表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

ぼくの記憶

これは、なんだろう。


ボクの中に、知らない記憶が流れ込んでくる。

いや、知っている。知っているのに、知らない。

これは…なんだろうか?


ああ、なるほど、わかった。

これは、()()の記憶だ。

確証はないけど、多分あってる。

そんな気がした。


それにしても、()()はまあ、随分と、

………



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「強くなれ。それがお前らができる唯一の親孝行だ。」

これが、母の口癖だった。


ぼくがが住むネヴィル家の治める領土は、

魔物が多く出るヴォグの森にとても近く、

魔物からランカスタ王国を守る盾の役割を果たしている。


ネヴィル家の先先代の領主は、街を歩けば知らない人がいないほど、有名な冒険者だったそうだ。その名残か、領主やその血縁者が直接戦場に出て、魔物退治の指揮を取る。


そのためネヴィル家の子供は貴族の中でも珍しく「強さ」が求められた。それゆえの母の口癖だろう。


父は書類仕事や魔物退治で忙しくしており、あまり子供達のことを見ていなかったように思う。実際、父と最後に会話したのは一月以上前だ。母に気に入られようとしたのは自然なことだったのかもしれない。


ぼくは、強くなりたかった。

この身一つで魔物を蹴散らせるような、そんな強さが欲しかった。

母に喜んでもらうために。

母に褒めてもらうために。


ボクには3つ上の兄が1人いたが、兄はあまり真面目に訓練に参加しておらず、端的に言えば弱かった。

おそらく母は、兄を見限ってボクに期待をかけていたのだろう。


訓練は母のつきっきりで行われた。訓練は厳しく、そして長かった。勉強と食事、そして睡眠の時間以外はずっと訓練をしていたように思う。


今思えば、あの時ぼくを支えていたのは、母に褒められたいという思いだけだったのだ。だが、どれだけ訓練を必死に行おうとも、剣の訓練で手に豆ができ、それが潰れるまで剣を振ろうとも、ぼくは母に褒められることはなかった。


まだ、足りない。

もっと強くならないと。


いつからか、寝る間を惜しんで自主トレーニングを行うようになっていた。これが、その時のぼくが思いついた、1番強くなれる方法だったから。


この世界で強くなるためには、体を鍛えたり、

武術を極めたりする以外にステータスを上げる必要がある。

そして、そのためにはレベルを上げなければならない。

しかし、レベルを上げるためには、魔物を倒さないといけない。

当然、小さな子供にそんなことはできないし、

親も普通はそんなことをさせようとはしないだろう。

戦闘においては貴族の中で常軌を逸しているネヴィル家でも、わずか7才だったぼくに魔物の戦う許可は出さないだろう。

ボクもそう思ったから自主トレーニングをしたのだ。


そんな生活を続けていたある日、転機が訪れた。

兄が10歳になったのだ。


この家では、10歳で初めて魔物を討伐する決まりになっている。それは、子供が持つ「スキル」を確認して、さらに子供のステータスの伸び幅を知るためだ。魔物を一体討伐すれば、「レベル0」となり、本人が持つスキルがわかる。そのまま何体かの魔物を倒し、「レベル1」まであげればステータスの伸び幅もわかる。


そんな大事だ、普段忙しそうにしている父も、兄と一緒に魔物を討伐する。そこでぼくは、意を決して言った。



「ぼくも連れていってください!!」

ノアと兄は3歳差ですが、誕生日が違うので、兄が10歳の時ノアは8歳です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ