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白い部屋

「ふあぁぁぁ。」

なんか、めっちゃよく寝た気がする。あれ、今日休日だっけ?ちがくね?ちょっと待って今何時!?


ボクの体内時計が正しければ、圧倒的遅刻だ。もう今日はズル休みしようかな。


布団に入ったまま時計を取ろうとして、いつも時計を置いている位置に手を伸ばすとからぶった。

もう一度手を伸ばす。そこには何もない。


「んー?おかしいな。」


しぶしぶ布団から出て、時計を探そうとする。なかった。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「は? え、ちょっと、え、はあ?」

驚きのあまり、思わず目を擦る。ない。そこになければならないはずのものが。

机、椅子、タンス、漫画、パソコン、無駄に多い充電器、フィギュア。


あるのは真っ白い壁と、床、そして天井だけだ

いや、おかしいのはそれだけじゃない。窓もなければ扉もないのだ。


「おかしいだろ…」


本当に意味がわからなさすぎて、本当に意味がわからない。

落ち着け、一旦落ち着け、深呼吸だ深呼吸。

吸ってーーー吐いてーーー吸ってーーー吐いてーーー

ふう。落ち着いては全くないが、少し考える余裕ができてきた。

適応能力が高いのは、ボクの数少ない長所だ。


まず、ここはどこだ?

普通に友達の部屋とかではない。

ボクには部屋で寝泊まりするぐらい仲のいい友達はいない。


ましてや、いたとしても部屋に何もおいてないのはおかしいし、窓と扉ぐらいはあるだろう。

うん?窓と扉?そういや、そいつらがなければ普通、部屋に入れなくね?じゃあボクはどうやってこの部屋に入ったんだ?もしや隠し扉があるのか?


隠し扉があるとすれば、どうやって入ったかの説明がつく。まあその代わり、ここがどこなのかがさらにわけわかんなくなるけど。


真っ白い壁や床をぺたぺたと触ったり、天井を見上げたりしてみたが、それらしきものは見つからない。もっとも、ボクが知ってる隠し扉の隠し方なんて、ドッキリ番組でやってたやつしか知らないから、今の最新技術とか使われたら見破れないだろうけど。


というかこの部屋、換気とかしてないのか?

見た感じ、換気できそうな穴も装置もない。

えっと、換気してない部屋に閉じ込められたら、

どれぐらいで死ぬんだっけ…?え、これまずくない?まずいよね?やばいやばいやばいやばい!


いやだ、死にたくない!死にたくない!

なんでこんなところで死ななきゃならないんだ!

ボクにはまだたくさんやり残したことが!

今期のアニメまだ見終わってないし、漫画もそう。

あのゲームもクリアしてない!


………………自己嫌悪で冷静になってきた。

換気してないぐらいでそうすぐ死なないでしょ、

この部屋割と広いし。悲観してもどうしようもないから楽観しといた方がいいんだよ。

ボクってこんなに不安定だっけ?

まあこんな部屋に朝起きたら閉じ込められてるってなったら不安定にもなるか。


本当にここはどこなんだ?とりあえず、今パッと考えたのは3つ。


1つ目、ここは牢屋か何か。寝てる間になんか捕まったとか?ボクが考えたんだけど、これはおかしいな。さすがに窓とトイレとベッドぐらいはあるでしょ。トイレ…そういえば起きてから行ってないのに行きたくならないな。朝から衝撃的なもん見たせいかな。


2つ目、実験とか。真っ白い部屋に閉じ込められたら、人は何日で狂うのか…とか…。自分で考えてて怖くなってきた。これは考えないでおこう。


3つ目、死後の世界。正直、これが一番可能性あると思う。逮捕にしたって実験にしたって、ただの学生が巻き込まれたとは考えづらい。

しかし、死んだ可能性なら全然ある。そんな不健康ではなかったと思うけど、突然死とかはまあありうる。でもこれは考えない。

死んでたら考えても無駄だろうし。


全然3つじゃなかった、4つ目、ボクがただ夢を見ているだけの可能性。

一応頬をつねってみた。いたい。痛いけど待って、あれ?


つねるのをやめて、頬をペタペタと触る。

柔らかい。柔らかいしみずみずしい。

明らかに若い子の頬だ。いや、ボクも若いんだけど、このほっぺは、若いというよりも、幼い感じのもちもち感がある。思わず自分のほっぺをもちもちする。


もちもちもちもち、もちもち、もちもちもち。

自分の手を見る。みずみずしい。見慣れたカサカサの手じゃない。腕を見る。すべすべだ。


「嘘でしょ……」


はは、声も違うじゃん…………はは、………はぁ。

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