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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
一章

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30.邪神をワンパンし呪いを解く



俺、ヴィル・クラフトは帝都にて、勇者キャロラインの壊れた聖剣を直した。

その後、キャロラインが戦っていた敵ってやつが気になって、ロウリィちゃんに現場へと運んでもらった。


草原には呪いに憑りつかれた獅子がいて、暴れまわっていた。

 対処していた雷の勇者ライカの聖剣が壊れてしまっていたので、俺はスキルを使って修復した。


「先生! 来てくれたんだね!」


 ライカが聖剣サンダーソーンを胸に抱き涙を流しながら俺に言う。

 よかった、無事直ったようだ。


『信じられんわい……。聖剣をなおしてしまうなんて……ただものではないとは思っておったが、ここまですさまじい職人だったとは』


 って、あれ?

 サンダーソーンの声が、聞こえる?


 闇の聖剣、夜空の時と同じだ。

 聖剣なのに、使い手以外も剣精の声を聴くことができる。


 でもあれは、夜空が誰もが使える聖剣だったからじゃなかったのか……?


「まあいい。このでっかい獅子は俺に任せてくれ」

「け、けどよ先生! 一人じゃあぶねえよ!」

「大丈夫。ライカは、あの触手のほうをなんとかしてくれ」


 獅子の体表は黒い触手で覆われていた。

 その触手はうぞうぞと動いて、四方に散らばっていく。


「そ、それはいいけど、先生。あの触手は攻撃してすぐに再生しちまうんだ」

『ライカちゃんよ、大丈夫じゃ。今のわしなら、できる気がする』

「なんだって? 本当かい?」

『ああ。わしは壊れる前より、強くなっているのを感じる。いくぞライカちゃん!』


 ライカがうなずいて飛び出す。

 鞭状の聖剣、サンダーソーンをふるう。


 ばしん! と鞭が触手をはじくと、そのまま消滅した。


「す、すげえ! 先生すげえよ! サンダーソーンがパワーアップしてる!」

「え、そうなの?」

「ああ! 前は倒しても、敵が再生してきた。でも今はちがう!」


 ライカが鞭を振りまわす。

 ばしばし! と音を立てながら触手が黒焦げになって消えていく。


「先生がなおしてくれたおかげで、前より強くなったみたいだ! さすがだぜ先生!」


 うーん、ただ直しただけだったのに、どうやらアップグレードされているようだ。

 そんなつもりはなかったが、まあいい。


「ライカ、任せるよ。ロウリィちゃんとポロは、サポートお願いな」


 獣人ポロと、空中で旋回していた、竜の魔神ロウリィちゃんがうなずく。


『ヴィルさん、あの獅子、自分と同じっす。邪悪なる意思に憑りつかれて苦しんでるっす……』


 やっぱり、状態で言えばロウリィちゃんと同じようだ。

 なにか呪い的なものを受けて、あんなふうに暴れまくっているのだ。


 今は結界で抑えているけど、根本的な解決にはなっていない。

 なおすなら、あの中に入って、直接直すしかないな。


「わかってる。俺に任せろ」


 ロウリィちゃん、そしてライカが強くうなずく。

 俺の職人としての腕を、信頼してくれているのだろう。


「…………」


 以前、王都にいたころ、シリカルは俺に、武器を造れ、おまえならできるだろうって、結構無茶な注文をしてきたっけ。


 あの頃は人に……というかシリカルに何か頼まれるのは、苦痛でしかなかった。

 でも今は違う。


 人に頼られるのを、心地よく感じる。

 なんでだろうかって考えて、わかった。


 多分今は、使い手の顔が見えるからだ。

 部屋にこもって、大量に武器を作り続けていたときには、作ることばかりで、使ってくれる人と触れ合うことはなかった。


 そんな暇はなかった。

 でも今は違うんだ。


 作ったもの、治したもの。

 物を使う人の笑顔を、近くで見ることができる。


 それが、本当にうれしかった。


「ギャロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 獅子が苦しそうに吠えている。

 呪いのアイテムが、額に植え付けられているのが分かった。


「ちょっと待ってろ。俺が、おまえをなおす」


 何物も外に出れなくする結界。

 俺は結界のなかへと突入する。


 作り手である俺は結界のなかへと入ることができる。

 その瞬間、無数の触手が俺に襲ってきた。


 だが触手は俺にまとわりつくとすぐに消し飛ぶ。


 体の周りに薄く結界の膜を張っていたのだ。


「ギャロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 獅子が高速で移動してきて、その太い前足で俺に攻撃を放つ。

 どがん! という音とともに俺は背後に吹き飛ばされる。


 空中で体をひねって着地する。


「結構な膂力。それに……鋭い爪を持ってるようだな」


 俺の体に張っていた、薄膜の結界が破れていた。

 よく見ると、獅子を覆う結界が、ところどころが壊れている。


「防御しててもダメか。なら……」


 俺は神槌を両手でにぎりしめて、言う。


肉体改造フィジカル・ブースト!」


 その瞬間、俺の体が光りだす。


「!? ヴィル様! 大丈夫ですか!?」


 ポロが結界の外で雑魚を掃除しながら、俺に焦った調子で聞いてくる。


「大丈夫。ちょっと肉体を改造しただけだ」

「肉体を……改造?」


 そこへ獅子が襲い掛かってくる。

 さっきよりも素早く近づいて、俺に向かって爪による斬撃を放ってきた。


「危ない!」

 

 ばきん!


「って、ええ!? 爪が割れた!?」


 獅子の爪がすべて粉々に砕かれている。

 俺は獅子の背後を取っていた。


「!? い、いつの間に移動を!?」

「せーの!」


 俺は神槌のサイズを変更する。

 巨大な槌に変えて、獅子の顔を横から殴る。


 ばこぉおおん! という音とともに獅子が吹っ飛んでいく。

 結界にぶつかって、ずるずるとその場に倒れた。


「あの巨体を吹っ飛ばしてしまうパワー。それに、一瞬で背後に回るスピード。ヴィル様、今のは?」

肉体改造フィジカル・ブースト。超錬成の全てを応用した、身体強化術だよ」


 超錬成は、あらゆる物質を思った通りに変形させるスキルだ。

 あらゆる物質、つまり、おのれの肉体(細胞)もそこには含まれている。


 俺は超錬成を使って、俺の肉体を構成する細胞を、一時的に超人のものに作り替えたのだ。


「すごいです!」「さすが先生だぜ!」


 ライカとポロは順調に、触手の数を減らしていっている。

 俺も今、獅子をぶん殴って気絶させた。


 あとは呪いを解除するだけだ。

 獅子の近くへと寄る。


 獅子は体を起こそうと必死になってるが、しかし、体にダメージが入ってて立ち上がれない様子だ。


「安心しな。俺は別にお前を殺すわけじゃあない」


 獅子の神は俺をじっと見つめている。

 その目に、理性が戻った。


 体の力を抜いて、俺に身をゆだねてくる。

 ありがとう。


 獅子の額には、こぶし大の紅玉が植え付けられていた。

 赤い宝石の中に、縦に割れた瞳孔のようなものがある。


「目玉みたいだ。気持ち悪い」


 俺は魔法陣を展開。

 このアイテムの設計図を読み上げる。……なるほど、なかなかえげつない。


ハンマーを振り上げて、紅玉をたたき割る。

 ぱりぃいん!


 魔法陣とともに紅玉が砕け散る。

 その瞬間、獅子を覆っていた黒い触手が、すべて蒸発したのだ。


 獅子の体から完全に触手が消えさる。

 彼は目を覚まして、俺に言う。


『わたしは、生きているのですか?』


 あら? 男かと思ったら、女の声だ。

 

「おう。もう大丈夫。呪いの目玉は俺がぶっ壊した」

『人の子である、あなたが……?』


 信じられない、といった表情で俺を見ている。

 だが自分の体が楽になってることに気づいてたようだ。


 彼女は目に涙をためながら頭を下げる。


『ありがとう、人の子よ。わたしを殺さず、助けてくれて』

「おう、良かったな」


 と、そのときだ。


『ふざけるな! ふざけるなぁあああああああああああああ!』


 結界のほころびから、黒い触手が入ってくる。

 ポロたちが戦っていた触手だろう。


 その触手は空中で人の形となる。

 顔面にはさっきの、赤い大きな目玉が一つ。


『ありえない! なぜだ! なぜわが呪いのアイテムを砕いて、そこの獅子がいきている!?』


 触手の化け物が焦った調子で聞いてくる。

 獅子が首をかしげながら俺に問う。


『どういうことですか?』

「あのアイテムは、獅子さんの体に根を張ってたんだ。無理やり引き抜いたり、壊したりすると、獅子さんの体と脳が破壊されていた」

『そんな……なんとおぞましい……』


 そう、本当にくそったれなアイテムだった。

 人を操り、人を殺そうとするなんて。


『てめえ、ふざけんなよ人間! おれの計画を台無しにしやがって!』

「ふざけてるのはてめえだろ。俺は……今、猛烈に怒ってる」


 物は、人を幸せにするものだ。

 理不尽に人を傷つけたり、殺したりするものじゃない。


『殺してやる! 七福塵しちふくじん様が作りし呪物じゅぶつ! 【付喪神つくもがみ】である、このおれが!』

「黙れ。おまえは直す価値もない。俺が責任をもって、ぶっ壊してやる」

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[一言] 八宝菜とか七福神とかもうねW世界観WWWWWWW
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