75.わたしは勇者?
《ポロSide》
獣人国王都に滞在してる、ポロとヴィルたち。
ポロは朝、木刀を片手に、王都外で自主練をしてる。
何度も、剣を振る。
正直昔と今と何も変わってるようには思えなかった。
けれど、獣人のひとたちから、勇者と呼ばれた。
……勇者。
そもそも勇者ってなんだ?
何を持って勇者と言えるのだろう。
聖剣が使えることだろうか。
いや……夜空もルクスも、ヴィルが手がけた、誰でも使える武器だ。
聖剣の所有権の有無は関係ないだろう。
ならば、なんなんだ。勇者と呼ばれるゆえんは。
「朝から精が出ますね」
「! あなたは……ペルシャ様」
獣人の女王にして、水の勇者ペルシャ。
カノジョが微笑みながら近づいてくる。
「朝練ですか?」
「はい……ペルシャ様は?」
「朝の散歩です。……というのはウソで、思い詰めたあなたが、外へ出て行くのが見えたので」
心配してくれたということだろうか。
恩人の付き人なのだから、気にしてくれたのだろう。
「…………」
目の前に、勇者とは何かを知ってる人がいる。
ポロは……答えを知りたかった。
「あの……ペルシャ様。勇者って……なんだと思いますか?」
するとペルシャがすっ、と目を細めた後に……。
「なるほど、心に迷いがあるのですね」
こくんとうなずくと、ペルシャが微笑む。
「言葉で言ってわかるものではありませんよ。気づかないと」
「そう……ですよね」
はぐらかされた。
意地悪で言わないのでは、ないのだろうけども……。
するとペルシャが微笑み、右手を掲げる。
すると、彼女の腕輪が変形して、水の槍へとなった。
「勇者とは何かを教えるのは難しいですが、勇者の力を示すことはできます。手合わせしてみますか?」
……たしかに。
自分はまだまだ、勇者に関して知らないことばかりだ。
ならば、本当の勇者と戦って、どういうものなのか。
その一端で良いから、教えて欲しい。
「ご教授……お願いします」




