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漂流者は漂流してこそ華が咲く

『今度は東北だ!』


「⋯⋯具体的にはどうされるのですか」


 気を失ったまま横たわるグリーンを横目に、私はサファイア様の考えを聞いた。


「コーラ姫は、漂流者にイカを食べさせたい。私達は漂流者にクリームソーダを探させたい‥‥のよね」


 このままアップルパイやパンプキンパイに走られては、ソーダ界もフロート界も終わる。グリーンは世界の命運が自分の漂流にかかっている自覚がない。


「それならイカ世界にみんなで来ればいいわ」


 仮にも依頼して来たコーラフロートの女神なのだから、本音で語るのはサファイア様だけにして欲しい。確かにイカを薦めていたよグリーンの中身(参照:漂流記の漂流記による漂流記のための「漂流記」)


 積もり積もった思念が呼び寄せているかと思うと、のんびり気を失ってるグリーンが憎らしい。ここは定番の「肉」 マークではなく、「『(にく)』」 を額にイカ墨で書き込んでおこう。これで立派なヴィランだ。あっ、つい「」 も書いてしまった。


「それならチェリー界でもいいわよ」


 チェリー嬢、君もか。ヒョウリュウジャーたちの女神様らしいが、話が進まない。


「話を戻すわよ。こういう時は仲間に頼るものよ」


 オゥ⋯⋯サファイア様、まさかのノープラン。いや、活躍の場を譲る粋な女神様か。


 サファイア様が、魚貝類に詳しそうなシイラホワイトに何か有益な情報を聞く。魚力バリバリな水陸両用バイク「シイラ号」 を乗り回す彼女ならば、イカについて詳しいはず。


 ただ⋯⋯まな板の魚のように横たわるグリーンを、大太刀マヒマヒソードで捌いてしまいそうだよね。マッドサイエンティストもいるから、予期せぬグロい方向に進みかねない。良い子のみんなのために今は接触NGだ。


「ホワイトさんから良い情報をもらったわ」


 白ヤギさんな白シイラさんから、黒ヤギならぬ黒イカさんにお手紙ついたみたいに聞こえる。萌え萌え要素が薄れて私の限界が近いようだ。


「あらっ、面倒なのが来るわよ」


 そう言うなりサファイア様がミスト化した。ズルい。漂う酒の香り。最悪な二つの影が『パープル♡シャドウズ』 へ襲撃して来た。どちらも「姫」 だから止められない。何なの、その漂流設定。


 サファイア様はお酒が苦手なのだ。酔うと大海をも呑み干す大蟒蛇と化して、手がつけられなくなるからだ。絡まるのは主に私なので、ご褒美なのだけどね。


「こぉらレッドぉ、コーラちゃんをいじめると許さないろぉ」


「チェリーちゃん、わらしたちと踊ろ〜」


 うん、自由っていいね。グリーンをGPSで見つけて助けに来たのを見事に忘れてるようだ。酒好きなのは分かっている(参照:悪女のままで結構です。べつに。)


 ヒョウリュウシリーズで酔ったシーンしかないのは怒られそうだ。


「斯々然々でコーラ姫が大変なんです」


「それを早く言いなさい、レッド。それでグリーンをどこに運べば良いの?」


「青森県に『イカスミサイダー』なる飲み物があるそうなのです。グリーンを派遣して流通を確保してもらい、イカ好きの為のクリームソーダを作ろうと思うのです」


 挿絵(By みてみん)


「オッケー♪ ピンクちゃん、グリーンを青森まで運んであげて」


「はぁい。コーラ姫、グリーン持っていくね」


 荷物のように運ばれてゆくグリーン。狸寝入りなどするから「悪」運が悪い方に良く働くのだ。


「あら、司令官から呼び出しよ。ピンクちゃん、戻りましょう」


 嵐のようにやって来て、肝心のグリーンの事はすっかり忘れて去ってゆく二人。気まずい空気。


「療養中のチクワ・ライダーに来てもらったよ」


 グリーンのマブダチの優しき侍を呼んだ。このままグリーンに残られても萌え萌えキューーーンが見れなくて困る。支払いはグリーン払いだからお得なんだけどね。


「むぐっむぐぐぐぐっ」


 大量のプチ・ブラック・スクイーズがグリーンの伝声部分に詰め込まれて何を言ってるのか聞こえなかった。


 グリーンはチクワ・ライダーのちくわに乗せられて運ばれていく。ブラザーのためにチクワ・ライダーはドナド〜ナな歌を歌い出す。


 優しきヒョウリュウグリーンは、大好きなブラック・プリンセスの為に、イカスミサイダーを探し求めて漂流する事になるのだった。


 頑張れグリーン、負けるなグリーン⋯⋯みんなが応援しているぞ!!



 ◇



「イカスミサイダーの味はわからないけれど、イカ全開なクリームソーダに満足すれば、コーラ・フロートの女神もS.o.D.A.傘下におさまるわね」


 フロートを冠する女神を本部に堂々と置く事は難しいのは皆承知している。『パープル♡シャドウズ』はあぶれものたちの受け入れ場所でもあるのだ。


「それで約束の報酬はどうなるのですか?」


「あなた⋯⋯本当にブレないわね。グリーンが漂流中はグリーン払いに出来ないのよ」


「ボーナス全部つぎ込む、覚悟の上です」


 全ては『萌え萌えキューーーン』のため。私は何も変わらない。


「仕方ないわね。チェリーさん、あれをやるわよ」


「はい! お姉さま」


 サファイア様が、気品に満ちたブルーサファイアから、希少なオレンジサファイアに変化する。


「萌え萌え────サンシャインインパクト♡キューーーン♡」


 ────陽光の衝撃。


 また設定を増やしてからに⋯⋯そんな声は無視だ。太陽の輝きのようなサファイア様と、チェリー嬢の情熱を前に、漂流するグリーンの事などすっかり忘れてしまう。


『おまけの、フレアブラストキューーーン♡♡』


 クッ‥‥駄目だ。また灰になるわけにはいかない。私の女神たちの太陽は沈まない。ただひたすら熱く輝き続ける。


 パープル♡シャドウズは新たに裏幹部を迎えても、活動の場が広がる事はなかったという⋯⋯。

 お読みいただきありがとうございました。


 この物語は、今朝届いた『ブラック・プリンセス』 のイメージを元に考えた物語です。


 イカスミサイダーがまだ販売中なのか、味は? 色は? 色々と調べが出来ていません。ネットで調べれば出て来る情報はありますが、いつか漂流者が、東北へ遊びに行った時に思い出してくれるといいな⋯⋯そんな感じです。いま行けってわけではないのですよ。


 ご出演いただいた皆様、ほぼ面識のない方までキャラ付けして書いていますが、企画の中の遊びとして捉えていただけると助かります。

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