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第21話 青春の空(終)

最後のパートです。

追記:終わり方を少し変えました。

 ――なんか、思ってたよりあっさり解決したな。


 智也はぼんやりとそう思った。

 あの後、気が付くと智也は引き裂かれた絵画の前に倒れていた。優子に介抱されて目覚めたが、特に怪我も異常もなかった。

 実体化した「空」の頭と胴体は消滅しており、残された絵画からも、あの少年の顔は消えていた……新たな怪談が生まれるだろう。


 優子曰く、なぜか智也だけは体ごと向こう側に連れ去られていたらしい。だが、なんにせよ元に戻ったということは、他の人間たちの魂も解放されたと見ていいだろう。


「――ねえ、白石さん。それって……。」

 智也は、優子が手に巻いている「武器」を見て問う。

「……あー、これね。この前のお守りと同じ。知り合いにもらったんだ。」

「これで、怪異の体を壊せるってことか。知り合いの人、すごいね……。」

「まあね。」

 優子ははにかむが、詳しい説明はそれ以上してくれない。


「――なんにせよこれで、一件落着……って言いたいんだけど。」

「どうしたの?」

「いや、同じ学校に三体も悪魔が現れて、しかも今回みたいに、人の魂とか体を支配までするなんて……もしかするとこれからは、ちゃんと戦う準備した方が良いかもしれないな、って。」

「戦う、って…………。」

「あ、別に智也君は気にしなくていいんだよ……大丈夫、私に任せて。」

「…………わかった。」


 きっと彼女は、智也には思いもよらないような、圧倒的な「力」で戦うことができるのだろう。ならば無力な凡人たちが、それに頼るべきなのは間違いなかった。


「……でも、なんか手助けが必要だったら、いつでも言ってね。……今回は、その……僕が助けてもらったから、その恩があるし。」

 智也は自分でも、「何を言ってるんだ」と思いながら、差し出がましいことを言ってしまう。

「わかった、ありがとう!頼りにしてるね。」

「……ん、うん。」

 その屈託のない笑顔に、智也は一瞬ドギマギする。

 ……だがすぐに、空しい感覚に襲われる。

 スリル、吊り橋効果、英雄気取り――自分は優子と超常現象を潜り抜けて、有能になった気に浸っているだけだろう。思い上がるな。


 ……彼女は、特別なのだ。我々凡人は皆クズで――彼女だけが、ヒーローなのだから。

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