叶わない祈り
掲載日:2024/11/16
木彫りの熊たちが店頭の
色付きガラスのなかにいて
この町の近くの静かな湖に向かう
昼食は軽めのじゃがバターだったから
すこし小腹が空いてきたかな
しばらく歩くと古びているけど可愛い
ちいさな店があって
ナッツ・ケーキが一推しだと
手書きのあたたかい文字で
知らせてくれている
食べたいな
すこし迷ったけれど
その誘惑を断ち切って
そのまま山のほうにある湖に向かう
小川を流れる水の音が聴こえる
とてもしずかな流れだが
雨の日にはあふれることもあるのだろうか
そのときの水中生物たちの混乱は
いかばかりだろうか
B型ベビーカーを押す若いママさんと
すれ違うと会釈をされる
慌てて会釈を返す
よそものにもやさしい町だと想う
そのママさんを追うように
いっぴきの猫が歩き
その猫を追うように
惚れた目の猫が歩く
きっといま
猫の恋をみたのだろうと想う
すこし歩きつづけると
巨大なガラスのような湖が在った
夜になればきっと三日月さえ
綺麗に映ると信じさせる湖
夜を引く指を持ついたずらな神さま
できたらいますぐその光景を
みせていただけませんか?
なんてけっして叶わないけど
そんなわがままなことを
祈ってみたりする




