルデバラン帝国は無条件降伏を要求。
だがカペラ共和国は要求を拒否し、隣国のフォーマルハウト帝国・レグルス王国に援軍を要請、これにフォーマルハウト帝国が応え艦隊を派遣する。
フォーマルハウト帝国は、もしこのままカペラ共和国がアルデバラン帝国に降れば、自国の隣に大きな脅威を抱えることになり、カペラの次は自国であると考え艦隊の派遣を決定。
レグルス王国では、一度は国王のシムナイウスが艦隊派遣を拒否するも、国王の弟ザクナイウスがフォーマルハウト帝国と同様の理由により艦隊派遣を主張、ザクナイウス派大臣達と世論の後押により、艦隊派遣を決定するのである。
対するアルデバラン帝国も増援艦隊を送り、カペラ共和国首都星での戦闘はさらに激しくなっていった。
国境での戦闘から半年、星暦1120年。
カペラ共和国軍は僅かな艦を残し壊滅状態、事実上フォーマルハウト帝国・レグルス王国とアルデバラン帝国との戦争になる中、星暦史上最悪の悲劇の幕が上がる。
悲劇への幕開けは、
―――レグルス王国国王・王妃・王子、暗殺―――
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