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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
二章

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57.光の聖剣ルクスのすごさ



 ポロは光の聖剣、ルクス、そして獣人姫のラグドールとともに、村へと帰ってきた。


「ちーちー!」


 腕の中にすっぽり収まっていた幼女が、ヴィルに向かって、空を飛んでいく。


「おー。ルクスじゃねえか」

「ちーち! ちちー!」


 きゃっきゃ、と戯れるルクスとヴィル。

 ポロは驚きを禁じ得なかった。


「う゛ぃ、ヴィル様……その子が、ルクスだって、よくわかりましたね」


 美しい金髪に、橙色の瞳。

 ちょっと尖った耳をしてるが、どう見ても人間だ。


「え、わかるだろ? ルクスだって。なあ?」

「うい!」


 ……そう言われてもわからない。

 しかし職人のヴィルならわかるのだろう。


 人間なのか、剣精なのか。


「すごい……やっぱり……ヴィル様は凄い……」


 ヴィルはルクスを抱っこしながら尋ねる。


「そうだルクス。ちょっとお手伝いお願いできるか?」

「てつだい? ちち手伝いする!」

「おう、さんきゅー」


 ルクスを抱っこした状態で、ヴィルが村へと移動する。

 あらかた村は復興の様子を見せている。

 村は樹木でできた防壁で囲まれている。 さらに壊れた建物はすっかり元通りだ。

「だがみんなちょっと病気しててな」

「病気……ですか?」


 ポロが尋ねると、ヴィルがうなずく。


「どうにもそこらに生えてる植物を食って、食あたりを起こしてるらしくてよ」


 ヴィルは全修復といって、壊れたものをたちどころに治すスキルを持っている。

「ヴィル様のスキルで治せるのではありませんか? 確か皇帝のご病気を治していたような」

「そうなんだがいかんせん数が多くてな」


 村の集会場へやとやってきた。

 老若男女、幅広い層の獣人達がお腹を押さえて、倒れている。


「死ぬほどじゃないけど、痛そうなんだ。治してやりたいがひとりひとりじゃ時間かかる。そこで……」

「るぅの、でばんです!!!!」


 るぅ……というのはルクスの一人称なのだろう。

 ヴィルがルクスを使えば、食あたりなんて一発で治る。


 光の聖剣の効果は、破壊の否定。

 あらゆる破壊行為を、そもそも無かったことにできる。


「るぅ、やる! まーまと!」

「え……!?」


 ぱぁ……とルクスが輝くと、ポロの手のひらに、ナイフが収まる。

 ポロは驚きを隠せなかった。


 どうして……自分と?


『まーま!』

「…………」


 ポロは聖剣を手に……しかし……。


「ヴィル様……やっぱり、ヴィル様が……」

「いいや、ポロ。おまえがやりなさい」

「でも……」

「剣がおまえを選んだんだ」


 ルクスが、ポロを選んだ……?

 どうしてだろう……。


 わからない。

 なぜ気に入られてるのかも。

 尻尾がもふもふだからだろうか。


「使い方がわかりません」

「それは俺じゃ無くて、ルクスに聞くんだな」

「光の聖剣に……?」


 ヴィルのアドバイスで、ポロはルクスに顔を近づける。


「光の……聖剣さん?」

『のー!』

「え?」

『るぅは、るぅ……!』


 どうやら名前で呼んでみて欲しいようだ。

 本当に、ただの子供のようだ。


「…………」


 剣では無く、ただの子供……いや。

 人間……だ。


「……ルゥちゃん」

『うぃ!』

「この人達、治して」

『や!』


 拒否られた……?

 

『なおす! いっしょ!』

「え……?」

『るぅにお願いじゃない、いっしょ!』


 ……わ、訳がわからない。

 何が言いたいのかもさっぱりだ。


『いっしょ! いっしょー!』

「力を合わせてってこと……?」

『そー! いこいこー!』


 かたかたかた……とルクスが震える。

 一緒……力を合わせるとはどうすればいいんだろう。


 ヴィルがポロの肩に手を置いて、揉んでくる。


「ひゃっ」

「リラックスリラックス。あとはルクスの声に、耳を傾けて」


 ヴィルに言われて、ポロはうなずく。

 自分は正直まだ、このルクスという聖剣を信じられない。


 でもこの剣は、他でもない、凄い職人であるヴィルが作ったのだ。

 ルクスを作った、ヴィルを信じる。


『いっくよー! ぜんかーい!』

「え、ちょ……!」


 ぐんっ、と体から力が抜ける。

 強く、ナイフが輝く。


 すると光は、倒れている村人達を包み込んで……。


「おお、すごい!」「お腹が痛いのなおったー!」


 あちこちで歓声があがる。


「やるじゃないか、ポロ。成功だ……ってポロ?」


 成功を、喜ぶことはできなかった。

 今ので力を使い果たしてしまった。


 ……獣人は、人間より遥かに魔力量が少ない。

 ゆえに、ルクスに全ての魔力を吸い取られてしまったのだ。


「ポロ! ポロ!」


 ポロは目を閉じる。

 ただ、ヴィルの顔に、泥を塗らないですんだことだけが、うれしかった。

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