ほのぼの家族っていいな
「ホワイティス様、これからルイスと、それに8ヶ月前に生まれたセーラを紹介するわ」
「メイサ様、赤ちゃん楽しみです。まだ、8ヶ月ですか。首が座って、寝返りができている時期かなぁ」
よかった、メイサ様表情が明るくなった。
「そうなのよ、一生懸命、体をよじって起きあがろうとするのよ。でも、疲れてやめてしまう時のあの可愛さ。目を見つめてきたり、目で追っているのを見ると、母として認識してくれていたら嬉しいなぁと思うのよ。この胸の温かさが、すごく心地いい。何度でもいうわ、ホワイティス様ありがとう」
みんなで楽しく育児はした方がいいわよ。
お兄ちゃん、分かっているかしら?
「俺も、たまには一緒に遊ぶかな」
そうそう、兄弟で遊ぶのも楽しいよ。
「おかあしゃま、おにいたま、おねえしゃま〜」
ルイスくん駆け寄ってきた。かわいい。
おねえしゃまだって。くー。私の弟,リカルドくんだっけ。どんな子だろうなぁ。14歳だから,こんなに可愛くないか。
談話室で、ルイスくんと遊ぶことになり、談話室に移る。
そこへ乳母さんが、8ヶ月のセーラさまを連れてきた。ベビーベッドがないね。
後で作ってあげようかな。
首が据わって、目鼻立ちがメイサ様。美人になりますね。髪の毛は辺境伯様ね。シルバー。目はどうなんだろう。アイスブルーかしら。
抱っこさせてもらい、あやしていく。
「ホワイティス様は、赤ちゃんに慣れていらっしゃるのね。私は生まれたばかりの頃はいつも乳母に任せてきりになってしまい、ホワイティス様が抱っこしてあやしているのが羨ましいです」
「メイサ様、保育士という仕事に就いていたので、赤ちゃんにも慣れています。補助しますので抱っこしましょうか?ソファーに座ってください。左腕に頭を乗せるので、こんな感じで包むように腕を おいてください。では、載せますよ」
「ま、待って、ちょっと待ってください。緊張してきてしまったわ。はぁ、お願いします」
「左腕に頭乗せますね。右手はお尻のあたり包むように、そうそう上手です。少し抱えてあげて、胸の方へ顔をそっと、そうです」
おー、お互い見つめあって、聖母様ですか、なんですか、この絵面は。セーラちゃんのほっぺをつんつんしている。赤ちゃんはぷくぷくしてかわいいね。
ドアのところに辺境伯様がいたのね。この光景を見たら、拝んでしまうよね。
「あ,あなた、見ていらしたのですか。恥ずかしいです」
「いや、美しい光景だよ」
おっと、空気が薔薇色になってしまっている。
「おほん、メイサ様、このまま立ってみますか。しっかりと抱えつつ、ギュッとはしない」
「ふふ、軽いのね。セーラは」
「わ、私も抱っこしていいかな、抱っこしてみたい」
辺境伯様まで、抱っこしたいのね。
「はじめは危ないので、メイサ様,ソファに座って、セーラ様を受け取ります。そして辺境伯様に、受け渡します。辺境伯様は、左腕に頭を乗せますので、包み込むようにおいてください。では乗せます。右手は、お尻のあたりをしっかり抱えてください」
「おー、軽いな、軽いな。こんなに小さいのか。セーラは」
「では、立ってみますか。ゆっくり、落とさないように、両手、両腕で包み込むように。右手はしっかりと」
見つめあってますね。これは嫁にやらない宣言が出るかも。
「みんなこんなに小さかったのだな。ウィリアム、ルイス、嫁に行ったトゥワイスもこんなに小さい時があったのだな」
「辺境伯様、今からでも、ウィリアム様やルイス様を抱っこしていいんですよ」
「ルイスはともかく、ウィリアム、抱っこしていいか?」
「な,何言ってるんだよ。もう大きいよ,俺は」
「照れてますね、ウィリアム様」
「照れてなんかいないよ」
真っ赤になってますね。かわいい。
「フフフッ、今からでも間に合うのですね。いっぱい抱っこできるように、腕を鍛えようかしら」
メイサ様、腕は鍛えなくても大丈夫だとおもうのですがね。
「俺も抱っこしていいか?」
「ぼくもだっこしたいでしゅ」
「ルイス抱っこするか。ほらおいで」
「ちあう、ボクがだっこするのでしゅ」
みんな驚愕。ルイスくんが赤ちゃんを抱っこしたい。みんなで笑い合った。
「では、ルイスくん、ここに座ってください。ルイスくんは小さいから、ソファーで抱っこしましょうね」
「あい」
ちょこんと座って、足をブラブラし楽しそうに待ってます。
「では、メイサ様ルイスくんの隣、辺境伯様はルイスくんのこちらの隣に座ってください。ルイスくんの腕に赤ちゃんのせますので、お二人でそれを支えてください。ルイスくん、お兄ちゃん頑張るのですよ。では、頭から乗せますね」
ルイスくんの腕に赤ちゃんを乗せて、それを補助するように両親の手が包んだ。いい光景だね。家族ってかんじ。
「ホワイティス、ありがとう。なんだか家族ってかんじだな。ほのぼのする。この後、俺にも抱かせてくれ。練習にいいだろう」
「れ,練習って、えっ」
「えっ」
2人まっかな顔を見合わせていた。
乳母と侍女たちがなんだか温かい目で見ているね。恥ずかしい。
気を取り直して、
「ル,ルイスくん、重くない?大丈夫?」
「あかちゃん、プクプクでしゅ。かわいい。でも、お髪がないないでしゅ」
君もかわいいぞ。
その後ウィリアム様も抱っこし、赤ちゃんがうとうとしてきたので、乳母にお願いし寝かせてもらった。
「ウィリアム様の家族は、ほのぼのしていて温かいですね」
「そうだな、魔の森を管理している辺境伯領はいつ命を落とすかわからないから、時間や家族を大切にしているのだと思う。俺も大事にしていきたいと思っているよ」
心までイケメンだ。そこに私が入るかどうかはわからないが、魔の森と隣り合わせの辺境伯領。ウィリアム様の覚悟を思い知らされた。
私は、両親を早くに亡くしたが、おじいちゃん、おばあちゃん、近所の人たちに助けてもらいながら生きてきた。それも、戦争のない、平和な国だった。
でも、ここには魔獣がいる世界なんだ。辺境伯領はそれと戦う人たちなんだ。私は、魔法でドーンはできないから、後方支援ができればいいな。癒しの手だっけ?どう使うのだろう?