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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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281.わかれ



 七福塵しちふくじんを、ポロと協力して撃破した。


「はは……最高……だ……」


 上半身だけになった七福塵しちふくじんが、俺の目の前で倒れている。

 彼は、とても満足そうな顔をしていた。


「これか……これが、喜びか……」

「なんのことだよ?」


「おまえのいっていた……作ったモノが、作り手の想像を超える喜び……ってやつを……今、実感してるよ」


 作ったモノ……か。

 こいつにとっての、八宝斎はっぽうさい……つまり、俺のことを言ってるんだろう。


おれは間違っていた。おまえの作ったモノのほうが、優れていた。おれのよりも」

「うーん……」


 そこについては、なぁ……。


「どうした?」

「いや、モノに優劣なんてねえよ」


 そうだ、一生懸命作ったモノに、優劣なんて存在しないのだ。


「どれも等しく、尊いものさ」


 確かに強い弱いとか、売れる売れないとか、優劣めいたものがあるように見えるかも知れない。

 でも……俺に言わせれば、その人が丹精込めて作ったものに、差なんてない。


「俺が勝てたのは、ポロがいたから。もしおまえにアドバイスするってんなら、そうだな」


 七福塵しちふくじんはひでえやつだった。

 でも……物作りに関する情熱は、尊敬できる。


 だからこそ……俺は、こいつに言っておいてやりたかった。

 アドバイスを。


「もっと使い手を意識した、物を作ってみたらどうだい?」

「くく……はははは! そうか……そうだなぁ……うん。そうするよ。おれは……完敗だ……」


 そのときだ。

 ごごごごご! と地面が揺れ出したのだ。


「ヴィルさん! 星が……揺れております!」

「やっば、地中のエネルギー、こいつが全部使ってしまったんだったな」


 エネルギーを元にもどさないと。

 すると七福塵しちふくじんが、手を出してくる。


「おい、ヴィル」


 ……俺を、初めて、七福塵しちふくじんは名前で呼んだ。


「おまえの神器を貸せ」

「…………」


 なんだいきなり、とここはためらうところだろう。

 でも……俺は彼の目の中に、邪念のようなものがないように、見えた。


「ほらよ」

 

 ハンマーを貸してやる。

 それを、自分の腕にたたきつけた。


 瞬間……。

 しゅうぅううううう! と七福塵しちふくじんの体が変形していく。


 やがてそこには、1本の……妖刀があった。

『妖刀・七福塵しちふくじん! 完成だ!』

「おお! いいなこれ! 大地のエネルギーが込められてる!」


 星から奪ったエネルギーが、そのまま妖刀の刃に込められていた。


 ポロはハンマーと妖刀を拾い上げる。


「それで、どうするんですかっ?」

『小娘、おれをこの地に突き刺すのだ。この刃の大地のエネルギーを、星に帰す。そうすれば星の崩落は止まる』


 なるほど。

 しかし……それをやるってことは……。


「あんたはどうなるんだよ?」


 一人ここに、こいつを残していくことになる。


おれのことは気にするな。この地で、次回作について、構想を練る。そしていつか、星にエネルギーを帰し終えたら……おれは自由となる』

「…………」


『そのとき、おまえは居ないだろうから、先に言っておくぞ。ヴィル。おまえは、凄い作り手だ。なにせ、初代・八宝斎はっぽうさいの考えを、改めさせてしまったのだからな』


 七福塵しちふくじんは、元をたどれば八宝斎はっぽうさいだ。

 俺も……こうなっていた可能性も、ある。


 でも、そうはならなかった。

 俺には、ポロ達がいたから。


「さみしくないのか?」


 こいつは今、一人地中で残されようとしてる。

 一人は……寂しいだろうに。


『全然』


 強がってる、ように俺には思えた。

 だから……俺はハンマーで、七福塵しちふくじんの柄をこつんと叩く。


「あんたに、神器のチカラを付与した。神器とは、人のために使われるモノ。つまり……いずれあんたを使うやつが、現れる」


 ふふふっ、と七福塵しちふくじんが笑う。


『敵になさけをかけるなんてな』

「悪いな、俺は正義の味方じゃ無くて、職人なんだよ」


 正義の味方なら、悪を滅ぼしただろう。

 でも……職人の俺は、こいつを生かす選択をした。


『さらばだ、ヴィル……!』

「ああ、じゃあな、初代」


 俺はポロと一緒に、転移門ゲートを作って、その場から離脱したのだった。

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松代の使ってる七福塵こいつそのものだったのか。
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