95.火山噴火
俺たちを載せた船はついに、南の国フォティヤトゥヤァへと到着しようとしていた。
目をこらすと島が見えてくる。
青い海に浮かんでいるのは、木々の緑に、そして奥の方には茶色い火山が連なっている。
あれがミダガハラ火山……か。
そのとき、ぴくんっ、と獣人ポロの耳が立つ。
「ヴィル様! 大変です! 島の方から、何か大きな音が!」
俺は■から双眼鏡(魔法付与)を取り出して、遠くを見やる。
ミダガハラ火山から何かが吹き出していた。
倍率を上げると……。
山の先端から、噴石が吹き出してるのがわかった。
「まずい……火山が噴火したようだ。それも、結構な勢いだな」
「なっ!? なんですって!?」
ポロがまた耳をぴくぴくとさせる。
俺は双眼鏡で見えた。
吹き出した噴石が、勢いよく……。
島の外にいる、俺たちの船へと飛んでくるのが。
「ヴィル様! 私が行きます! 夜空さん!」
『心得た!』
ポロは船の帆をのぼって、飛び上がる。 そして闇の聖剣、夜空を思い切り振る。
「ずぇえええええええええええええい!」
ポロが剣を一振りする。
なにもない空間に切れ目が入り……。
黒い半月が出現する。
空間の切れ目ができた。
だが……。
「! で、デカい……! 吸いきれない!」
噴石は思ったよりも大きかった。
ポロの作った空間の裂け目を凌駕してる。
一部分は、裂け目のなかに吸い込まれたものの、残った噴石が船へと襲い来る。
「まずい! ヴィル様!」
ポロは空中だ。
それに今全力を出したばかり。
あの裂け目をもう一度作るのは難しいだろう。
俺はじーさんの作った神鎚ミョルニルを手に取る……のを辞める。
「うわああ! 噴石だぁ!」「にげろぉおお!」「焼かれて死ぬぅううううう!」
逃げ惑う船員達。
だが俺は、ひとり手を伸ばしていた。
「ヴィル様!?」
『創造主よ!? なにを!?』
『やけどしちゃうよぉ!』
俺は飛んできた噴石を……。
壊さず、受け止めていた。
『なんと……! あの勢い、そして大きさの噴石を、真正面から受け止めたじゃと!?』
夜空がなんか驚いてる。
ん? 別に驚くことでもないだろう。
「肉体改造で、筋力と皮膚の耐熱性をあげているだけだぞ?」
俺の右手、黄金の手には特殊な物作りスキルが宿っている。
超錬成。触れたものを作り替えるスキルだ。
このスキルを使い、細胞の作りを頑強なものへと変えたのである。
「そんでもって……」
俺はハンマーを逆の手で持って、こつん、と噴石を叩く。
すると一瞬でバラバラに分解され、ごとりと甲板の上に、上質な岩石が転がる。
勢いは完全に死んでいるし、熱も帯びていない。
「な、ナニをなさったのですか……?」
空中から戻ってきたポロが俺に尋ねてくる。
「ん? 噴石を分解しただけだぞ?」
「ぶ、分解……? 万物破壊はしないのですか?」
俺にはいくつかの物作りスキルがある。
そのうちのひとつ、万物破壊。
触れたものをかけらも残さずぶっこわすスキルだ。
けれど……。
「それ使ったら、素材が回収できないだろう」
「素材……」
「こんな上質な岩石なかなか手に入らないぜっ?」
うわぁ、これちょーいい材料になるじゃーん。
これでナニ作ろっかなぁ。
「あんな大きな噴石を見ても驚かず、冷静に対処してしまうなんて……さすがヴィル様です!」
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