表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/283

32.女皇帝から大変感謝される



 俺は付喪神つくもがみを撃破した。

 その後、帝都の病院にいた。


「ヴィル様♡ あーん」

「いや、自分で食べられるって」


 ベッドに寝かせられてる俺。

 獣人ポロが、切ったリンゴを口に運んでくる。


「いえ! ヴィル様はお疲れですから、私がやります!」


 そこへ……。


「ポロちゃんよ、すっこんでな。あたいが先生に食べさせるんだ」

「……あなたも下がってなさい、ライカ。ヴィル様はわたしが」


 氷の勇者キャロライン、雷の勇者ライカも、病室にいる。


「悪いなおちびさん、あたいは先生の女なんでな」

「……はぁ? なんですかそれ。ヴィル様に勝ったんですか?」

「ああ」


 とすっとぼけるライカ。

 ライカとは、戦って勝ったら結婚するって約束をされている。


 空色の髪が美しい、氷の勇者はフンっと鼻を鳴らして言う。


「……うそばっかり。ヴィル様が貴女如きに負けません。だいいち、付喪神に手も足も出なかったのでしょう、貴女?」

「うぐ……た、たしかにそうだけど……」


 さて、今どうしてこうなってるのか?

 時間は昨日までさかのぼる。


 帝都内の草原にて、俺は突如あらわれた、神の呪いを解いた。

 その後、呪いのアイテムに憑りついていた化け物、付喪神と戦闘。


 そこで俺は、奥義である【無限贋作複製】のスキルを発動させた。

 魔力を消費することで、あらゆる神器を1分間だけ、再現するというもの。


 俺は神器を複製しまくり、その結果魔力をすべて消費して、ぶっ倒れてしまった。

 その後俺は帝都病院に連れていかれ、今に至る。


 眠ったら魔力は全回復したので、入院なんて必要ないと医者に言われたのだが……。


「ヴィル、おはようございます」

「アルテミス陛下」


 皇帝陛下も病室へとやってきた。

 ご高齢だった陛下だが、俺のスキルで病気だけでなく、若返りまでしてしまったのだ。


 金髪の美しい姿をした陛下が、俺のもとへとやってくる。


「お加減はいかがでしょうか?」


 陛下が俺の手を取って、顔を近づけてくる。

 心配そうに眉根を寄せていた。


「だいじょーぶですよ。どっこも体はいたくないですし、魔力も回復しました。もういつでも退院可能です」


 すると陛下は「なりません!」といって激しく首を振ってくる。


「ヴィルはこの帝国の至宝なのです! 決して失わせてはいけない、唯一無二の存在! どこにも異常がないか、きちんと精密検査を受けて、調べないと!」


 大げさだなぁ。

 まあそんだけ大切にしてもらえて、悪い気はしないな。


 そこに、キャロラインが顔をしかめて言う。


「……皇帝陛下。いつ、ヴィル様が帝国の所属になったのですか? 彼は王国の人間ですっ。勝手に帝国にヴィル様を縛り付けないでくださいますか?」


 あ、そうだった。

 キャロラインには言ってなかったな。


「俺、皇帝陛下から貴族の地位もらったんだよ」

「! そ、そんな……!」


 キャロラインがこの世の終わりみたいな表情をする。

 なんだどうしたんだ?


「帝国の所有物になられたということですか? じゃあ、王国の勇者とは……もう……」


 ああ、なるほど。

 キャロラインは王国の勇者だ。


 所属が違うから、聖剣のメンテを見てもらえなくなるかもって、危惧してるわけだな。

 あわてんぼうさんだな。


「大丈夫だよ、キャロライン。俺はおまえの面倒も見るから」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 キャロラインが顔を真っ赤にした。

 湯気がでるんじゃないかってくらい、そりゃあもう見事に。


「う、うう……」

「う?」

「お、お外、は、はしってきますぅううううううう!」


 キャロラインが病室からものすごい勢いで出て行った。

 

「聖剣の面倒見てもらえるのが、そんなにうれしかったのか?」

『いや、どう見ても違うっすよ……』


 お、脳内に魔神ロウリィちゃんの声が聞こえてきた。


「ロウリィちゃん、今どこにいるの?」

『帝都上空にいるっす』

「そんなとこいないで、降りてこいよ」


 しかしロウリィちゃんの返答はなかった。

 あら? どうしたんだろう。


「ヴィル、どなたと話してるのですか?」

「ああ、えっと……」


 俺は簡単に、ディ・ロウリィの領地であったことを報告する。

 呪いによってロウリィちゃんが暴走していたこと。

 領民が困っていたこと。


「…………」


 アルテミス陛下は、俺の前で深々と、頭を下げてきた。

 え、ええ!? なんで!?


「すみませんでした、ヴィル。まさか、領地がそのような状況になってるとは、つゆ知らず……」

「あ、いやいや! 陛下のせいじゃないっすよ。悪いのはディ・ロウリィの状況を報告しなかった、前の領主ですし……」

「それでも、きちんと状況を把握せず、問題のある土地を渡してしまったこと、本当に、本当に申し訳ありませんでした……」


 いや、そんなに気にしなくても全然いいのに……。


「帝国に訪れた未曽有の危機を救ってくれた、大英雄だというのに、大変失礼なことをしてしまい、本当にすみません」


 だ、大英雄だってぇ?


「そんな大げさな……」

「先生、大げさじゃあねぇさ」


 ライカが俺にまじめな顔で言う。


「あのとき先生がこなかったら、まじで帝国は滅んでたよ。帝国最強の剣士と、精鋭の軍隊が挑んでも、あの呪われし神には敵わなかったってわけだし。ましてや、付喪神の強さは別格だった。あの場で先生がいて、本当に良かった。本当に感謝してるよ」


 ライカもまた頭を下げてくる。


「いや別に俺は大したことしていないさ。あのときは、たまたまあの付喪神と、俺の相性が良かっただけだよ」


 神器での攻撃が有効な敵に対して、神器を無限に複製できる俺が、たまたま居合わせたから、勝てただけだ。


「ヴィルは、本当に謙虚なおかたですね。強いだけでなく、その強さをひけらかさない。真の英雄とは、あなたのような人を言うのでしょう」

「そんな大げさすぎ。それに俺、強くないですから」


 ぽかーん……とするアルテミス陛下と、ライカ。

 ポロも困惑顔だった。あれ?


「だってあれは、神器が強いのであって、俺は別に強くないだろ」


 まあ強い弱いとか、俺にはよくわからないし、興味ないけども。

 付喪神を倒したのは、無限に複製された神器たちじゃないか。


 俺がパンチで倒したなら、まあ俺が強かったでいいけどさ。


「「「…………」」」

「え、どうしたのみんな?」


 なんか三人ともが、目を点にしていた。

 あれれ?


『ヴィルさんってやっぱり、かなり変わってるっすね……』


 あ、ロウリィちゃんだ。


「え、俺変わってるかな?」

『ええ。どーーーーみても、あんた強いっすよ! 神器を無限に複製した時点で、やばすぎでしょ!』

「いやいや、でもほら神器を無限に複製しただけだし」

『それがもう異次元なんだって言ってるんすよ! もう!』


 まあなんかわからんが。


「とにかく、俺は別に当然のことしたまでだから、そんな頭を下げなくてもいいよ」

 

 アルテミス陛下が「そ、そうですか……」と困惑気味に言う。

 うーん、そんなおかしなこと言ってないと思うんだけどね。


「話は変わりますが、ヴィル。あなたに支払う報酬のことなんですが」

「え? 報酬? なんの?」

「帝国の危機を救ってくれたこと、そしてライカの聖剣を直してくれたことに対する報酬です」


 付喪神との戦闘中に、雷の聖剣が壊れてしまったんだよな。


「あー、いいっていって、気にしないで。あれはお金が欲しくてやったわけじゃあないからさ」


 剣が可哀そうだから直しただけだし、いわば、自己満足の範疇だ。

 仕事じゃない。


「なんということでしょう。お金ではなく、助けたいというただその一心だけで、自らの危険も顧みずに、あのような化け物に挑むなんて……!」


 陛下がなんか目をキラキラさせてらっしゃる。

 勇者二人も、感心したようにうなずいていた。


 あれ? 聖剣の話してるんだけど、なんか国の話と勘違いされてる?

 まあどっちにしても、別に俺がやりたくてやったわけだが。


「ヴィル、どうか、報酬を支払わせてください。そうでなければ、心が痛みます」

「ふーん……そういうもんかね」


 でも別に金が欲しいとは思わないんだよな。

 工房も手に入れたし……あ。


「そうだ、じゃあ、1個お願い聞いてもらいたいんだ」

「なんでしょう! なんでも致します!」


 なんでもか。

 じゃあ遠慮なく。


「ロウリィちゃんのこと、許してやってほしいんだ」

『! ヴィルさん……それって……』


 ロウリィちゃんは、領民の人たちに迷惑をかけた。

 彼女の呪いのせいで、領民はモンスターになり、村は外部と交流できなくなり、窮地に追い込まれていた。


 多分だけど、ロウリィちゃんはそのこと、すっごい気にしてるんだと思う。


「ロウリィちゃんは、まあたしかに迷惑かけちゃったけど、でもワザとじゃないんだ。好きな人が死んだ悲しみに囚われてただけ。それに……彼女に呪いをかけた人物は、ほかにいる」


 ロウリィちゃんの住処には、妙な結界が張っていた。

 それを作り替えたからわかる。


 あれは、ロウリィちゃんの悲しみを暴走させる呪いだった。


「ロウリィちゃんは悪くない。でも、やっちまったのは事実だ。罰を受けなきゃいけないかもしれない。でも……俺に免じて、許しちゃくれないかな? 報酬とか全部いらないからさ」

『ヴィルさん……うう、うわあああん!』


 びりびり、と病院の窓が揺れる。

 外には大きな白い竜がいて、滝のような涙を流していた。

 

 アルテミス陛下は俺とロウリィちゃんを見て、厳かにうなずいていう。


「わかりました。では、この度の報酬として、魔神ロウリィの一件はお咎めなしとします」

「ありがとう、陛下」


 俺は窓を開けて、ロウリィちゃんに笑いかける。


「許してくれるってさ。よかったな」

『ありがとうございますっす! ヴィルさん!』


 うんうん、これで一件落着だな。

 よかったよかった。

【★読者の皆様へ お願いがあります】


ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります!


現時点でも構いませんので、

ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです!


お好きな★を入れてください!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
皇帝にタメ口な時点で、(悪い意味で)普通じゃないよなぁ。
[気になる点] なんか世界がつながった作品多くねえ? 伝説級の弓の名手の現役時代の皇女にアルテミスがいたと思う。
[一言] BBA「しかしそれだけでは恩を返したとは言えません、私との婚姻も合わせて褒美とさせていただきます! 帝国であれば複数人の婚姻も認めますので、更に勇者たちとの婚姻も合わせてドン! 今なら…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ